Aztekを使ったピックオフ救助

ロープレスキュー

ピックオフ救助とは

ピックオフ救助は、崖や高所で身動きが取れなくなった被救助者を安全に地上へ降ろすための技術です。この技術は救助活動の現場で非常に重要であり、正確な手順と適切な装備が不可欠です。

特に、Aztekシステムは、迅速かつ安全に作業を進めるために設計されたシステムで、救助者が自らの下降をコントロールしながら、被救助者を引き上げ、または引き降ろす際に使用されます。本記事では、Aztekを用いたピックオフ救助の具体的な手順と注意点について詳しく説明します。

救助者のリギング手順

ピックオフ救助を行う前に、救助者はリギングと呼ばれる装備の準備を行います。この段階でのミスは後の救助作業に大きな影響を与えるため、細心の注意が必要です。

まず、救助者はメインラインビレイラインを設定します。メインラインには、一般的な下降装置が使用され、これはDリングトライリンクを用いて接続されます。このトライリンクの使用により、下降時の安定性が確保され、救助者は自らの下降をコントロールできます。

また、ビレイラインには、プルージックノット(摩擦を利用してラインに結びつける技術)が使用され、これを調整可能にしておくことで、被救助者に安全に接続できるようにします。救助者は、崖を越える前にこれらのラインがしっかりと固定されているかを確認し、安全確認を徹底します。

Aztekシステムの特長と設定

Aztekとは、Aztek Pulley Systemの略で、主にレスキュー(救助)や高所作業で使用される小型で軽量な多目的の滑車システムです。このシステムは、緊急時のピックオフ救助、自己救助、荷重の引き上げや引き下げ、テンションの調整など、様々な用途に対応できるよう設計されています。

Aztekは、通常、二つのプーリー(滑車)と専用のロープで構成されており、特に滑車の片側が青、もう一方がオレンジに色分けされています。青い側はコントロール用、オレンジの側は固定用とすることが多いです。これにより、救助者はシステムの操作や方向性を視覚的に把握しやすくなっています。

重要なのは、Aztekのブルーサイドがコントロール側になるという点です。Aztekはトライリンクに接続され、Dリングではなくトライリンクを使う理由は、Dリングが一方向の引っ張りにのみ対応する設計だからです。これに対し、トライリンクは三方向の引っ張りに対応できるため、Aztekやピックオフストラップなどの装置を安全に使用できます。

このような正確な装備設定が、安全な救助活動に不可欠です。

救助者の下降と被救助者の接触

すべての準備が整ったら、救助者は崖を越えて被救助者に接触します。この時、救助者は慎重に被救助者に近づき、適切な位置まで下降します。救助者は逆さになり、被救助者に手が届く位置まで近づきます。

まず最初に、救助者はビレイラインを被救助者に接続し、被救助者を安全に自分のラインに移行させます。この作業が完了したら、被救助者が使用していたビレイラインを解除します。

被救助者の安定と引き上げ

救助者はAztekを操作し、被救助者を引き上げ、できるだけ自分に近づけるようにします。これにより、救助作業のコントロールが容易になり、安全性が向上します。また、被救助者のメインラインを解除し、全ての接続が完了した後、救助者は地上への下降を開始します。

この際、ビレイ担当者とのコミュニケーションを欠かさず行い、「下降の準備ができた」と伝えた後、確認を経て降下します。

注意点と安全対策

ピックオフ救助では、救助者と被救助者の双方の安全を確保するため、細心の注意を払う必要があります。特に、リギングの確認やAztekの正しい操作、そしてラインの緩みを確認することが重要です。

また、救助作業中は常にコミュニケーションを取り、意図しない動作が起きないようにすることが求められます。

参考動画

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