工場で働く作業員が金属板を切断中に指を巻き込んでしまい、親指が切断される事故が発生することがあります。このような場合、迅速かつ適切な対応が求められます。以下に、具体的な対応方法について詳しく説明します。
1. 患者の安全を最優先に
事故現場では、まず患者の安全を確保することが最優先です。切断された親指を探すことに気を取られがちですが、まずは患者の状態を確認しましょう。出血が多い場合は、直ちに圧迫止血を行います。ガーゼや清潔な布を使って、切断面にしっかりと圧力をかけて出血を抑えます。
2. 切断部位の出血管理
切断部位からの出血は、動脈が収縮し、静脈が自己収縮するため、最初の数分間は比較的少ないことがあります。しかし、完全な止血を行うためには、適切な圧迫が必要です。
- ガーゼ包帯を使用: 清潔なガーゼ包帯を使い、切断面に直接圧迫を加えます。これにより、出血を抑えることができます。
- ローラーガーゼで固定: 圧迫が十分でない場合、ローラーガーゼを使って包帯を固定します。この際、止血帯のように過度に締め付けないように注意します。
- 圧迫を維持: 患者が自分で圧迫を維持できる場合は、そのまま続けてもらいます。感情的なショックで圧迫が難しい場合は、他の人に助けてもらい、手袋を着用するよう指示します。
切断があった場合、きれいな切断であっても、骨の破片が実際に突き出ていることがあります。そのため、直接圧迫をかける際には、骨の端を自分の皮膚に刺さないように注意が必要です。骨片をさらに損傷させたり、不必要な痛みや細菌を引き起こさないためにも重要です。骨の破片は非常に鋭いことがあるので、針のようなものです。そのため、骨の端を覆う際には、非常に注意深く行ってください。
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3. 切断部分の捜索と処理
切断された親指は、回転や切断装置によって事故現場からかなりの距離に飛ばされることがあります。見つけるのが難しい場合もあるため、他の従業員や隊員に捜索を任せると良いでしょう。
- 清潔に保つ: 切断部分が見つかったら、清潔に保つことが重要です。滅菌ガーゼや清潔な布で包みます。
- 冷却: 切断部分を保存する際は、凍傷を防ぐために絶縁します。アイスウォータースラリーを使用する場合は、切断部分を気密袋に入れ、水に直接触れないようにします。
- 適切な保存: 切断部分を密閉袋に入れた後、氷と水を使って冷却します。この方法で部分を冷たく保ち、再接着の可能性を高めます。
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切断部分を乾燥させておくことの重要性
切断部分を適切に処理するためには、乾燥させておくことが非常に重要です。これを理解するために、日常生活の例を使って説明します。皮膚の水分と組織の分解長時間お風呂やプールに入っていると、指先がしわしわになる経験はありませんか?これは、皮膚が長時間水に浸かっていることで、皮膚の組織が分解されてしまうためです。同じことが、切断された部分にも起こり得ます。切断部分が水に触れると、皮膚の組織が劣化しやすくなります。再接着手術を行う際に、このような劣化した組織では成功率が下がってしまうのです。
皮膚が水と接触すると、組織が脆くなり、接合が難しくなります。
再接着手術の成功率向上
乾燥した状態で保存された切断部分は、再接着手術の成功率を高めます。水に触れて劣化した皮膚よりも、乾燥した皮膚の方が組織がしっかりとしており、接合が容易です。再接着が必ず成功するわけではありませんが、乾燥状態を維持することで、成功の可能性が高まります。
4. 患者の心理的ケア
切断部分を患者の視界から外し、心理的なショックを軽減することも重要です。切断部分を見せることで、患者がさらにショックを受ける可能性があります。切断部分は患者と一緒に輸送し、病院到着後に外科医が迅速に処置できるようにします。
5. 生命を脅かす緊急事態への対応
患者の状態を常に監視し、生命を脅かす緊急事態に対処します。特に、頭部を強打している場合は、脳震盪の可能性も考慮しなければなりません。出血の管理だけでなく、意識状態や呼吸状態も確認し、必要に応じて応急処置を行います。
結論
指切断事故への対応は、迅速かつ的確な判断と行動が求められます。患者の安全を最優先に考え、出血の管理と切断部分の適切な保存を行うことで、患者の回復を支援することができます。また、患者の心理的なケアも忘れずに行い、全体的な対応を丁寧に進めることが重要です。
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