火災原因調査【実践編パート1】

火災調査

1. 関係者からの情報収集(初動聴取)

出火時に現場にいた人物(火元責任者・出火責任者)からの事情聴取  火災発生時の状況、異常の有無、火気や電気機器の使用状況、在宅人数、避難状況などを聴取。  ※第一発見者の証言は出火位置を特定する重要情報になる。 同居家族・同僚・店舗従業員など周辺関係者からのヒアリング  火災前後の行動、トラブルの有無、不審者の目撃などを確認。必要に応じて供述調書の作成も検討。

2. 関係者不在時の対応

孤独死・身元不明火災などで関係者が存在しない場合  地域包括支援センター、自治会、管理会社、大家、近隣住民などから情報を収集。調査時までに代理人や関係機関の立会いを調整する。  ※遺品整理業者や警察と連携するケースもあり。 被害者が救急搬送された場合  救急隊から、搬送時の傷病名、発見位置、意識状態、避難経路、本人の発言内容などを聞き取り。  ※隊長や活動記録に基づいて、正確な情報を得る。

3. 焼損前の状況把握

Googleマップ、ストリートビュー、自治体の航空写真で外観確認  焼損前の建物形状、屋根の形、ベランダの有無、周囲との距離感などを把握。  ※延焼範囲の推定や構造の推定に活用。 近隣住民のスマホ写真や防犯カメラ映像の確認  火災直前の様子や、煙・炎の出始めなどを記録した映像を入手できれば、出火時刻や初期炎上位置の特定に有効。

Googleストリートビュー イメージ
防犯カメラ イメージ

4. 出火棟・出火室の特定

焼け方の特徴(焼け落ち箇所、炭化の方向性)を調査  天井材の炭化状況、壁面のすすの付着具合、床の損傷程度などから火源の位置を推定。 消防隊の初動活動情報を確認  放水位置、火点の目視確認状況、延焼拡大の様子などを記録。

5. 出火室の図面作成

出火室の簡易レイアウト図を作成  部屋の間取り、寸法(メジャーで実測)、家具の配置、家電製品や火気器具の位置を図示。  ※冷蔵庫、電子レンジ、ストーブ、たばこ等の位置を特に明記。

6. 現場保存・保全措置

警察との連携により現場立入管理を行う  出火原因が刑事事件に関係する可能性がある場合は、警察と調整のうえで現場保存。 カラーコーン、バリケード、警告テープ等で立入禁止範囲を明示  不特定者の立入を防ぎ、現場の損壊や証拠の喪失を防止。

7. 危険物・障害物の対応

屋根瓦・雨どい・破損した外壁材など落下物の除去  安全確認後に除去し、調査員の動線を確保。ヘルメット・防塵マスク等の着用を徹底。 倒壊・崩落の危険がある構造物にショアリング(仮設支柱)を設置  消防の技術職員や工務店と連携して、安全な調査環境を構築する。

8. 残さの整理と収集

焼け残った可燃物・家具・家電・配線などの集積場所を確保  発掘前と発掘後の状態がわかるよう、整理して保存。写真撮影後に順次取り出す。 2階以上の出火で床が焼け落ちている場合は復原床を設置  足場・板張り等で調査者の安全を確保した上で、落下物の発掘作業を実施。

9. 写真撮影(記録保持)

調査開始前の状態を包括的に記録  ・建物の外観全体  ・火災延焼の状況(隣家・上階など)  ・出火室の俯瞰・室内全景  ・家具・家電・可燃物の配置状態  ・焼け方の特徴(炭化、亀裂、落下物) 写真は時系列で管理し、後日資料として活用できるよう保存  RAWデータまたは高解像度JPEGで記録推奨。

10. 放火が疑われる場合の対応

揮発性液体の痕跡がある場合、北川式検知管等による簡易鑑定  灯油・ガソリンなどの可燃性物質の残留を現場で確認し、必要に応じて成分分析を依頼。 意図的な火元・可燃物の集中配置がないか確認  複数火点の可能性や、出入り口・逃走経路の確保の有無も確認する。

火災原因調査チェックリスト【実践編パート1】

🔥 火災原因調査チェックリスト【実践編パート1】

1. 関係者からの情報収集(初動聴取)

  • 火元責任者・出火責任者からの事情聴取
    • 火災発生時の状況
    • 異常の有無
    • 火気・電気機器の使用状況
    • 在宅人数・避難状況
    • 第一発見者の証言
  • 周辺関係者への聴取(同居家族・従業員など)
    • 火災前後の行動
    • トラブルの有無
    • 不審者の目撃
    • 供述調書の作成

2. 関係者不在時の対応

  • 地域包括支援センター等からの情報収集
  • 代理人・関係機関の立会い調整
  • 遺品整理業者・警察と連携
  • 救急隊から搬送時の情報を聴取

3. 焼損前の状況把握

  • Googleマップや航空写真で外観確認
  • 建物形状や隣接状況の確認
  • 近隣のスマホ写真や防犯カメラ映像を確認

4. 出火棟・出火室の特定

  • 炭化・すす・損傷等の焼け方調査
  • 消防隊の初動活動情報を確認

5. 出火室の図面作成

  • 部屋の間取り・寸法を計測
  • 家具・家電・火気器具の位置を記録
  • 冷蔵庫・電子レンジ・ストーブ・たばこの位置を明記

6. 現場保存・保全措置

  • 警察と連携し現場保存を実施
  • 立入禁止範囲の明示(コーン・テープなど)

7. 危険物・障害物の対応

  • 落下物の除去と安全確認
  • 防塵マスク・ヘルメットの着用
  • ショアリングによる安全確保

8. 残さの整理と収集

  • 可燃物などを整理・保存・撮影
  • 復原床の設置(2階以上の火災時)

9. 写真撮影(記録保持)

  • 建物外観・延焼状況を撮影
  • 出火室の全景・家具・焼損状態の撮影
  • RAWまたは高解像度JPEGで保存

10. 放火が疑われる場合の対応

  • 揮発性液体の検知(北川式検知管など)
  • 可燃物の集中配置の確認
  • 複数火点や逃走経路の確認

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