🔥 サイズアップとは? 🔥
**サイズアップ(Size-Up)**とは、消防隊が火災現場に到着した際に状況を素早く評価し、最適な戦術を決定するためのプロセスのこと。
✅ 目的
• 火災の規模・進行状況を把握
• 延焼のリスクを判断
• 人命救助の優先度を決定
• 安全な消火戦術を立案
✅ 確認するポイント(例)
1️⃣ 建物の構造(木造・鉄筋・階数)
2️⃣ 煙・炎の状況(色・量・流れ方)
3️⃣ 人命の危険(逃げ遅れの可能性)
4️⃣ 危険物の有無(ガスボンベ・可燃物)
🏠 建物の構造からわかること
火災現場で建物の構造を把握することは、消火戦術や安全管理に大きく関わる。
建物の材質・構造によって、火の広がり方や倒壊の危険性が異なるため、適切な判断が必要!
🔥 1. 構造による燃え広がり方
✅ 木造(W造:Wood Frame)
• 燃えやすい!火の進行が速い!
• 煙と炎が一気に広がる → 初期対応が重要
• 延焼リスクが高い → 隣接する建物にも注意
• 構造崩壊が早い → 進入時のタイミングが重要

✅ 鉄筋コンクリート造(RC造:Reinforced Concrete)
• 火に強いが、熱で構造が劣化する
• 煙が建物内にこもりやすい → 排煙が必要
• 鉄筋が加熱されると強度低下 → 長時間燃えると危険

✅ 鉄骨造(S造:Steel Frame)
• 燃えにくいが、熱で変形しやすい!
• 高温になると崩壊リスクが一気に上がる
• 構造部材が弱る前に冷却が必要
✅ プレハブ・軽量鉄骨(Light Gauge Steel)
• 燃えやすい&熱で変形しやすい!
• 短時間で建物が崩壊するリスク大
🔥 2. 建物の階数と影響
✅ 平屋
• 火の広がりは比較的遅い
• 排煙がしやすい

✅ 2階建て以上
• 火災が垂直方向に拡大しやすい(煙突効果)
• 2階以上に逃げ遅れが発生しやすい
• 屋根裏火災や天井内の火種に注意

🔥 人命の危険・逃げ遅れの可能性の指標 🔥
火災現場では、逃げ遅れた人がいるかどうかを素早く判断することが極めて重要。以下の指標を確認することで、人命救助の優先度や進入ルートを決定できる。
1. 建物の状況から判断する指標
✅ 🚗 車両の有無
• 駐車されている車がある → 住人がまだ屋内にいる可能性が高い
• 複数台の車 → 家族・訪問者がいるかも?
• 車のエンジンがかかっている・ドアが開いている → 逃げようとして途中で脱出困難になった可能性

✅ 🏡 建物の用途
• 住宅 → 住人がいる可能性が非常に高い
• 学校・病院・福祉施設 → 避難が困難な人がいる可能性大
• 店舗・オフィス → 営業時間内なら従業員や客が取り残されているかも
✅ 🚪 ドア・窓の開閉状況
• 玄関が開いているのに人がいない → 避難途中で中に戻った可能性
• 窓が開いている・カーテンが動いている → 助けを求めている可能性
• 鍵がかかっている → まだ中にいる可能性が高い
✅ 📦 煙の出方と火の広がり
• 煙が出ていないのに人が出てこない → 逃げ遅れの可能性
• 煙が激しく噴出 → 建物の奥に逃げた可能性
• 火が2階に広がっているのに、1階のドアや窓から人が出てこない → 2階に閉じ込められている可能性
2. 目撃情報・通報内容から判断する指標
✅ 📞 通報者の証言
• 「家族がまだ中にいる!」 → 最優先で救助
• 「連絡したけど電話に出ない」 → 逃げ遅れの可能性あり
• 「窓から助けを求めている」 → 救助ルートを確保

