タワースケートレスキューの手順と注意点
タワースケートレスキューは、高所作業中の事故や緊急時における重要な救助技術です。本記事では、基本的な手順から具体的な注意点まで詳しく解説いたします。
1. ロープ制動器の取り付け
まず、地上にある確保されたアンカーにロープ制動器を取り付けます。ロープ制動器は、スケートライン上でディセンダーデバイス(降下用装置)として機能し、被害者を安全に降下させるための重要な装置です。移動可能なアンカーがおすすめです。(車両アンカー等)
2. プーリーシステムの準備
ウェビングストラップはアンカーとして使用され、これを構造物にしっかりと取り付けて、スケートブロック全体を固定します。ウェビングストラップはカラビナに接続され、さらにプーリーに接続されます。これにより、簡単なプーリーシステムが構築されます。
補足:プーリーシステムは、スケートブロックと呼ばれるミニブロックをメインラインに接続して構成されます。メインラインにはスリップノットがあり、このスリップノットはシステムをまとめておくために重要です。スリップノットの作り方は、ロープを少し巻き、コイルを作り、タックを入れるだけで簡単に作成できます。これにより、タワーに接続する際にシステムがライン上を滑り落ちないようにします。
3. タワーへの接続と確認
次に、タワーにシステムを接続します。構造物の上にいる場合、アンカーをタイバックスナップで接続します。構造物に巻き付けてウェビングに接続し、確実に固定されていることを確認します。鋭利なエッジを避けるようにし、避けられない場合はキャンバス素材などを使用してウェビングと構造物の間にパッドを置きます。
ゲート付きハンドラインフックを被害者の前部Dリングに取り付け、スリップノットを解除します。
すべての接続が正しいか確認することが重要で、仮のアンカーが良好であること、カラビナがロックされていること、高方向プーリーが良好であること、ゲート付きハンドラインフックがスイベルに接続され、スケートブロックに接続されていることを確認します。
もし、被害者がアームの端などにぶら下がっていて、墜落防止装置でぶら下がっている場合、状況が少し変わります。この場合、傷病者の墜落防止装置を取り付けます。構造物にいて、Dリングには手が届かないが、墜落防止装置には手が届くという状況です。この場合、プルージック(摩擦ノット)を使用します。
4. 被害者の降下準備
システムが全てが接続されたら、被害者を降ろす準備が整います。地上の救助者がロープを強く引っ張るだけで既存のロープの荷重を解除できます。
地上アンカーは構造物からどれくらい離すべきかという点も重要です。最も理想的な条件は1対1で、例えば10m上にいるなら、アンカーも10m離れているのが理想です。
6. 救助の実施
システムを引き上げて、たるみを取ります。被害者を少し持ち上げ始め、システムをもう少し安全にするためのオプションとしてプルージックを使用できます。人数が足りない場合や、安全性を高めたい場合に有効です。
被害者の墜落防止装置を外し、メインラインにリリースします。タワーの上の救助者は地上の救助者に「墜落防止装置がセットされ、被害者を降ろす準備ができた」と伝える必要があります。
7. 被害者の地上降下
荷重がレスキューロープにかかっていることを確認できれば、被害者の元のロープを切断するか解除します。制動器を緩めていき、被害者を地上に降ろします。このようにして、タワースケートレスキューが安全に行われます。
タワースケートレスキューは非常に専門的な技術であり、練習と経験が必要です。常に安全に配慮し、適切な手順を守って実施することが大切です。
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