シャッター開放

ドアエントリー

火災現場での迅速な対応は命を救う鍵です。閉ざされたシャッターは、救助活動を妨げる大きな障害となり得ます。この記事では、電力が遮断されたり、シャッターのメカニズムが損傷している場合にも、消防士がシャッターを迅速に開けるための具体的な方法を紹介します。

シャッターの種類

シャッターには、手で開閉する軽量シャッターと電動で開閉する重量シャッターがあります。
軽量シャッターには基本、中央部に鍵穴があり、鍵穴の裏側には鍵を解錠するサムターンが設けられています。

サムターン

シャッタードアについての詳細な情報をまとめると、これらのドアは主にセキュリティとアクセス制御の目的で商業施設や住宅のガレージに使用されます。3つの主なタイプに分類され、それぞれが特定の機能と設置場所に最適化されています。

ロールアップドア

  • 概要: 店舗、工場、倉庫などで一般的に使用され、外壁に固定されたガイドレールに沿って垂直に上下します。
  • 特徴:
  • 手動、機械式(チェーンアシスト)、電動モーターによる操作が可能。
  • ローリングスチールドアは金属製の連結スラットから構成され、シートカーテンドアは一枚の固いシートでできています。
  • 火災現場での問題を引き起こすことがあり、特に発見の遅れや換気の制限が挙げられます。

セクショナルオーバーヘッドドア

  • 概要: パネルを組み合わせて作られ、主に商業用途で見られます。
  • 特徴:
  • スチール、アルミニウム、木材、ガラス繊維から作られたパネルで構成。
  • 手動または電動で操作される。
  • 強制進入方法として、南京錠の解除や電動ドアの場合は電気スイッチの操作が含まれます。

チルトアップオーバーヘッドドア

  • 概要: フレームの上に薄い金属または木製の表皮が一枚貼られ、中間線でヒンジされて上下にスイングします。主に古い住宅建築のガレージや商業用に使用されます。
  • 特徴:
  • 手動または電動で操作可能。
  • 強制進入方法には、南京錠やその他の施錠装置の取り外しが含まれます。

これらのドアタイプに共通する強制進入方法は、南京錠やその他の施錠装置を取り外す、または電源がある場合は電気スイッチを操作してドアを開けることです。火災現場では、これらのドアが発見を遅らせたり、換気を制限したりするため、特に注意が必要です。また、レスキューソーを使用して強制的に進入する方法もありますが、これは最後の手段として考慮されるべきです。

ローリング・スチール・ドアは、幅約5センチの金属製の連結スラットから構成されている。これらのスラットは溝により、ドアは蝶番を付け、ロール・アップすることができる。この溝により、スラットは互いの間を水平にスライドすることもできます。これは、強制開放を行う上で重要な知識です。

シャッタードアにはいくつか種類があって、それぞれ特徴や注意点があるよ。例えば「ロールアップドア」は、店舗や倉庫なんかでよく使われるけど、火災現場では換気が悪くなることがあるんだ。「セクショナルオーバーヘッドドア」や「チルトアップオーバーヘッドドア」も、手動や電動で操作できる便利なタイプ。ただし、強制的に開ける場合は南京錠を外したり、電動ならスイッチ操作が必要になることが多い。あと、万が一の時はレスキューソーっていう専用の道具で開けることもあるけど、これは最終手段。どのドアも火災時は注意が必要で、発見が遅れたり換気に影響が出たりすることがあるから、普段から安全に気をつけて使うのが大事だね。

シャッター切断方法

シャッターの切断方法について、よりわかりやすく説明します。シャッターを切断する際は、主に緊急事態や火災時に安全確保や救出活動を行うために使用されます。具体的な手順は以下の通りです。

通常時のシャッター切断方法

  1. エンジンカッターの使用: シャッターの鍵付きスラットよりも1本上の部分をエンジンカッターで切断します。これにより、シャッターの一部を開けることができます。
  2. 手を使った解錠: 切断部に手を入れて、サムターン(親指で回すタイプの鍵)を回し、シャッターを解錠します。
  3. 鍵の種類に注意: サムターン以外の鍵が使用されている場合もあるため、別の開錠方法が必要になる可能性があります。常に慎重に確認してください。

火災時のシャッター切断方法

火災時にシャッター内に火点がある場合、特に注意が必要です。このような状況では、「3辺カット」が推奨されます。

  1. 3辺カットの実施: エンジンカッターを使用して、シャッターの下辺、左辺、右辺の3辺を切断します。この方法により、シャッターの一部分を取り外すことが可能になります。
  2. 上辺を切断しない理由: 敢えて上辺を切断しないことで、シャッターの開口部を必要に応じて閉鎖することが可能となります。これにより、放水操作を行わない場合でも、ドアをコントロールして火災の拡大を防ぐことができます。

