ウェビングを活用したホースラインの迅速な展開方法

ホースマネジメント

はじめに

消防活動において、1人の消防士で大口径ホースライン(LDH:Large Diameter Hose)を迅速に構造物内へ進入させる技術は、迅速な火災攻撃にとって極めて重要です。

特に、構造物の内部に1人でホースを進めながら放水する際、ホースの重さやノズルの反動力が消防士の負担になります。そこで、「ウェビング(補助ロープ)」を活用するテクニックが効果的な解決策として注目されています。

この記事では、1人で効率的かつ安全にホースラインを進入させる具体的な方法、テクニック、注意点について詳しく解説します。

1. 必要な準備と事前確認

事前の準備が成功の鍵です。現場で慌ててウェビングを調整するのではなく、あらかじめウェビングのサイズや長さを調整しておきましょう。

準備する道具

• ウェビング(ナイロン製補助ロープ)

• 長さは消防士の体格に合わせて調整

• 厚みと強度はホースの重さと反動力を考慮

• ホースライン(LDH)

• 火災の規模に応じて使用する長さを確認

• ノズル

• すぐに操作できるよう、ノズルの向きを確認

事前の確認ポイント

• ウェビングの結び目(ガースヒッチ)の使い方を習得する

• ホースラインの展開ルートを事前に確認する

• ノズル操作の確認(バルブの開閉を素早く行えるか)

2. 実際の展開手順

手順1:ホースラインの位置確認

まず、ホースラインを構造物のドアまで進めて展開します。

この時、初期の火災攻撃に必要な50フィート(約15メートル)分のホースが火災階をカバーできることを確認します。

手順2:ウェビングの設置

1. ノズルから腕1本分の距離を保って、消防士が待機します。

2. ウェビングを左腕に「ガースヒッチ(引き締め結び)」で固定します。

• ウェビングの端を左腕の周りに巻き、しっかりと結びます。

• この際、ノズルに背を向けた状態で行います。

3. 体をノズル方向に回転させ、ウェビングを背中側に配置します。

• これにより、ノズルの反動力を背中全体に分散できるようになります。

4. ノズルを操作可能な位置に持ちます。

• ノズルのバルブは自分の体に向ける形にしておきます(縦向きではなく、横向きに)。

手順3:放水しながらの前進

1. 放水を開始します。

• ノズルの反動が発生しますが、ウェビングが体全体で反動を受け止める仕組みになっているため、安定性が向上します。

2. ホースを引きながら前進します。

• 進行方向を常に確認し、障害物や障害物の位置に注意します。

• ノズルの操作が必要な場合は、片手でバルブを操作できるようにします。

3. すぐにバルブを閉じる方法の確認

• もしも緊急停止が必要な場合、手をラインに滑らせるだけで素早くバルブを閉じることができます。

3. 効果とメリット

1. 1人でも迅速なホースラインの進入が可能

通常、ホースラインの進入には複数人のサポートが必要ですが、ウェビングの活用により1人でも迅速な進入が可能です。

2. 身体への負担を軽減

ホースの重さやノズルの反動は、背中全体に分散されるため、腕や肩への負担が軽減します。長時間の作業でも疲労を抑えられます。

3. 素早い緊急停止が可能

バルブが自分の体の方向に向いているため、素早く操作できるのがメリットです。特に、ホースの急な動きや異常が発生した場合に迅速な対応が可能です。

4. 注意点とリスク

1. ウェビングの長さに注意

• 体格に応じてウェビングの長さを調整しておかないと、ノズルが体から離れすぎるか、逆に近すぎて動作が制限される場合があります。

2. 結び方の確認

• ガースヒッチの結び方が不十分だと、放水時にウェビングが緩み、ノズルが不安定になる可能性があります。

3. 緊急時の操作性を確保

• ノズルのバルブは自分の体に向けた状態にする必要があります。

• これにより、すぐに手を滑らせるだけでバルブを閉じることが可能になります。

• 縦向きにしていると、手を大きく伸ばす必要があり、緊急時の対応が遅れるリスクがあります。

5. まとめ

ウェビングを活用したホースラインの展開方法は、1人の消防士が迅速かつ安全に火災現場に進入するための効果的なテクニックです。

この技術を活用すれば、ノズルの反動やホースの重さを分散でき、安全かつ迅速な前進が可能です。

ただし、事前にウェビングの長さ調整や結び方の確認が必要であり、実際の現場で即座に対応できるよう訓練しておくことが大切です。

消防活動の迅速さが人命救助につながるため、ぜひこの方法を習得し、訓練に取り入れてください。

【ポイントまとめ】

• 1人でも大口径ホースライン(LDH)の進入が可能

• ウェビングを背中側に活用し、反動力を分散

• ノズルは体に向けて操作性を確保

• ウェビングのサイズを消防士の体格に合わせて事前に確認

この方法をマスターすれば、1人でも迅速かつ効果的な火災攻撃が可能になります。消防隊員の方々は、日頃の訓練でガースヒッチの結び方とウェビングの使い方をぜひ実践してみてください。

あなたの一手が、火災現場の安全性を大きく向上させることでしょう!

ウェビングを使うときのポイントだよ!まず、長さの調整は大事で、自分の体に合った長さにしないと、ノズルが遠すぎたり近すぎたりして動きにくくなるから気をつけてね。次に、結び方の確認だけど、”ガースヒッチ”はしっかり結ばないと、放水中にノズルが不安定になっちゃうから注意!最後に、操作のしやすさでは、ノズルのバルブを自分の体の方に向けておくと、緊急時でもすぐに閉じられるから安心だよ!この3つを守れば、安全にホースを展開できるよ!

参考動画

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