✅ 🏃 近隣住民の証言
• 「いつも〇〇時に帰ってくるはず」 → 住人がいる可能性あり
• 「足の不自由な方が住んでいる」 → 自力避難困難
✅ 🚨 逃げ出した人の証言
• 「まだ家族が中にいる!」 → すぐに救助開始
• 「煙で視界ゼロになった」 → 中の状況は厳しい可能性
3. 音や視覚的サインから判断する指標
✅ 🗣️ 助けを求める声
• 叫び声や物音がする → まだ生存者がいる可能性大
• 声が途切れ途切れ → 一酸化炭素中毒の危険
✅ 🚨 窓からのサイン
• 人影が見える → 逃げ場を失っている可能性
• カーテンが動く・何かが振られる → 助けを求めている
✅ 🔦 懐中電灯・スマホの光
• 夜間の火災では、スマホの光や懐中電灯を振っていることがある
• 一酸化炭素中毒で意識が低下している可能性もあるため、迅速な救助が必要
4. 避難が困難な要因(取り残されるリスク)
✅ 🧑 高齢者・子供・身体障がい者がいる家
• 自力で避難できない可能性が高い
• 意識が低下している可能性があるため、迅速な救助が必要

✅ 🐶 ペットの存在
• 飼い主がペットを助けようとして戻る可能性
🔥 煙と炎の状況からわかること 🔥
火災現場では、煙の色・量・動き、炎の形・色・勢いを観察することで、火の進行状況や危険性を判断できる。これにより、適切な消火戦術と安全対策を決定することが可能!
🟣 1. 煙の色からわかること
✅ 白い煙 → 低温燃焼 or 水蒸気
• 木材・布・紙などが燃え始めた状態
• 初期火災の可能性が高い
• 消火後の蒸気が原因のこともある
🔹 対応策
☑ 火元を特定し、早期消火を優先!
☑ 水蒸気と区別し、隠れ火種がないか確認

✅ 黒い煙 → 高温燃焼 & 有毒ガス発生
• プラスチック・ゴム・石油系燃料が燃焼
• 火災の温度が高く、フラッシュオーバーの前兆
• 有毒ガス(シアン化水素・塩化水素など)が含まれる可能性
🔹 対応策
☑ SCBA(空気呼吸器)を装着し、有毒ガスに備える
☑ 煙が激しく噴出している場合、バックドラフトの危険を考慮
☑ 大量の水で火勢を抑える

✅ 黄褐色の煙 → バックドラフトの兆候
• 酸素不足でくすぶっている火災(未完全燃焼)
• 密閉空間で高温の可燃性ガスが充満
• 急にドアや窓を開けると、一気に爆発的燃焼(バックドラフト)が発生する可能性
🔹 対応策
☑ 開口部を開ける前に、煙の動きや温度を確認
☑ バックドラフト防止のため、適切な排煙を計画
☑ 温度が高い場合、無計画に侵入しない

🔴 2. 煙の動きからわかること
✅ 煙がゆっくり流れる → 酸素不足・低温燃焼
🔥 バックドラフトの危険性が高い
✅ 煙が勢いよく噴出する → 火災が急速に進行中
🔥 フラッシュオーバーの前兆
✅ 煙が渦を巻いている → 熱気がこもっている証拠
🔥 火災が建物内で拡大中のサイン
🔥 サイズアップは360度確認が必要! 🔥
サイズアップは、火災現場の状況を正しく把握するために、建物の「A面(正面)」「B面(左側)」「C面(裏側)」「D面(右側)」を360度確認する必要がある!
✅ 360度確認することで…
✔ 火災の中心がどこかがわかる!
✔ 危険物の有無が確認できる!
✔ 人命救助の優先順位が決められる!
✔ 安全な進入ルートと放水戦術が選べる!
🚒 「A面だけで判断しない!360度見て、最適な戦術を決める!」
🔥 火災現場サイズアップ報告 🔥
🚒 360度サイズアップを実施、現場状況を報告する。