ティピー・カット

ティピー・カットは、特に火災時に火元に迅速に水をかけるための効果的な方法です。この手法は、シャッタードアや類似の構造物に適用され、特定のパターンで切断を行うことで開口部を作り出します。ここでは、その手順と特徴を簡潔に説明します。

ティピー・カットの利点

  • 迅速性: この方法では、長いカットを2回、短いカットを1回行うだけで開口部を作り出すことができ、迅速に火元へ水をかける準備が整います。
  • 効率性: 高い位置での切断と開口部の作成により、水の投入が容易になります。

ティピー・カットの弱点

  • 障害物の発生: 切断後、開口部の前にカットしたドアの部分が山積みになることがあります。
  • 切断の限界: ゲートの根元に補強バーがある場合、地面まで完全に切断することが困難です。また、手の届く高さでしか切断できないため、侵入口が狭くなりがちです。
  • 換気の問題: 水平方向の換気アクセスが不十分になる可能性があります。

ティピー・カットの切断手順

  1. 最初の切り込み: レスキューソーを使用して、ドアの中心に向かって60度の角度で切り込みます。
  2. 二番目の切り込み: 最初の切り込みと交差しないように注意しながら、端に向かって60度の角度で2番目の切り込みを入れます。
  3. 三番目の切り込み: 1番目と2番目の切り込みが交差するようにして、3番目の切り込みを加え、ドアを内側に押し込みます。
  4. 完成: これにより、ドアに三角形、またはティピー型の開口部ができ、迅速に水をかけるための入り口が作られます。

ティピー・カットは、火災対応において迅速な水の投入を可能にする効果的な手法ですが、上記の弱点を考慮し、状況に応じて適切に使用する必要があります。

センターカット&プル

センターカット&プルは、ロールスチール製ドア、特に連動スラット付きのオーバーヘッド・ロールアップドアやローリング・スチール・ドアに対して行う切断方法です。この方法は、垂直方向にドアを1回切り込み、特定のスラットを取り外すことによって、大きな開口部を簡単に作り出すことができます。以下に、その手順と特徴をわかりやすく説明します。

センターカット&プルの利点

  • 効率性: 1カットだけで済み、迅速に大きな開口部を作ることができます。
  • 機能性: カット後もドアの残りの部分を巻き上げることが可能です。
  • 柔軟性: スラットが引き出せない場合でも、カットを拡大して対応できます。

センターカット&プルの弱点

  • 適用性: この方法は、インターロッキング・スラットのあるスチール製ローリングドアにのみ有効です。
  • 困難性: インターロッキング・スラットがリベットで固定されているため、取り外しが困難な場合があります。

切断手順

  1. 垂直カットの実施: ドアの中央を頭の高さから始め、ドアの下部まで垂直に長く切断します。
  2. 小さな角状の切り込み: 縦に切り込んだ部分の下に、小さな角状の切り込みを入れ、レスキューソーのヘッドが入る隙間を作ります。
  3. ドア底の切断: この小さな開口部を利用して、ドア底のチャンネルまたはアングル・アイアンをカットします。
  4. スラットの取り外し: ハリガン・バーのピックを使用して、ドア・スラットをトラックから引き出します。取り外せば、その位置より下のスラットは地面に落ち、移動できるようになります。
  5. スラットの調整: スラットが引き抜けない場合は、その位置からスラットを上下に動かしてみてください。スラットはトラックのガイドに交互にリベットで固定されていることが多いです。
  6. 追加の垂直カット: 必要に応じて、端から約15センチのところで2回目の垂直方向の切り込みを入れ、ドアのロックを解除します。

この方法により、緊急時に迅速かつ効果的にロールスチール製ドアを開け、救助活動を行うためのアクセスを確保することができます。ただし、この技術は特定の種類のドアに限られるため、事前にドアの構造を確認することが重要です。

ピールバック&ドロップカット

ピールバック&ドロップカットは、さまざまなオーバーヘッド・ドアやロールアップドアに対応できる切断方法で、特に消防士に好まれています。この手法を使うと、出入りや換気に適した広い開口部を作ることができます。以下に、その特徴と手順を簡潔に説明します。

ピールバック&ドロップカットの利点

  • 汎用性: さまざまなタイプのドアに対応可能で、広範な応用が可能です。
  • 効果性: 非常に広い開口部を作り出すことができ、出入りや換気に非常に有効です。
  • 柔軟性: センターカットと引き抜きでスラットを取り除けなかった場合にも、この方法を用いることで対応できます。

