救命索発射銃(レスキューMAX)

ロープレスキュー

レスキューMAXの操作ガイド

ここでは、**Rescue Max(レスキューMAX)**の使用方法について説明します。レスキューMAXは、救助活動を支援するために設計されたツールであり、適切なアクセサリーを選択することで、さまざまな状況に対応できます。

ここでは、以下の手順を詳しく説明します。

レスキューMAXの装填方法

適切な展開手順

再パックの方法

レスキューMAXは、ライン(ロープ)単体での展開、スリング(浮力装置)付きラインの展開、グラップリングフック(鉤爪)を使った展開など、多様なオプションを備えています。

この各セグメントでは、それぞれのアクセサリーに応じたリパッキング手順を個別に解説します。展開後に適切なリパッキングを行うことで、次回の使用時に迅速な展開が可能になります。

レスキューMAXの基本構成

レスキューMAXの標準構成には、以下のパーツが含まれます。

1. ランチャー(発射装置)

2. 折りたたみ式ストック(狙いを定めるための補助装置)

3. ラインコンテナ(ロープ収納ケース)

ラインコンテナは、使用するロープの種類によって異なります。大きなコンテナは長距離用ライン向け、小さなコンテナは短距離用ライン向けです。

折りたたみ式ストックは、発射時の安定性を高める役割を果たします。折りたたむと持ち運びしやすくなります。

エア充填システム(フィラーホース)

レスキューMAXは、圧縮空気を使用して発射されます。この空気は、以下の機器から供給されます。

• 消防用SCBA(自給式呼吸器)(北米・欧州・日本規格対応)

• スキューバボンベ(潜水用タンク)

このフィラーホースは、各国の規格に適合した接続アダプターを備えています。

ラインプロジェクタイル(ライン発射体)の特性

レスキューMAXは、ロープの種類や空気圧によって異なる距離へラインを展開できます。

プロジェクタイル(発射体)には、以下の種類があります。

• 標準プロジェクタイル(最大5年間使用可能)

• トレーニングプロジェクタイル(繰り返し使用可能)

• 発光プロジェクタイル(夜間用:蓄光顔料で発光)

各プロジェクタイルは、外部からの衝撃を保護するためのPVCフォームプロテクター(緩衝材)で覆われています。プロテクターが損傷した場合は、速やかに交換してください。

使用可能なラインの種類

• 4mm・6mmスペクトラライン(高強度)

• 3mmダクロンライン(耐久性あり)

• 8mmポリスペクトラライン(標準)

• 各種ポリプロピレンライン(軽量)

• 2mmスペクトラ+ダクロンリーダー(特殊用途)

圧縮空気の充填手順

注意事項:

圧縮空気のみを使用してください。

• 酸素や可燃性ガスは厳禁(爆発の危険あり)。

• 最大充填圧力は3,000psi(207bar)。

• 緊急時以外は20%を超えて充填しないこと。

充填手順

1. エア供給装置を接続(適切なアダプターを使用)

2. プロジェクタイルのバルブキーを「開」位置にセット

3. フィラーバルブにプロジェクタイルを接続

4. エア供給を「ゆっくり」開き、圧力計を確認

5. 適切な圧力(3200psi/220bar)で充填を停止

6. バルブキーを「閉」位置に戻す

7. ホースを取り外し、保管する

充填後は、安全な場所に保管してください。特に高温環境では、内部圧力が上昇し破裂する可能性があるため注意が必要です。

ストック(折りたたみ式ストック)の使用方法

レスキューMAXのストックは、狙いを正確に定めるための補助装置です。ストックは折りたたみ式になっており、展開・収納が簡単に行えます。

ストックの展開方法

1. ストックの末端を押し下げる

2. 親指でストックの基部を押し、ロックを解除する

3. ストックを後方に回転させる(ロックプレートが自動で固定)

ストックの収納方法

1. ストックのロックプレートを親指で引く

2. ストックを前方に折りたたむ

3. バレル(筒)の上部に収納し、フックに固定する

このストックを使用することで、発射時の安定性が向上し、狙いを正確に定めることが可能になります。

ライン(ロープ)のリパッキング手順

レスキューMAXのロープは、現場で手作業による再パックが可能です。専用の機械は不要で、簡単に収納できます。

リパッキング手順

1. ラインコンテナを取り外す

2. コンテナを垂直に持ち、ドアを開く

3. デッドエンド(固定側の端)を30cmほど残し、ロープを収納

4. ロープを肩から引き出し、コンテナ内にランダムに積む(絡まり防止)

5. 途中で押し固め、スペースを確保

6. 全て収納後、ドアを閉じる

7. ラインコンテナを再度ランチャーに取り付ける

注意点:

