「無機物は燃えない」とよく聞きますが、それはいったいなぜなのでしょうか?
この記事では、無機物と有機物の違い、燃焼に必要な条件、そして無機物が燃えにくい理由をわかりやすく解説します。
無機物と有機物の違いとは?
まず、「無機物」と「有機物」の違いを簡単に整理しましょう。
- 有機物:炭素(C)を含み、主に動植物由来。例:木材、紙、プラスチック、ガソリンなど。
- 無機物:炭素を含まないか、ごくわずかしか含まない物質。例:金属、ガラス、水、石、塩など。
有機物は炭素と水素を主成分とし、酸素と反応して「燃焼(酸化反応)」しやすい特性があります。
一方、無機物はそもそも燃えるための「燃料」成分がないか、反応しにくい構造を持っています。

燃焼には何が必要か?|3つの要素
物が燃えるためには、以下の3つの条件が必要です。
- 可燃物(燃える物質)
- 支燃物(酸素など)
- 着火源(熱・火)
無機物の多くは「1. 可燃物」に該当しません。
たとえば、水(H₂O)や二酸化炭素(CO₂)、石英(SiO₂)などはすでに酸化が完了した安定した物質なので、それ以上燃えることはありません。

無機物が燃えない理由|化学的な観点から
無機物が燃えない主な理由は次の通りです。
- 炭素や水素をほとんど含まないため、酸化反応が起こらない
- すでに酸化されきった状態で存在している
- 熱を加えても反応せず、ただ溶けるか蒸発するだけの物質が多い
たとえば、鉄や銅などの金属は高温で酸化(錆び)ますが、それはゆっくりと進む反応であって「炎を上げて燃える」わけではありません。
石やガラスにいたっては、熱しても化学変化せず、そのままの状態を保ちます。
一部の無機物が「燃えるように見える」例外
一部の無機物は、特殊な条件下で発火したり、激しく反応したりします。
例:
- **マグネシウム(金属)**は粉末状や細いリボン状であれば、高温で酸素と激しく反応し白い炎を出して燃える
- **水素(H₂)や一酸化炭素(CO)**などは、無機物に分類されますが可燃性を持つ
このように「例外的に燃える無機物」もありますが、多くの無機物は燃える条件を満たさないため、燃えないのです。
まとめ|無機物はなぜ燃えないのか?
- 無機物は燃えるための「炭素や水素」をほとんど含まず、酸素と反応しにくい
- 多くの無機物はすでに安定した酸化状態にある
- 一部の無機物(金属など)は例外的に燃えることもあるが、それには特別な条件が必要
参考文献
- 「なぜ無機化合物は燃えにくいのか?」 – ECHEMI (高結合エネルギー、非揮発性など)エケミ
- 「なぜ金属は燃えないのか?」 – West Texas A&M University(酸素供給・熱伝導・着火温度の観点)wtamu.edu
- 「無機化合物の不燃性」 – Wyzant(酸化済、非揮発性の観点)wyzant.com
- Reddit「Explain Like I’m Five」および askscience質問 – 燃焼とは何か、例外的な無機燃焼の説明 Reddit










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