ピールバック&ドロップカットの弱点

  • 時間と労力: 実施には時間がかかり、複数の隊員が必要になることがあります。
  • 損傷リスク: ドアのトラック内のガイドや車輪を損傷する可能性があり、未カットのドア部分が巻き上がらないことがあります。

切断手順

  1. 垂直カットの実施: ドアの中央を頭の高さから始め、ドアの下部まで垂直に長く切断します。
  2. 小さな角切り: 垂直に切り込んだ下側に小さな角切りを入れ、レスキュー・ソーのヘッドが入る開口部を作ります。これを利用して、ドア下部の溝やアングルアイアンを切断します。
  3. 水平カット: 中央の垂直カットからドアの端まで水平にカットし、セクショナル・ドアでは溝や折り目にはカットを入れないよう注意します。
  4. ピールバック: 水平カットにより、ドアをトラックやガイドをヒンジポイントとして開く(ピールバック)ことができます。
  5. 追加カット: 頑丈なドアの場合、最初のカットと同じ側で端から10センチ上下に直線的な3番目のカットを入れ、ドア全体を「落とす」ことができます。

注意点

  • カットの交差点: カットの交差点近くに少量の材料を残しておくと、鋸の振動でドアがバタつくのを防ぎ、刃が固着するのを避けることができます。

この方法は、緊急時に迅速かつ効果的にアクセスを確保するために役立ちますが、慎重な実施と、ドアの構造や状況を考慮した適切な使用が求められます。

シャッター切断のコツをざっくりお伝えしますね!まず、カットする時は切断の交差点付近に少し材料を残しておくといいよ。そうすると、切断中にドアがバタつかず、鋸の刃も詰まらずスムーズに進むんだ。それから、どの切断方法が適しているかを見極めることも大事!シャッターの構造に合わせて効率的に進めよう。最後に、特に火災時は注意が必要だから、周りの安全を確認しつつ、必要に応じて「3辺カット」や「ティピー・カット」を活用してね。切断することで緊急時のアクセスがしやすくなるけど、やり方に応じて工夫すると、より効率的に安全確保ができるよ!

熱勾配を利用した切断位置の選定

火災時には熱が上部に集中するため、シャッターを開放する際は熱勾配を利用して最適な切断位置を決めます。

  • 下部カットの利点: 高温の影響を避けるため、シャッターの下部にまず切り込みを入れると比較的安全です。
  • 排熱効果: 低位置でカットを始め、上方向に切り進めることで、内部の熱気をゆっくりと排出する「自然換気」が可能になります。
  • 熱画像装置の活用: サーマルイメージングカメラを使用して、最も熱が集中している部分を特定し、そのエリアを避けるか、必要であれば冷却後に切断します。

フォースド・エントリーの詳細手順

フォースド・エントリー(強制進入)は、火災時にシャッターが閉まっている場合の効果的な手法です。以下に、基本的な手順に加えて、高度なテクニックを紹介します。

  1. ハリガンツールの差し込み: ドアやシャッターの隙間にハリガンツールを差し込み、力を加えて少し開口を確保します。
  2. 小型ジャッキの使用: ハリガンツールでできた隙間に小型のジャッキを挿入し、徐々に開口を広げます。これにより、負担をかけずに開口部を拡大可能です。
  3. レスキューソーでの補助カット: 隙間が十分に広がったら、必要に応じてレスキューソーで補助的なカットを行い、シャッター全体を巻き上げる準備をします。

シャッタータイプに応じた特殊な切断方法

それぞれのシャッタータイプによって、切断方法を適切に選択することが重要です。特殊なケースに対応するための方法を紹介します。

  • アルミニウム製シャッター: 軽量で耐火性能が低いため、簡単に切断できますが、切り口が鋭利になりやすいため、作業者に怪我のリスクが生じます。切断後は、カットした部分にテープや布を貼って、安全性を確保します。
  • 強化スチール製シャッター: 耐久性が高く、通常のレスキューソーでは切断に時間がかかるため、タングステンカーバイドブレードを使用します。また、過熱を避けるため、間欠的に切断することが推奨されます。

連動型シャッターのカットポイント

連動型のロールアップシャッターでは、スラットが相互に噛み合っているため、スラットの結合部を切断することで効率的な進入が可能です。

  • スラットの継ぎ目を狙う: スラットが接合されている部分を切断すると、残りの部分がすべて巻き上がりやすくなり、広範囲に渡って開口が確保できます。
  • 逆方向にカット: 通常の切断方法とは逆に、上から下へと切り進めることで、下部スラットの移動を抑えつつ、カットスラットが安全に分離されます。

