消防士の「RIT(Rapid Intervention Team)」とは、迅速介入チームのことを指します。火災現場で万が一の事態に備え、救助が必要な消防士を救出するために編成される特別なチームです。
RITの役割と目的
1. 消防士の安全確保
• 火災現場は極めて危険であり、崩落、酸素不足、迷子、高熱による負傷などのリスクがあります。RITは、要救助者となった消防士を迅速に救出するために待機し、必要な時に即座に行動します。
2. 事前準備と待機
• RITは火災発生時に現場の構造や進行状況を把握しながら、救助計画を立てて待機します。
• 必要な装備(エアパック、ロープ、担架、ハンドツールなど)を準備し、いざという時に迅速に対応できるようにします。
3. 緊急時の迅速な救助活動
• 火災現場で消防士が**「メイデー(緊急事態発生)」**を発した場合、RITはすぐに出動し、要救助者の位置を特定して安全に救出します。
RITの活動手順
1. メイデー発生の確認
• 無線や連絡手段を通じて、要救助者の情報を取得
• 最後にいた場所(Last Known Location)を特定
2. 迅速な進入と捜索
• 事前に把握した情報をもとに、適切なルートで進入
• サーマルイメージカメラ(熱画像カメラ)などを活用し、視界の悪い状況でも捜索
3. 要救助者の評価と救出
• 呼吸の有無、意識状態を確認
• 必要に応じてエアパックを提供
• 搬送手段を決定し、安全なルートで救出
4. 脱出と医療対応
• 現場からの迅速な退避
• 救助後の応急処置や医療機関への搬送

RITの重要性
• 火災現場での殉職者の多くは、脱出困難な状況に陥った消防士です。RITの存在は、消防士の生存率を大幅に向上させる役割を担っています。
• RITは、単なる待機部隊ではなく、事前の情報収集、計画立案、訓練を通じて、より効果的な救助活動を行う専門チームです。
関連するトレーニング
RITの隊員は、通常の消防訓練に加えて、以下のような高度な訓練を受けます:
• 自己救助技術(Self-Rescue Techniques)
• 閉所・高温環境での救助活動
• ロープ技術(ラピッドエントリー、ホイストシステムなど)
• 構造物崩壊時の対応
• 無線通信とチームワーク訓練
日本では、RITの概念が導入されている消防本部も増えており、今後さらなる発展が期待されています。