はしごがない場合の脱出手段:「ウィンドウハング」
今回は、はしごがない状況での脱出方法について説明します。
VEIS(Vent-Enter-Isolate-Search:換気・進入・隔離・捜索)を行う際、危険な環境にいる場合は迅速に脱出する必要があります。
通常、炎や煙を隔離するためにドアを閉めることが推奨されますが、もし火炎がドアや壁を突き抜けて迫ってきた場合、**ウィンドウハング(窓からのぶら下がり)**を行い、RIT(迅速介入チーム)がはしごを設置するのを待ちます。
ウィンドウハングの手順
1. 窓枠に腕と片足を掛ける
• 身体の大部分をできるだけ窓の下側に出し、安定した状態を確保します。
2. 「メーデコール」を発信
• 時間がない場合、簡潔にでも必ず「メイデイ、メイデイ、メイデイ」と伝えます。
• 例:「こちら○○中隊の○○隊員、ブラボーサイドでウィンドウハング中!」
3. 窓の障害物を取り除く
• ガラスの破片などをすべて除去し、安全にハングできる状態を作ります。
4. ウィンドウハングの体勢を維持
• RITチームのはしごが来るまでその体勢をキープします。

はしごが間に合わない場合の対処
もしはしごが来ない場合は、安全に地面に降下するために以下の方法をとります。
1. できるだけ低い位置から降りる
• 窓枠にぶら下がり、腕を伸ばした状態でできるだけ地面に近づく。
2. 蹴り出して建物から距離を取る
• 壁や障害物(花壇、別の窓枠など)にぶつかるのを防ぐため、少し蹴り出して建物から離れる。
3. 適切な着地方法を取る
• 膝を軽く曲げ、衝撃を分散させる。
訓練時の安全確認
訓練を行う際には、以下の安全確認が必要です。
✅ 安全装備の確認
• 消防士のハーネス、PPE(防護装備)、ヘルメットのストラップが適切に装着されているかチェック。
✅ 安全確保のためのロープシステム
• 下降用の**8mmロープと下降器(ディセンダー)**を使用。
• 安全確保のため、ロープに**スラック(たるみ)**を作らず、適切にロックする。
✅ 安全要員の配置
• 訓練中は必ず安全管理者がロープを確保し、消防士が滑り落ちないように両手で制御する。
実際のデモンストレーション
訓練では、ウィンドウハングの姿勢を数分間維持できるかを確認します。
その後、RITチームの指示に従い、はしごで救助されるか、ロープ下降装置を使って地面に降りる練習を行います。
この訓練を繰り返し行うことで、緊急時に適切な判断をし、確実に脱出するスキルを身につけることができます。