カット後のシャッター抑え込みテクニック

シャッターを切断して開口を作成した後、その開口部が無防備にならないようにするための抑え込み方法です。

  1. ストッパーを設置: シャッターの上下部にウェッジ(木片や鉄片など)を挟み込み、カット後も開口が自動で閉じないようにします。
  2. チェーンで固定: 必要に応じて、シャッターにチェーンを巻き付け、安定した状態で開放を維持します。これにより、救助や換気活動中もシャッターが動くことなく、作業に集中できます。
  3. バリケードの設置: 火災の強度によっては、シャッターが再度落下しないように、開口部前に簡易バリケードを設置して安全を確保します。

シャッター開放前の煙圧と温度勾配の確認方法

火災現場でシャッターを開放する前に、内部の煙圧や温度勾配を確認することで、安全かつ効率的に開放作業を行えます。

  • テストカットの実施: シャッターの小さな隙間に試し切りを行い、そこから出てくる煙の温度や勢いを観察します。煙が強く噴き出す場合は内部の圧力が高いため、開口の広さをコントロールしながら慎重に作業を進めます。
  • デジタルサーマルカメラの活用: 内部の温度を測定し、高温エリアを避けてカット開始位置を決めます。特に、上部よりもやや中間地点でカットを始めると、熱や煙が制御しやすくなります。

レスキューソーのブレード選定と摩耗管理

シャッターの素材や厚さによってブレードの摩耗速度が異なるため、レスキューソーのブレード選びは重要です。

  • ダイヤモンドブレードの活用: 強化スチールや硬質金属シャッターにはダイヤモンドブレードが最適で、切断効率が向上します。特にシャッターの補強バーやスラット接合部など、通常のカーバイドブレードで時間がかかる箇所で有効です。
  • 摩耗管理: 摩耗が進むと切断速度が遅くなるため、切断面が鈍くなってきたら予備のブレードに即座に交換することを心がけます。現場では予備のブレードを常に複数持参することが推奨されます。
  • ブレード温度の管理: 切断中にブレードが過熱しないよう、間欠的に使用して冷却を行いながら進めます。水をかけながら切断する方法もあり、特に長時間の切断が必要な場合に有効です。

シャッター開放における「三角アプローチ」とは?

「三角アプローチ」は、シャッターの中央や下部に三角形の切断を行い、内部の視認性や換気を高める手法です。

  • 三角切断の利点: 三角形の形状は構造上、開口が安定しやすく、視界も確保しやすいため、内部の状況確認が容易です。また、煙が自然に抜けやすくなり、開放後の安全性も高まります。
  • 三角アプローチの手順:
    • まず、三角形の頂点をシャッターの中央下部に設定し、頂点から両側に45度の切り込みを入れます。
    • 次に、三角形の底辺を切断し、切り離された部分を外へ押し出します。こうしてできた開口部を通して、内部の温度や火災の進行状況を確認します。

「インターラッチング」シャッターの開放テクニック

「インターラッチング(相互ラッチ式)」のシャッターでは、スラットが交互に噛み合っているため、特定のスラットを引き抜くことで全体を簡単に開けられる場合があります。

  • 噛み合わせの理解: インターラッチングスラットは互いにリベットや溝で固定されていることが多く、特に中央付近を切断すると最も効率的に開口できます。
  • リベットカット: スラットが互いに噛み合うリベット部分にレスキューソーで小さなカットを入れることで、スラットが自然に外れるようになります。無理に引っ張らず、リベット付近の摩擦を減らすことがポイントです。
  • チェーンやストラップの使用: 特に大きなシャッターでは、開口部にチェーンやストラップを取り付け、引っ張ることでスラットを効率的に外すことが可能です。こうすることで、個別のスラットを引き出す手間が軽減されます。

シャッターの厚み別・切断速度調整

シャッターの厚みに応じて切断速度を調整することで、作業効率を向上させつつ、エンジンカッターの消耗を抑えます。

  • 薄手のアルミシャッター: 薄手のアルミ素材は素早くカット可能ですが、切り口が非常に鋭利になるため、切断後は周囲を布でカバーし、作業者や救助者の安全を確保します。
  • 厚手のスチールシャッター: 厚みがある場合は、カットする際に無理に力をかけず、切断速度を落としながら丁寧に進めます。特に、切り進める方向を交互に変更すると、工具の摩耗を抑えつつ、効率的な切断が可能です。

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