閉鎖空間救助(コンファインドスペースレスキュー)の基礎

低所救助

閉鎖空間救助(コンファインドスペースレスキュー)

閉鎖空間(コンファインドスペース)の定義

閉鎖空間(コンファインドスペース)は、特定の条件を満たす場所を指します。具体的には以下の3つの基準があります。

  1. 人が通常居住しない場所
    通常、人が生活するための空間ではなく、一時的な作業や点検のために使われる場所です。例えば、タンクの内部やマンホールなどが該当します。
  2. 出入口が制限されている
    出入口が狭かったり、限られた数しかないため、緊急時の脱出が困難です。このため、迅速な救助活動が必要になります。
  3. 人が作業や任務を行うのに十分な大きさがない
    作業を行うには狭すぎるため、身体の自由が制限され、危険が伴います。

このような閉鎖空間は、都市部や郊外、工場、鉄道車両など、さまざまな場所に存在します。具体的な例としては、マンホール、サイロ、貯水槽、ボイラー、タンク、地下室などがあります。

サイロ

閉鎖空間救助が必要となる理由

閉鎖空間での事故は多岐にわたり、その救助活動は非常に重要です。以下に主な理由を挙げます。

  1. 機械に巻き込まれた作業員
    工場や建設現場などで、機械の中に巻き込まれてしまうことがあります。この場合、迅速な救助が必要です。
  2. 穴に落ちた子供や作業員
    穴や深い溝に落ちてしまう事故も頻発します。特に狭い空間では、自力での脱出が困難です。
  3. 酸素不足による意識喪失
    閉鎖空間では酸素が不足しやすく、意識を失うことがあります。早急に適切な対応が求められます。

これらの救助活動は訓練を受けた専門家が行うべきであり、未訓練の救助者が入ると二次被害のリスクがあります。救助チームは十分な訓練を受け、適切な装備を備える必要があります。

閉鎖空間での救助方法

閉鎖空間救助の基本的な手順は以下の通りです。

  1. 状況の把握
    現場に到着したら、まず状況を確認し、必要なリソースを要求します。例えば、追加の救助隊員や専門的な器具が必要な場合があります。
  2. インシデントアクションプランの作成
    具体的な救助計画を立て、詳細な手順を決定します。被害者の状況、閉鎖空間の構造、危険要因を考慮して計画を策定します。
  3. 危険の評価と管理
    閉鎖空間に入る前に、すべての潜在的な危険を評価し、管理・軽減します。これには、ガス検知器を使用して有害ガスの有無を確認することも含まれます。
  4. 救助の実行
    救助者は適切な装備を身に着け、慎重に閉鎖空間に入ります。被害者の位置を特定し、救助活動を開始します。必要に応じて、三脚やロープシステムを使用して安全に引き上げます。

活動内容(縦穴)

垂直救出方法

  1. 状況の把握
    • 救助の最初の段階は、他の事故対応と同様に、状況を把握し、必要なリソースを要求します。
  2. インシデントアクションプランの作成
    • 救助の詳細を計画し、具体的な手順を設定します。
  3. 危険の評価と管理
    • 穴に入る前に、大気条件を監視し、危険を評価、管理、軽減します。

優先事項

  1. 生命の保護
    • 被害者と救助者の両方の生命を守ることが最優先です。
  2. インシデントの安定化
    • 状況を安定させ、被害者の安全を確保します。
  3. 財産の保護
    • 財産を保護し、損害を最小限に抑えます。

各担当の役割

救助作業の複雑さと重大さから、各役割が明確に分担されています。以下に主な役割を説明します。

  1. 指揮隊長
    全体の操作を監督します。救助作業が計画通りに進行し、安全が確保されていることを確認します。
  2. 安全担当者
    すべての安全対策が満たされていることを確認します。可能な限りの危険を軽減し、救助者の安全を守ります。
  3. アテンダント
    各救助者をサポートし、必要な器具や情報を提供します。技術的な確認や空気モニタリングシステムのチェックも行います。

救助手順

  1. 三脚の設置
    • 三脚を使用して垂直に穴の上から降ります。
  2. 環境測定
    • 環境測定を行い、大気条件に関連するすべての危険を監視します。これは救助が進むすべてのレベル(上部、中部、底部)で行います。
  3. ラインの確認
    • 担当者がラインの張り具合をチェックし、技術的な確認を行います。タグのチェックや空気モニタリングシステムの確認も行います。
  4. 指揮通信
    • 救助者が閉所に入ることを指揮通信で伝えます。
  5. 救助者の降下
    • すべての空気モニタリングレベルが正常範囲内であることを確認した後、救助者が閉所に入ります。
  6. 被害者への接近と評価
    • 救助者が被害者に近づき、負傷の評価を行います。限られた空間を最大限に活用し、無駄な動きを避けます。
  7. 被害者の固定と引き上げ
    • スケッドを被害者の隣に広げ、ストラップを使用して患者をしっかりと固定します。固定後、慎重に被害者を引き上げます。

患者のパッキング方法

被害者を安全に搬送するためには、適切な器具と技術が必要です。ここでは、レスキュースケッドという器具を使用する方法を説明します。

1.スケッドの展開

  • レスキュースケッドを広げ、被害者を乗せる準備をします。スケッドは軽量で丈夫な素材で作られており、狭い空間でも使用可能です。
  • ※スケッドを展開する前に、それぞれのフラップを折り返して、スケッドを平らに保ちます。

2.被害者の配置

  • 被害者をスケッドの中央に配置します。これは、被害者をバックボードに載せる方法と似ています。スケッドを被害者の横に置き、慎重に転がして中央に配置します。

3.ストラップの固定

  • 被害者を固定するために、クロスストラップを使用します。ストラップをしっかりと締め、被害者が動かないようにします。次に、足ストラップを取り付け、被害者の安全を確保します。

4.ロープの取り付け

  • 約6mのロープを半分に分けてフィギュアエイトノットを作り、スケッドの側面に通します。ノットが被害者の頭上に位置するようにし、底部でボックスノットを結びます。

オープンエリアでのレスキュースケッドに患者を梱包するのは簡単に見えますが、閉所の物理的な危険が作業を大いに複雑化させます。
開放的な場所や理想的な状況でのみ訓練を行うと、誤った安全感を抱くことになります。これらの救助訓練は、最も現実的な環境で行うことが極めて重要です。これにより、身体的にも精神的にも訓練されます。

参考ページ:スケッドストレッチャーの使用方法について、各手順をさらに詳細に説明します。災害救助や医療現場で確実かつ安全に運用できるようにするため、段階ごとにわかりやすく解説します。

結論

閉鎖空間救助は、非常に専門的な訓練が必要です。理想的な環境での訓練ではなく、現実的な状況に対応できるようにすることが重要です。限られた動作範囲での作業は難しいですが、適切な訓練と準備があれば、安全に救助を行うことができます。

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