救助活動におけるクレーンの使用

ロープレスキュー

「救助活動でクレーンを使用できますか?」

こういった救助活動に関する質問が過去に多くありました。

「答えは…使用できます。ただし、クレーンのリスクと法律による活動規制を理解し使用することが重要です。」

法律による制限

人員の移動にクレーンを使用する場合、災害現場は危険を伴うため、法律でその使用を厳しく制限しています。

クレーン等安全規則第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について説明します。

この法律では、要救助者のみをクレーンにより運搬、又はつり上げにより救助する場合については、使用することを制限していないが、「専用のとう乗設備」の設置なしでは、消防隊員は、クレーン等安全規則第26条及び第72条の規定による「労働者」に該当することから、消防隊員をクレーンにより運搬、又はつり上げてはならないとされています。

○クレーン等安全規則第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について

(平成20年2月22日)

(基安安発第0222002号)

(都道府県労働局労働基準部安全主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

(契印省略)

標記について、総務省消防庁国民保護・防災部参事官からの別紙甲の照会に対し、別紙乙のとおり回答したので了知されたい。

別紙乙

○クレーン等安全規則第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について(回答)

(平成20年2月22日)

(基安安発第0222001号)

(総務省消防庁国民保護・防災部参事官あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

平成20年2月18日付け消防参第16号をもって照会のあった標記については、貴見のとおりで差し支えありません。

別紙甲

○クレーン等安全規則第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について(照会)

(平成20年2月18日)

(消防参第16号)

(厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長あて総務省消防庁国民保護・防災部参事官通知)

クレーン等安全規則(昭和47年9月労働省令第34号。以下「規則」という。)第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について、消防隊員が行う救助活動にあたり、下記のとおり解釈してよいかご教示願います。

1 要救助者の運搬、又はつり上げについて

要救助者のみをクレーン又は移動式クレーンにより運搬、又はつり上げにより救助する場合については、当該規則に抵触しない。

2 消防隊員の運搬、又はつり上げについて

消防隊員は、規則第26条及び第72条の規定による「労働者」に該当することから、救助活動のために消防隊員をクレーン及び移動式クレーンにより運搬、又はつり上げてはならない。

ただし、救助活動時、消防隊が保有する資機材で他に進入方法がない場合や緊急上やむを得ない場合等は、規則第27条第1項又は第73条第1項の規定に該当することから、それぞれ第27条第2項若しくは第3項又は第73条第2項若しくは第3項を遵守することにより、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備にとう乗させ、消防隊員を運搬、又はつり上げることは可能である。

なお、「専用のとう乗設備」とは、労働者をとう乗させて運搬又は作業させるための専用の搬器または作業床のことであり、次の基準に適合するものとする。

(1) 構造及び材料に応じた最大積載荷重が定められ、かつ、それが表示されていること。

(2) つり鋼索またはつり鋼線の安全係数は10以上、つり鎖又は鋼帯及び支点となる部分の安全係数は5以上であること。

(3) 高さ90cm以上の手すり、中さん及びはば木がそれぞれ全周にわたって設けられていること。

(4) 使用する材料は構造上の強度に影響を与えるような損傷、変形又は腐食等がないものであること。

以上

厚生労働省からの引用

クレーンフックの使用

限られたスペースで救助を行う場合、クレーンフックをハイポイントアンカーとして使用することがあります。この際、すべての隊員は、運動エネルギーの管理をする必要があるということを覚えておいてください。クレーン機器を適切にロックアウトする(キーを取り外したり、電源スイッチを無効にする)また、メーカーのマニュアルに従ってクレーンの制限を確認する必要があります。

クレーンフックの予期せぬ運動は、要救助者と隊員のリスクを高め、重傷を負わせる可能性があります。

救助システムとの併用

前述のとおり、クレーンフックをアンカーポイントとして使用することは、救助現場でとても有効です。
しかし、救助システム(倍力システム等)とクレーン動作(クレーンによる上下左右運動)を併用しないでください。

2ヵ所の動きが不意に意図せず救助システムにたるみを生み出し、要救助者を危険にさらす可能性があります。クレーンの動きは、左右、ブームアップダウン、ブームインアウト、ケーブルアップダウンの複数の平面で行うことができ、救助隊はそれが救助システムの動作にどのように影響するかを評価する必要があります。

結論

要救助者に救助活動にクレーンの使用は可能

救助隊員に救助活動にクレーンの使用は基本不可能

クレーンフックをハイポイントアンカーとして使用することができる

救助システムとクレーン動作を併用しない

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