持ち上げとクリビングの技術

救助

はじめに

地震や自然災害が発生した際、重い瓦礫の下に閉じ込められた被災者を救出する必要が生じることがあります。その際、消防士や地域の緊急対応チームにとって**「持ち上げ」と「クリビング(支えの設置)」**の技術は、被災者を安全かつ迅速に救出するための重要な手法です。

この記事では、持ち上げとクリビングの手順を詳しく解説します。消防士だけでなく、地域住民も知識を持つことで、いざというときに救助活動を支援することが可能です。

持ち上げとクリビングとは?

1. 持ち上げ(Lifting)

**「持ち上げ」**は、てこの原理を利用して重い瓦礫を少しずつ持ち上げる方法です。支点とレバーを使い、少ない力で大きな物体を動かせるのが特徴です。

• 支点(固定された物体)は、瓦礫を持ち上げたい箇所のすぐ近くに設置します。

• レバー(長い棒)は、支点の上に置かれ、押し下げることで瓦礫が持ち上がります。

2. クリビング(Cribbing)

**「クリビング」**は、瓦礫の下に支えを設置して、持ち上げた瓦礫を安定させる技術です。これにより、被災者の救助中に瓦礫が突然落下するリスクを軽減します。

• 使用する支えの材料は木のブロックが理想的ですが、その他の安定した素材(ブロック、金属片など)も使用できます。

• 支えの設置は「箱形クリビング(Box Cribbing)」という方法が一般的で、縦横に交差させて積み重ねることで、安定した土台を作成します。

持ち上げとクリビングの手順

持ち上げとクリビングの手順は6人のチーム編成で行うのが理想的です。以下に詳しい手順を解説します。

1. チーム編成と役割分担

役割 担当業務

チームリーダー: 指揮、役割分担、全体の指示出し

リフター: 支点とレバーをセットし、瓦礫を持ち上げる

クリバー:(2名) クリビング材(支え)を挿入し、安定させる

医療担当者: 被災者の状態を監視し、適切な救出タイミングを判断

安全担当者: 現場の安全を確保し、危険を見張る

2. 作業の流れ

(1) 事前の準備

• 6人のチームメンバーを集め、役割を割り振ります。

• 必要な資材(レバー、支点、クリビング材料、PPE(個人防護具))を確認します。

• 現場の安全性を確認し、落下の危険がないか、二次災害が発生するリスクがないかを調査します。

(2) 瓦礫の持ち上げ作業

1. チームリーダーが「手を上げて!」と指示し、全員が手を上げ、手が瓦礫の下にないことを確認します。

2. 「リフター準備!」の合図で、リフターが支点とレバーをセットし、持ち上げの準備をします。

3. 「リフター持ち上げ!」の合図で、リフターがレバーを操作して瓦礫を持ち上げます。

(3) クリビング作業

4. 「クリバー作業開始!」の合図で、クリバーが持ち上がった瓦礫の下にクリビング材を差し込みます。

5. 「手を上げて!」の合図で、全員が再び手を上げ、瓦礫が安定しているかを確認します。

6. 「リフター下ろして!」の合図で、リフターがレバーをゆっくりと戻し、瓦礫をクリビング材の上に着地させます。

(4) 繰り返し作業

この手順を繰り返し、持ち上げ、クリビングを繰り返すことで、徐々に瓦礫の高さを上げていきます。

(5) 被災者の救出

• 瓦礫の高さが十分に確保されたら、医療担当者が被災者の様子を確認します。

• もしクリアなスペースがあれば、被災者を慎重に引き出します。

• 救出が完了した後、チームは瓦礫をもとに戻す場合があります。

安全上の注意点

1. チームの安全が最優先

瓦礫の持ち上げ作業では、急いで作業を進めたくなるかもしれませんが、安全を最優先に考える必要があります。

2. 手を下に入れない

瓦礫の下に手を入れるのは絶対に禁止です。クリビング材を使って支えを調整するようにしてください。

3. 「手を上げて!」の指示を徹底

全員が手を上げることで、瓦礫の下に手がないことを確認できます。

必要な道具・機材

• てこ用のレバー(棒や鉄パイプ)

• 支点になるブロックや岩

• クリビング材(木材、金属片、ブロックなど)

• PPE(手袋、ヘルメット、安全メガネなど)

災害で瓦礫の下に人が閉じ込められたとき、「持ち上げ」と「クリビング」って技術が役立つんだよ。持ち上げは、てこの原理で少ない力で瓦礫を動かす方法で、クリビングは木とかで支えを作って瓦礫が落ちないようにするんだ。これ、覚えておくといざってとき安心だよね。

まとめ

「持ち上げ」と「クリビング」の手順は、消防士や救助メンバーが被災者を救助するための基本技術です。この技術を正しく使えば、瓦礫の下に閉じ込められた人々を安全に救出することが可能です。

ただし、訓練を受けることが不可欠です。知識だけでは不十分であり、実際の場面で役立てるためには、実地訓練に参加することをお勧めします。

消防士や救助メンバーだけでなく、一般の地域住民もこれらの技術を知っておくべきです。

あなたの一つの知識が、誰かの命を救うかもしれません。

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