バッグバルブマスクの基本構造と役割
バッグバルブマスク(BVM)は、フェイスマスク、一方向弁、手動圧縮バッグで構成されています。これらの部品が連携して換気を実施できます。
- フェイスマスク:患者の顔に密着し、外部からの空気の侵入を防ぎます。
- 一方向弁:空気の逆流を防ぎ、効率的な換気を確保します。
- 手動圧縮バッグ:EMTが手動で圧縮することで、患者の肺に空気を送り込みます。
酸素リザーバーが付属しているモデルもあり、これにより高濃度の酸素供給が可能です。酸素リザーバーは、バッグに蓄えられた酸素を効率的に患者に届ける役割を果たします。
バッグバルブマスクの使用手順
バッグバルブマスクの組み立ては比較的簡単です。
- バッグを広げる:リザーバーバッグが付属している場合は取り付けます。
- フェイスマスクの装着:酸素チューブをバッグバルブマスクに取り付け、酸素ボンベのレギュレーターに接続します。
- 酸素供給の確認:レギュレーターを高流量(通常は1分あたり15リットル)に設定します。
EMTが一人で作業する場合は、E-Cテクニックを使用してフェイスマスクを患者の顔に密着させます。
E-Cテクニックの詳細
E-Cテクニックは、フェイスマスクを患者の顔に密着させるための方法です。
- Cを形成:掌、親指、および人差し指でフェイスマスクの上にCを形成します。
- Eを形成:残りの指で患者の顎を支え、フェイスマスクを顔に固定します。
- バッグの圧縮:もう一方の手でバッグを絞り、患者の胸が上がるのを確認します。
バッグを放すと再充填されるので、必要に応じて繰り返し圧縮します。AHAの基準や地域のプロトコルに従って適切な速度で行うことが重要です。

トラブルシューティングと注意点
バッグバルブマスクの使用中に問題が発生することがあります。その場合は、以下の点を再確認してください。
- フェイスマスクの密閉:マスクと患者の顔の間に密閉が確保されているか確認します。
- 気道の閉塞:異物や不適切な位置による気道閉塞がないか確認します。
必要に応じて、2人目のEMTを呼び、フェイスマスクの密着を助けてもらうと良いでしょう。2人目の隊員が両手でフェイスマスクを密着させることで、主の隊員は両手を使ってバッグを圧縮することができます。

まとめ
バッグバルブマスクは、患者が自発的に呼吸できない場合に不可欠なツールです。正しい組み立てと使用方法を理解し、適切に活用することで、患者に迅速かつ効果的な酸素供給を行うことができます。使用中のトラブルシューティングを含め、詳細な手順を理解することが、EMTの役割を果たす上で重要です。
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