🏠 建物構造

• 木造2階建ての一般住宅
• 住宅密集地か確認、延焼の可能性も考慮
• 車両があるため、逃げ遅れの可能性あり → 要救助者の有無を優先確認
🟦 A面(Alpha Side)

• 異常なし
• 車両あり(住人がいる可能性、逃げ遅れの可能性大)
✅ 対応策:
• 車内に取り残された人がいないか確認

ふむふむ、特に炎や煙は見えないけど、車が停まってるから逃げ遅れの可能性があるかな〜。
住人がまだ屋内にいるかもしれないし、早めに声がけや確認が必要そうだな〜。
🟩 B面(Bravo Side)

• 異常なし
✅ 対応策:
• 予備の進入経路として確保
• 煙の流れを監視し、変化を記録

こちらは特に煙や炎は見えないし、一見安全そうかな〜。
でも、こういう時こそ油断禁物!火災の進行次第では、B面にも影響が出る可能性があるかもな〜。
🟥 C面(Charlie Side)

• 1階屋外にプロパンガスボンベ2本あり ⚠️ 爆発の危険
• 2階開口部から炎と黒煙の噴出
⚠️ 危険性:
• 黒煙 → 高温燃焼、プラスチック・合成素材の燃焼
• フラッシュオーバーの可能性が高い
✅ 対応策:
• 屋外からの放水を実施し、火の進行を抑える
• 内部進入は慎重に、急激な開口は避ける
• C面2階の火勢が強いため、進入時はフラッシュオーバー対策を講じる

うーん、これはかなりヤバそうかな〜。黒煙が出てるってことは火勢が強くて、フラッシュオーバーの危険性も高そうかな〜。
しかも、プロパンガスボンベがあるのはマズイな〜。熱で圧力が上がったら爆発する危険もあるから、早めに冷却しないとヤバいかもな〜。
🟨 D面(Delta Side)

• 2階開口部から若干の白煙
• 屋根裏からも若干の白煙
⚠️ 危険性:
• 屋根裏火災の進行を警戒
• 構造崩壊の可能性あり
✅ 対応策:
• サーマルカメラで屋根裏の温度を監視
• 放水による冷却を検討
• 屋根上作業は最小限にし、安全確保

ふむふむ、炎は見えないけど白煙が出てるってことは、内部でくすぶってる火がありそうかな〜。
特に屋根裏からの煙は厄介かもな〜。時間が経つと、天井裏で火が広がって、一気に燃え出す可能性があるかもな〜。
🔥【総合判断】🔥
✅ 車両があるため、逃げ遅れの可能性を考慮し、救助優先
✅ 2階C面開口部からの炎を抑えるため、外部から放水開始
✅ 内部進入は、温度上昇と煙の動きを確認しながら慎重に
✅ D面の屋根裏火災進行を監視し、延焼防止措置を講じる
🛑【戦術決定】
1️⃣ プロパンガスボンベの安全確保
• 可能なら迅速に搬出
• 搬出が困難な場合は、爆発リスクを考慮しつつ距離を取る
2️⃣ C面2階の火勢抑制
• 先行して外部放水し、内部進入のリスクを軽減
• 進入時はフラッシュオーバーの危険に注意
3️⃣ 逃げ遅れ確認
• 車両があるため、住人が屋内にいる可能性が高い
• A面・B面からの声がけ、内部進入前に窓からの呼びかけを実施
• 進入後は迅速に人命救助を最優先
4️⃣ D面屋根裏の監視
• 白煙の量と温度の変化を観察
• 必要に応じて屋根裏の冷却作業を実施
📢 指揮報告:

「木造2階建て住宅火災、C面1階屋外にプロパンガスボンベ2本あり、注意すること。2階C面開口部から炎と黒煙の噴出を確認、放水準備。D面屋根裏に白煙あり、延焼を警戒し監視を実施。A面に車両あり、逃げ遅れの可能性を考慮し救助優先。」