🔥はじめに|RITとは何か?
火災や崩落などの過酷な現場において、万が一、消防隊員が倒れたとき、誰が彼らを救出するのか──。
この疑問に真っ向から向き合い、**「消防士を救う消防士」として韓国で注目されているのがRIT(Rapid Intervention Team:救助介入チーム)**です。
韓国の「119特수구조단(特別救助隊)」では、現場での殉職事故を受けて、RIT訓練が本格的に始まりました。本記事ではその内容を日本の消防・救助関係者にも役立つ形で解説します。
🚨RIT(救助介入チーム)とは?
RITとは、現場で倒れた消防士を救出する専門チームで、通常の消火・救助活動には加わらず、あくまで「もしもの時のため」に待機します。
アメリカのNFPA1407では詳細なRITの運用基準が定められており、韓国でもその規格をベースに教育体制が整備され始めています。
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🧯韓国RIT訓練の特徴|「生きて帰る」を前提にした実践的スキル
韓国119特別救助隊によるRIT訓練は、単なる救助技術の習得を超え、**「生還を最優先に考える現場力」**を育てることを目的としています。
特に以下の5つの柱を中心に、極限状況下でも即応できるよう徹底した訓練が実施されています。

① 🚨救助要請の技術|助けを求めることは“弱さ”ではない
危機に陥った際、もっとも重要なのは**「助けを呼ぶこと」**です。
しかし多くの消防士は「自分で何とかする」「助けを呼ぶのは恥ずかしい」と考え、通報が遅れて命を落とす事例が世界中で報告されています。
韓国のRIT訓練では、以下の4項目を無線で確実に伝える練習を行います:
- 自分の所属(例:○○消防署 救助第1隊)
- 名前
- 現在地(○階○区画など具体的に)
- 必要な対応(空気供給が必要、搬送要請など)
さらに「毎日、無線での定型報告を繰り返す」訓練を行い、緊急時でも反射的に通報できる状態を目指しています。
② 🔍被救助者の捜索方法|TIC(熱画像カメラ)で“煙の向こう”を見る
視界がほぼゼロになる火災現場では、肉眼による捜索は困難を極めます。
そのため、RIT隊員は**熱画像カメラ(TIC)**の操作に熟達しています。
特に「コールドモード」では、隊員の呼吸器から漏れるわずかな空気の流れや体温を検知でき、視認できない隊員の居場所を把握することが可能です。
また、NFPA1801に準拠したTIC訓練も並行して行われ、熱源や障害物の見分け方、冷気から人を探す方法なども学びます。
③ 🫧空気供給技術|数秒が命を分ける
倒れた仲間が**エア切れ(呼吸器の空気がゼロ)**になった場合、即座の対応が求められます。
韓国のRIT訓練では、自分の予備エアを使って供給する方法や、**専用のエアライン接続装置(RICパック)**を使って迅速に空気を供給する訓練が行われています。
ポイントは以下の通り:
- 倒れた隊員のレギュレーターを素早く交換または接続
- 体内に有毒ガスが入る前に、呼吸可能な空気を確保
- 装備がない場合は、**即席の空気供給方法(ビニールで囲う・姿勢を低く保つ)**も訓練
これらはすべて「自分が救助されるまで数分でも生き延びるため」の大事な知識です。
④ 🛠️搬送方法の多様性|限られた資源でどう運ぶか?
被災隊員を安全な場所まで運ぶ方法は、現場の状況に応じて変わります。RIT訓練では以下のような装備を最小限にした搬送法を複数学びます:
- 🔁 ベルトとホースを連結し、担架代わりにして引きずる
- 🧗♂️ 階段を上る・下る方法(力とバランスの配分訓練)
- 🪟 窓からの引き上げ(高所脱出)
- 🚪 狭い通路・煙突状空間を使った縦搬送
- 🧵 ホースを利用した即席のスリング搬送
すべて「現場で実際に使える」「短時間でセットできる」ことを重視しています。
⑤ 🧗自力脱出の工夫|RITが来る前に自分で逃げる
RITが来る前に、自力で脱出できる状況も少なくありません。
そのため韓国では以下の応用的な脱出法も訓練に含めています:
- 🪜 梯子があれば素早く下降して脱出
- 🔥 梯子がなくても、窓から身体だけ出して火炎を避けて待機する方法
- 🧯 最低限のビニールやカーテンを盾にして、有毒ガスから身を守る
これにより、RITの到着まで数分を耐えしのぎ、命をつなぐ技術が身につきます。

🏫教育体制の変化|韓国消防学校が動き出す
韓国では慶北消防学校がRIT教育を正式カリキュラムに導入。NFPA1407の韓国語訳や、独自の教材開発も進行中です。
また、教育の基準を高く設定し、「誰でもできるわけではない」責任と技術の必要性を浸透させる方針が取られています。
📣日本消防への応用可能性
日本においても、殉職事故ゼロのためにはRITの導入と訓練が不可欠です。
特に注目すべき点は:
- 無線による緊急通報の標準化
- 装備がない状況での対処法
- 熱画像カメラの活用法
- RITに特化した教育システムの必要性
韓国の事例は、制度や装備が整っていない中でも“仲間を救いたい”という強い使命感によって実行されたものです。
✅まとめ|「仲間を助ける力」こそプロフェッショナルの証
韓国消防のRIT訓練は、「すべての消防士が生きて帰る」ことを目的とした、非常に実践的かつ精神的にも価値のある教育です。
日本でもこれから、消防士を守る消防士の訓練=RIT教育の導入が急がれる時代に入っています。
🔥「救助される側」ではなく「救助する仲間の命を守る側」に立つ訓練を、今こそ本格的に考えてみませんか?










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