火災対応手順
電力会社への連絡と注意点
変電所で火災が発生した場合、まず最初にするべきことは電力会社に連絡することです。電力供給の停止には時間がかかることが多いため、早急な対応が求められます。電力供給が続いている状況では、変電所内に入ることは非常に危険です。電気が流れている状態では、感電のリスクが高まり、命に関わる事故が発生する可能性があります。
変電所内には高圧電線や多くの電気機器が配置されており、一見すると安全に見える場所でも、見えない危険が潜んでいることがあります。たとえ火災の煙や炎が見えても、専門の電力会社の担当者が到着するまで待つことが重要です。彼らは変電所の構造や電気設備についての専門知識を持っており、安全に電力を停止する方法を知っています。迅速な連絡と冷静な対応が、変電所火災の初期対応では最も重要なポイントです。
現場到着後の行動
現場に到着したら、まず車両や装置を電線から十分に離れた場所に駐車することが必要です。電線が切れて落下する可能性があるため、十分な距離を取ることが重要です。その後、現場の状況を評価し、可能であれば緊急対応計画のコピーを入手してください。この計画には、変電所特有の危険性や対応手順が記載されていることが多いため、迅速な対応に役立ちます。
他の緊急対応者が到着した場合、現場の危険について速やかに知らせることが必要です。特に電気的な危険や爆発のリスクについて共有することで、全員の安全を確保することができます。緊急対応者同士の連携がスムーズに行われることが、火災の被害を最小限に抑えるために重要です。
見物人の安全確保
火災現場では見物人の安全を確保することも大切です。見物人を少なくとも100メートル以上離れた場所に移動させるようにしてください。これは、爆発や飛散物による二次的な被害を防ぐためです。火災の熱や爆発によって、油入りブレーカーやトランスから飛び散る破片や燃える油は致命的な危険をもたらします。
見物人に対して、危険性をしっかりと説明することも重要です。多くの人は火災現場の危険を理解していないため、適切な距離を保つことが難しい場合があります。具体的な危険性とその理由を説明し、協力を求めることで、安全な環境を維持することができます。
装置の準備と財産保護
現場での対応を進める中で、装置の準備と周囲の財産の保護も重要です。火災現場では、周囲の財産を保護するために水を霧状にして適用することが効果的です。ただし、資格のある電力会社の担当者が現場にいない限り、変電所には絶対に入らないようにしてください。変電所には特有の危険があり、専門知識がなければ対応は非常に難しいです。
担当者が到着したら、彼らの指導のもとで消火活動を進めます。彼らは変電所の構造や設備に関する詳細な知識を持っており、安全かつ効果的な方法で火災を鎮火することができます。無許可での行動は避け、常に専門家の指示に従うことが大切です。
変電所での火災安全対策
装置と線へのアプローチ限界
変電所での火災対応では、装置や電線へのアプローチ限界を守ることが重要です。これは、非通電状態でも同様です。変電所のコンポーネントが通電していない場合でも、感電のリスクは完全には消えません。接地が不十分な場合や残留電気がある場合、予期せぬ事故が発生する可能性があります。
消火車両は、接地グリッドに接続する必要があります。これは、消火活動中に車両が電気的に安全であることを確保するためです。接地グリッドに接続することで、電気的なリスクを最小限に抑えることができます。常にアプローチ限界を守り、安全な距離を保つことが、事故を防ぐための基本です。
金属製物体の使用禁止
変電所での火災対応中には、金属製のはしごや物体を使用しないようにすることが必要です。金属は電気を通しやすいため、感電のリスクが非常に高まります。特に、変電所内では多くの電気機器が設置されているため、金属製物体の使用は重大な事故につながる可能性があります。
巻尺や延長コードなどの金属製物体も同様に危険です。これらの物体が電気に接触すると、火災の鎮火活動がさらに危険な状況になることがあります。安全を確保するために、常に非導電性の装備を使用し、金属製物体の使用は避けるようにしましょう。
変電所制御建物での特別な考慮事項
設置機器の性質と価値の考慮
変電所制御建物での火災対応では、設置されている機器の性質や価値を慎重に考慮する必要があります。多くの消火剤が機器に損傷を与える可能性があるため、二酸化炭素消火器を優先的に使用することが推奨されます。水の無差別な使用は重大な損害やサービスの中断を引き起こす可能性があるため、電力会社の担当者の許可が必要です。
変電所の機器は高価であり、その損傷は大きな経済的損失を引き起こす可能性があります。したがって、火災対応中には機器の保護を最優先に考え、適切な消火方法を選択することが重要です。専門家の指導のもとで行動することが、安全かつ効果的な対応を実現するための鍵となります。
PVCケーブル燃焼ガスの有毒性
変電所制御建物内の火災では、PVCケーブルの燃焼ガスが非常に有毒であることに注意が必要です。これらのガスは腐食性が高く、健康被害を引き起こす可能性があります。制御建物に入って火災を消火する際には、自給式呼吸器(SCBA)を着用することが必要です。
また、機器の清掃と除染には特別な注意が必要です。燃焼ガスによる汚染を防ぐため、適切な防護装備を使用し、清掃作業を慎重に行うことが重要です。健康と安全を確保するために、専門家の助言を受けながら対応することが推奨されます。
自動固定式消火システムの確認
変電所制御建物には、自動固定式消火システムが設置されている場合があります。これらのシステムは、火災の早期発見と迅速な対応を可能にします。最も一般的なタイプはスプリンクラーおよびプレアクションシステムであり、完全な火災検知および警報が装備されています。
これらのシステムには酸素置換ガス(例:SF6、Novec 1230)が含まれることがあり、これらのガスが漏れると酸素欠乏の危険があります。したがって、消火活動中には必
ずSCBAを使用し、安全な操作を行うことが求められます。
空気処理システムの確認
変電所制御建物、コンプレッサー建物、およびその他の支援施設の空気処理システムは、スイッチヤード火災からの煤煙の建物内への侵入を防ぐために、停止要件を評価するために確認する必要があります。空気処理システムの適切な操作は、建物内の空気質を保ち、火災の影響を最小限に抑えるために重要です。
変電所またはスイッチヤードの消火手順
電力会社の指示に従う
変電所やスイッチヤードの火災では、電力会社の担当者の指示に従うことが基本です。特に電気設備近くでの水使用時には、推奨される最小距離(10メートル)を守り、水霧やスプレーの設定を30度以上、圧力を700 Kpa以上にすることが安全です。
油充填装置火災の対応
変電所の火災の大部分は、トランスフォーマーやサーキットブレーカーで使用される可燃性絶縁油が原因です。油充填装置火災の場合、隣接する設備や熱い金属表面に水霧を適用することで再燃を防ぎます。通電していない場合には、泡を使用することも有効です。
見物人の安全確保
火災現場では見物人を少なくとも100メートル以上離れた場所に移動させることが必要です。爆発や飛散物による二次的な被害を防ぐため、安全な距離を保つことが重要です。見物人に危険性を説明し、協力を求めることで、現場の安全を確保します。
燃焼油の流入対策
燃焼油がケーブルトレンチやアクセスホールに流入することを防ぐため、封じ込めを試みます。電力会社の担当者は油流出を封じ込める訓練を受けており、専門的な支援を提供することができます。燃焼油の流入対策を講じることで、環境への影響を最小限に抑えます。
以上が変電所火災における対応手順と安全対策の詳細です。常に専門家の指導のもとで行動し、適切な安全装備を使用することが、火災の被害を最小限に抑えるための鍵となります。
コメント