火災原因調査【実践編パート2】

火災調査

1. 現場調査開始時の準備

現場調査の開始にあたっては、安全確保と調査の正確性を両立させるため、事前準備を徹底することが重要です。

現場内の明るさが不十分な場合は、蛍光灯や投光器などの照明器具を設置し、全体の視認性を確保します。とくに夜間調査や曇天時の建物内部では必須となります。

また、調査開始前には、現場の安全確認(崩落の危険・有毒ガスの有無など)を再度実施し、調査員全員が個人防護具(PPE)を適切に装着しているかも確認します。

2. 警察との情報共有と連携

火災現場は刑事事件の可能性もあるため、警察との密な情報共有が不可欠です。

以下の点について事前に共有し、情報の食い違いがないよう調整を行います。

火災の第一発見者情報 通報・初期消火活動の経緯 現地で得られた関係者からの証言 救急搬送された場合の本人発言や意識状態

消防・警察間で現場の見解や証言内容に差異がある場合は、記録内容を相互に照合し、報告書に矛盾が生じないよう整合性を取ることが求められます。

3. 調査方針の打ち合わせ

火災原因調査においては、消防と警察が明確に役割を分担し、調査の干渉や証拠の損失を避けるための打ち合わせが必須です。

以下の点について、現場調査前に協議を行います。

焼損残さの発掘範囲の決定 残さの集積・保管場所の指定 警察による指紋・足跡などの採取場所と時期 鑑識作業(撮影・検出)とのタイミング調整

調査作業が重複しないよう、スケジュールと動線の明確化がポイントです。

たとえば、警察の採取前に消防が残さを動かすことは厳禁です。作業前には「〇時から〇時までは警察作業、以降は消防調査」と具体的に割り振りましょう。

4. 出火室内の物品確認(関係者聴取)

現場調査と並行して、出火室の家具・電化製品・可燃物の配置について、関係者からの聴取を行うことが非常に重要です。

特に以下の情報は、火源特定や出火原因の解明に直結します。

家具や家電製品の設置場所 使用状況(例:電源が入っていたか/使用中だったか) 可燃物(紙、衣類、燃料など)の配置や保管状況 灯油ストーブ・電子タバコなど火気器具の使用有無 ペットの存在や子どものいた場所など、特殊要因の有無

関係者の証言は、火災によって焼失した部分の「補完情報」として扱われるため、聴取内容はできる限り図面と照合し、記録として残すことが推奨されます。

🔍 火災原因調査チェックリスト【実践編パート2】

1. 現場調査開始時の準備

  • 調査前に現場の安全確認を再実施(崩落・有毒ガスなど)
  • 個人防護具(PPE)の装着を確認(全調査員)
  • 照明器具の設置(夜間・曇天・屋内対応)
  • 作業エリアの明るさを確認

2. 警察との情報共有と連携

  • 第一発見者の情報共有
  • 通報・初期消火の状況を確認
  • 現場で得られた証言内容を共有
  • 救急搬送された関係者の発言や状態を確認
  • 消防と警察間の記録内容を相互照合・整合性の確認

3. 調査方針の打ち合わせ(消防・警察間)

  • 焼損残さの発掘範囲を決定
  • 残さの保管・集積場所を指定
  • 指紋・足跡採取の範囲と時期の調整
  • 鑑識作業(撮影・検出)のスケジュール調整
  • 消防と警察の作業時間・動線を明確化

4. 出火室内の物品確認(関係者聴取)

  • 家具や電化製品の設置場所を確認
  • 火気使用状況(ストーブ・電子タバコ等)を確認
  • 可燃物の配置・保管状況を確認
  • 使用中だった電気器具の有無を確認
  • 特殊要因(ペット・小児など)の確認
  • 聴取内容を図面と照合して記録
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