ファイヤーコントロールボックスを使った火災の進行訓練を解説。燃料制御火災、通気制御火災、フラッシュオーバー、バックドラフトの兆候を見極めるスキルを視覚的に学べます。
1️⃣ はじめに
小型の火災モデルを使い、火災の進行を観察・学習する訓練の詳細を解説します。
このデモは、火災の発達プロセス、燃料制御火災から通気制御火災への移行、フラッシュオーバーやバックドラフトの再現が可能です。
このモデルは約2000円で作成できる低コストの学習ツールですが、実際の火災現場での挙動を的確に再現でき、消防士の訓練において非常に価値のあるものです。
2️⃣ 使用する道具と準備
• 火災モデルの箱:耐熱性のある小型の箱(木製または金属製)
• 燃料:ペレット、木片、ダンボールなど、煙とガスを発生する燃料
• 点火用具:ライター、マッチなど
• 保護具:必要に応じて、呼吸用保護具(BA:ブリージングアパラタス)
• 安全装置:消火器、スプレータイプの消火水
3️⃣ 火災の発達段階(詳細解説)
🔹 1. 燃料制御火災(Fuel-Controlled Fire)
🔥 特徴
• 火災は、燃料(ペレットや木片)に依存して進行します。
• 火が燃料の一部のみを燃やしている状態で、燃料が十分に供給されている状態。
💨 煙の動き
• 煙の色は最初は白(=水蒸気)で、次第に黄色→茶色→黒へと変化します。
• **ニュートラルプレーン(中性面)**が天井付近に形成され、煙は上部にたまります。
• 煙の上昇対流が発生し、天井を横切るように流れるのが観察されます。
📘 学びのポイント
• 火災の進行を視覚的に観察する方法を学ぶ。
• 煙の色の変化(白→茶色→黒)を通して、火災の進行段階を理解する。
🔹 2. 通気制御火災(Ventilation-Controlled Fire)
🔥 特徴
• 火災が進行し、煙が開口部をふさぐ状態になると、空気の供給が制限されます。
• 火災は通気の供給量に依存するようになります。
💨 煙の動き
• 中性面(ニュートラルプレーン)が下降し、煙が部屋の下部まで広がります。
• **煙が乱流(タービュラント)**を起こし、動きが不安定になります。
• 空気の供給が不十分になると、煙が脈動(パルシング)するようになります。
📘 学びのポイント
• 開口部のサイズや通気の重要性を学ぶ。
• 乱流の発生を観察し、通気制御火災への移行を理解する。
🔹 3. フラッシュオーバー(Flashover)
🔥 特徴
• 部屋全体が一気に燃え上がる現象。
• 温度が600℃を超えると、可燃性のガスが天井付近に充満し、着火します。
💨 煙の動き
• フラッシュオーバーの直前には、天井部分に炎の「反転」現象が見られます。※ロールオーバー
• 天井を転がるように炎が広がり、全体的な燃焼が発生します。
📘 学びのポイント
• フラッシュオーバーの兆候を見極めるスキルを学ぶ。
• 煙の挙動、炎の広がり方、温度の上昇が重要な観察ポイントです。
🔹 4. バックドラフト(Backdraft)
🔥 特徴
• 酸素が急に供給されることで、煙が爆発的に燃焼する現象です。
• 火災室の内部は高温の可燃性ガスが充満し、酸素が入ると爆発が発生します。
💨 煙の動き
• 煙が隙間からゆっくりと排出されるのが観察できます。
• 煙が透明から白、茶色、黒に変わり、開口部ができると炎が外に噴き出すことがあります。
📘 学びのポイント
• バックドラフトの兆候を見極める技術を学ぶ。
• 酸素供給の変化が火災に与える影響を観察する。
4️⃣ 消火技術の訓練
🔹 ドアエントリー技術
• 扉を開く際は、開口部の変化が火災に与える影響を理解する必要があります。
• ドアをゆっくり開け、扉の上部に少量の水を噴霧することで、火災の進行を抑えることができます。
理由
• ドアの上部は最も高温になりやすく、可燃性ガスが溜まっています。
• 冷却することで、バックドラフトの発生を防ぐことができます。
🔹 火災の抑制
• 燃焼する燃料に水をかけると、煙の発生が変化します。
• 天井付近に少量の水をスプレーすることで、火災の進行を制御できます。
5️⃣ 重要な観察ポイントと学びの要点
🟡 重要な観察ポイント | 🔍 観察の詳細 | 📘 学びの要点 |
---|---|---|
🔥 煙の色の変化 |
|
|
🔥 中性面(ニュートラルプレーン)の変化 |
|
|
🔥 乱流とパルシング(煙の動きの変化) |
|
|
🔥 フラッシュオーバー(Flashover) |
|
|
🔥 バックドラフト(Backdraft) |
|
|
🔥 煙の自己着火(オートイグニッション) |
|
|
6️⃣ まとめ
この小型火災モデルのデモンストレーションは、火災の発達段階を詳細に観察できる貴重な訓練です。
低コストで作成可能な箱で、本物の火災現象を忠実に再現することができます。
消防士にとってバックドラフトの兆候の理解、ドアエントリーの技術、通気管理の重要性を学ぶ上で、このモデルは非常に価値の高いツールです。
このデモは、次の6つの重要な現象を学ぶことができます。
• 燃料制御型火災
• 通気制御型火災
• フラッシュオーバー
• バックドラフト
• ドアエントリー技術
• 開口部の管理
🔥 これらのスキルは、消防士の生存率を向上させ、人命救助にも大きな影響を与えるものです。
「火災モデルの訓練は超重要!燃料制御から通気制御、フラッシュオーバーやバックドラフトの兆候を見極める技術が学べるよ。特に開口部の管理とドアの開け方は、命を守る超大事なポイントだよ!」