【消防救助技術】コークスクリューロワーとは?螺旋階段での垂直搬送テクニックを解説
コークスクリューロワー(corkscrew lower)は、複数階にまたがる建物内で要救助者を安全かつ効率的に階下へ搬送するための高度なロープ救助技術です。特にU字型の螺旋階段(Uターン階段)や吹き抜け(ウェルホール)がある構造で効果を発揮します。

■ なぜコークスクリューロワーが必要か?
一般的に救助現場では、ストレッチャーやストークスバスケットで階段を使って搬送するのが基本ですが、以下のようなケースではコークスクリューロワーが有効です。
• 階段が狭くて搬送困難な場合
• 建物が高層で階下に迅速に降ろしたい場合
• 要救助者の状態が重篤で迅速なALS(高度救命処置)が必要な場合
■ 必要な装備と準備
• ストークスバスケット(使用する場合)
• ロープ(主に11mm程度の救助用ロープ)
• 摩擦装置(階段の手すりなどを利用)
• カラビナ、補助ロープ
• 介助用ハーネスまたは結索具(ブライドル、ボーラインノット等)
■ 実施手順(ストークスバスケット使用時)
1. ロープのセッティング
階段の手すりや構造物を摩擦ポイントとして利用し、ロープを固定。下降制御者が配置されます。

2. ブライドルまたはボーラインで頭部の角度を調整
頭が下がらないように、適切な角度でストークスバスケットに要救助者を固定します。
3. 要救助者を持ち上げ、ロープに荷重を移す
全荷重がロープにかかるようにし、滑車的にロープを操作します。
4. 螺旋階段の中心を通してゆっくりと下降
救助者2名以上が同時に階段を降りながら、ストークスバスケットを螺旋状に操作して降下させます。

■ ストークスバスケットを使わない場合
• 要救助者にハーネスや直接ロープを接続し、同様に降下
• この場合も、ロープの管理と摩擦ポイントの設定が極めて重要です

■ 注意点・リスク
• 階段構造が弱い場合や、ロープ摩擦が不十分だと落下リスクがあります
• 救助者と下降制御者の連携が必須で、1人での実施は危険
• 吹き抜けの直径や階段の角度によっては、要救助者が壁にぶつかるリスクがあるため誘導に注意
まとめ
コークスクリューロワーは、高層建物内での迅速な垂直搬送を可能にする極めて有効なテクニックです。普段からチームでの訓練を積み、現場で迷わず安全に使えるようにしておくことが重要です。