• ロープは海水などに浸かった場合は真水で洗浄し、完全に乾燥させてから収納すること。

• 損傷や摩耗したロープは、すぐに交換すること。

ラインコンテナの取り付け方法

リパッキングしたラインコンテナをランチャーに正しく取り付けることで、安全な発射が可能になります。

取り付け手順

1. ラインコンテナのT字ブラケットをランチャーのT字溝に合わせる

2. ランチャーを前方にスライドさせ、コンテナのロック穴にカチッと固定する

3. デッドエンド(固定側のライン)をランチャーのアイレット(固定穴)に結ぶ

4. ライブエンド(発射側のライン)をプロジェクタイルのクイックコネクトに接続

この手順で取り付けることで、ラインが確実に固定され、発射時のトラブルを防ぐことができます。

プロジェクタイル(発射体)の装填方法

発射体(プロジェクタイル)には、標準タイプ、トレーニングタイプ、発光タイプがあり、適切な装填を行うことで、確実なライン展開が可能になります。

装填手順

1. プロジェクタイルのブライドルライン(補助ロープ)を確認

2. プロジェクタイルをランチャーのバレルに挿入する(V字ノズルを上向きに)

3. バレルの溝にブライドルラインをセットし、絡まりを防ぐ

4. プロジェクタイルを軽く回転させ、ロック機構にカチッと固定する(クリック音)

5. ライブエンドのラインをプロジェクタイルのクイックコネクトに接続する

注意:

• プロジェクタイルのノズル位置がずれていると、装填できないため調整すること。

• ノズルが確実に固定されたことを確認する(クリック音が鳴るまで押し込む)。

セーフティ(安全装置)の解除方法

レスキューMAXは、不意の発射を防ぐために自動セーフティ装置を備えています。

セーフティ解除手順

1. セーフティプッシュノブ(黒いボタン)を押す

2. ボタンが少し沈み、解除状態になる

3. 発射準備完了

注意:

• 新しいプロジェクタイルを装填すると、自動的にセーフティが再設定される。

• 誤ってセーフティを解除した場合、手で回転させて再設定が可能。

発射準備と操作手順

発射前のチェックポイント

1. ブライドルラインが適切に接続されているか確認

2. デッドエンドのラインが確実に固定されているか確認

3. プロジェクタイルのバルブキーを「開」位置にする

4. 圧力ゲージを確認し、適正圧力(3000psi)が維持されているかチェック

発射方法

1. ランチャーを肩に構え、約35度の角度で照準を合わせる

2. セーフティプッシュノブを押して解除する

3. 引き金を引く(このときランチャーを安定させる)

4. プロジェクタイルが発射され、ラインが展開される

注意:

• 圧力が不十分な場合、発射に失敗する可能性があるため、事前に確認すること。

• 不必要な発射を避けるため、セーフティは発射直前に解除すること。

スリング(自動膨張式浮力装置)の使用方法

レスキューMAXには、**水難救助用のスリング(自動膨張式浮力装置)**を装着することが可能です。スリングは「スリングバーストカプセル」に収納されており、水に浸かると自動的に膨張し、要救助者の浮力を確保します。

スリングの装着方法

1. スリングバーストカプセルをプロジェクタイルに取り付ける

2. プロジェクタイルのブライドルライン(補助ロープ)をスリングのループに通す

3. スリングのループをプロジェクタイルのノズル根元に固定する

4. プロジェクタイルをランチャーに装填し、ライブエンドのラインを接続

注意:

• スリングの取り付けが不十分だと、展開時に分離する可能性があるため、確実に固定すること。

スリングの再パック方法(使用後のメンテナンス)

スリングを再利用する場合は、以下の手順でCO₂カートリッジとボビン(溶解式トリガー)を交換し、適切に収納してください。

1. スリングの空気を完全に抜く

• 赤いオーラルインフレーター(口吹き用バルブ)の黒キャップを外し、逆向きに装着すると、空気が抜ける。

• 空気が完全に抜けたら、元の向きに戻してキャップを閉じる。

2. 新しいボビン(溶解トリガー)をセットする

• ボビンキャップを外し、古いボビンを取り除く。

• 新しいボビンを正しい向きで装着し、キャップを締める。

3. 新しいCO₂カートリッジを取り付ける

• 使い終わったカートリッジを回して取り外し、新しいカートリッジをしっかり装着する。

4. スリングを折りたたんで収納

• スリングを半分に折り、さらにもう一度折りたたむ。

• ブライドルラインをしっかりと伸ばし、絡まないよう整理する。

• スリングをしっかり巻き、スリングバーストカプセルに収納する。

• 必要に応じてカプセルを固定するためにテープを使用する。

重要:

• 海水で使用した場合は、すべての部品を真水で洗浄し、完全に乾燥させること。

• スリングバーストカプセルが破損している場合は、新しいカプセルに交換する。

グラップリングフック(鉤爪)の使用方法

レスキューMAXは、ライン展開のための**グラップリングフック(鉤爪)**を装着することも可能です。これは、川や流れのある水域へのロープ展開や、船の係留索を回収する際に使用できます。

グラップリングフックの装着方法

1. プロジェクタイルのブライドルラインを取り外す(クイックコネクトを解除)

2. プロジェクタイルの先端にグラップリングフックを装着する

3. ライブエンドのラインを、バレルの前方からノズルの根元まで回し、ベルクロストラップで固定

4. グラップリングフックのシャフトのアイレット(固定穴)にロープを結ぶ(ボウライン推奨)

5. プロジェクタイルをランチャーに装填し、ライブエンドのラインを接続

注意:

• プロジェクタイルプロテクター(PVCフォームカバー)は使用できません。

• ラインの固定が不十分だと、展開時に分離する可能性があるため、確実に結ぶこと。

参考動画

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