ツインテンションロープシステム(TTRS)におけるクラッチの役割

ロープレスキュー

ツインテンションロープシステム(TTRS)は、救助活動や作業現場での引き上げや降下操作において、現在最も推奨されている方法です。この記事では、TTRSで使用されるクラッチに焦点を当て、その役割や操作方法について詳しく説明します。

クラッチの基本的な役割

TTRSでは、2本のロープが並行して使用され、それぞれのロープにクラッチというデバイスが取り付けられます。クラッチは、ロープのテンションを制御し、均等に分散する役割を果たします。これにより、一方のロープに問題が発生した場合でも、もう一方のロープが負荷を支えることができます。

シナリオ1:2人のオペレーターによる操作

最初のリギングシナリオでは、2つのアンカーにクラッチを取り付け、2人のオペレーターがそれぞれクラッチハンドルとロープテールを操作します。ローダー(救助者と負荷を運ぶリッター)がエッジに近づくと、この段階ではまだ重力の影響が少ないため、クラッチにかかる負荷は比較的軽いです。エッジを越えた瞬間、オペレーターは片方が緩んでいるラインともう片方が張っているラインから、2つのデバイスに均等に分散されたテンションシステムへと移行します。

効果とリスク
これは、2人のオペレーターがローダーを均等に降ろすことを調整することにあります。片方のラインに何か重大な問題が発生した場合、その負荷はもう一方のテンションラインにシフトし、ショックや延伸を減少させます。これにより、救助者や負荷が安全に降下できるようになります。
ただ、このシステムは均等に荷重をかけるのが難しいです

シナリオ2:テイラーの追加によるリスク低減

次のシナリオでは、追加の救助者が利用可能な場合、テイラーを降下システムに追加することでリスクを低減できます。この場合、1人の救助者がそれぞれのクラッチデバイスのテールを管理し、クラッチハンドルオペレーターのバックアップを務めることができます。テールは中央位置にリダイレクトされることもあり、オペレーターが降下速度の制御に問題を経験した場合、テイラーは操作のリスクを軽減する役割を果たします。

テイラーの役割とメリット

テイラーは両方のロープテールをしっかりと保持することで、降下を停止させることができます。これにより、オペレーターが誤ってロープを緩めてしまった場合でも、テイラーが迅速に対応して安全を確保できます。このシナリオでは、人的リソースが豊富である場合に特に有効です。

シナリオ3:ダブルクラッチの活用

救助者の数が限られている場合、アンカーリングが適切で、ダブルクラッチとギアが利用可能であれば、ダブルクラッチTTRSを使用して、人員をギアで代替することができます。このシステムを「ダブルクラッチ」と呼びます。2人用の荷重を設計されたバックアップデバイスとショックアブソーバーは、カラビナを介して各クラッチベケットに接続され、クラッチのテンション側に取り付けられます。

ダブルクラッチの操作方法

1人のオペレーターが両方のクラッチハンドルと両方のロープテールを制御します。バックアップデバイスは無人のビレイデバイス、すなわちバックアップテイラーとして機能します。このシステムにより、限られた人員でも効率的に救助活動を行うことができます。

シナリオ4:バックアップテイラーの配置

傾斜等の垂直ではない操作では、オペレーターが降下速度を制御できず、バックアップデバイスがトリガー速度に達しない場合があります。このシナリオでは、1人のオペレーターがハンドルとテールを管理し、2人目の救助者がバックアップテイラーとしてシステムを監視することで、無制御の降下のリスクを軽減します。

無制御の降下を防ぐ方法

両方のロープテールを手に持つことで、各クラッチでのテンションをより良く共有することができます。適切な訓練を受けたオペレーターが無制御の降下に対する最善の防御策であることを忘れてはなりません。

まとめ

ツインテンションロープシステムは、救助状況での引き上げや降下のための現在のベストプラクティスです。この記事では、クラッチとTTRSを使用した4つのリギングシナリオを紹介しました。場所、装備、人数に応じて、各シナリオには異なるリスクとトレーニング要件があります。適切なシステムを選択することは、特定の救助やトレーニング操作に効果を発揮します。

参考動画

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