ロープレスキューにおけるテクニカルユースとジェネラルユースの違いとは?

ロープレスキュー

ロープレスキューでは、使用するロープや機材の規格に応じて 「テクニカルユース(Technical Use)」と「ジェネラルユース(General Use)」 の2種類に分類されます。

これは主に、NFPA(National Fire Protection Association)1983規格 によって定められ、消防レスキュー、山岳救助、産業用ロープアクセスなどで重要視されます。

それぞれの特性を理解し、適切な場面で使い分けることが、効率的かつ安全なレスキューを行うための鍵 となります。

テクニカルユース(Technical Use)とは?

テクニカルユースとは、軽量かつ操作性の高いギアを使用し、精密なロープレスキューを行う手法 です。

山岳救助や都市型レスキューなど、限られたスペースや機動力が求められる場面で使用されます。

特徴

✅ 軽量で取り回しやすい機材を使用(ロープやカラビナが細め)

✅ 機材の最低強度は22kN以上(約2,200kgfの荷重に耐える)

✅ 迅速なレスキューを可能にする設計(高所作業や特殊救助に適応)

✅ 熟練した技術が必要(機材が小型な分、正確な操作が求められる)

テクニカルユースの使用機材

機材 特徴 代表例
ロープ 直径9.5mm~11mm、静的ロープ(スタティックロープ) PMI「Tech11」、Sterling「H3 Tech」
カラビナ 軽量アルミ合金製、強度22kN以上 Petzl「Attache」、DMM「Ultra O」
下降器 操作性重視、小型設計 Petzl「ID」、Rock Exotica「Unicender」
プーリー 軽量、高効率 Rock Exotica「Omni-Block」、DMM「Triple Attachment Pulley」

主な用途

• 山岳救助(ハイアングルレスキュー)

• 都市型レスキュー(高層ビル・橋梁)

• 洞窟救助(スペレオレスキュー)

• 産業用ロープアクセス(高所作業・点検・メンテナンス)

• 特殊部隊・軍隊のラペリング

メリット

✔ 軽量で持ち運びが容易

✔ 迅速なレスキューが可能

✔ 省スペースでの作業が可能

デメリット

✘ 強度が低いため、重量のある要救助者や高荷重のシステムには不向き

✘ 訓練されたレスキュー隊員でないと適切に操作できない

ジェネラルユース(General Use)とは?

ジェネラルユースとは、強度と安全性を最優先にしたロープレスキューの規格 です。

消防レスキューや大規模な救助活動で使用され、特に重量のある要救助者を扱う際に適しています。

特徴

✅ 機材の最低強度は40kN以上(約4,000kgfの荷重に耐える)

✅ ロープやカラビナが太く、耐久性が高い

✅ 消防レスキューや大規模な救助に適している

✅ 重量があるため、持ち運びには不向き

ジェネラルユースの使用機材

機材 特徴 代表例
ロープ 直径11mm~13mm、強度重視 PMI「Classic Pro」、Sterling「SuperStatic2」
カラビナ スチール製、高強度(40kN以上) CMC「Steel Rescue Carabiner」
下降器 大型で耐久性が高い CMC「MPD」、ISC「D4」
プーリー 大型で高荷重対応 Petzl「Rescue」、CMC「ProSeries」

主な用途

• 消防レスキュー(大規模災害時の救助)

• 高荷重の引き上げ作業(複数人の救助や機材搬送)

• 大規模な落下事故対応(クレーン、建設現場)

• 土砂災害や水害時の救助

メリット

✔ 高強度で安全性が高い

✔ 重量のある要救助者にも対応可能

✔ 設置後の安定性が高い

デメリット

✘ 重量があるため、持ち運びに不便

✘ 設置に時間がかかる

テクニカルユースとジェネラルユースの比較

ロープレスキューの比較

項目 テクニカルユース ジェネラルユース
ロープ直径 9.5mm ~ 11mm 11mm ~ 13mm
最低強度 22kN以上 40kN以上
カラビナ材質 アルミニウム(軽量) スチール(高強度)
プーリーサイズ 小型・軽量 大型・耐久性重視
使用シナリオ 高所・都市型レスキュー 消防・大規模救助
操作性 高度な技術が必要 基本技術で操作可能
メリット 軽量・機動力が高い 高強度・安全性が高い
デメリット 強度が低いため重量物救助には不向き 重量があり持ち運びに不便

まとめ

どちらを選ぶべきか?

✔ 高所・都市型・山岳救助など、機動力を優先するなら「テクニカルユース」

✔ 消防レスキューや重量物の救助、広範囲の対応が必要なら「ジェネラルユース」

消防現場では、状況に応じて両者を適切に使い分けることが重要 です。

テクニカルユースは機動性を活かして迅速なレスキューを可能にしますが、ジェネラルユースは安全性と耐久性を重視した救助に適しています。

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