列車救助は、人身事故や衝突事故による多数の死傷者が発生する、大規模事故まで多数あります。
一般の車両と違い構造が複雑で、高電圧の通っているものなので、まずは、電車の構造や特性を学びましょう。
車両の構造
台車の構造
列車救助の初動
・事故発生場所の確認
※ホーム内か?車両の下敷きか?車両内部か?
・事故の規模(要救助者数)の確認
サイズアップしよう!
・ 現場責任者の確認
サイズアップして、発生場所が確定したら駅長や車掌を呼ぶ。車輪止めをしてもらう
・事故電車等の通電状況の確認
通電状況が一番重要で、隊員の2次災害防止になる 車両の破損が激しいときは特に注意
・協力の要請
事故車両の移動のため、民間の大型クレーンを要請したり、傷病者多数の場合は他消防本部から応援をもらう
感電事故の防止
車両下部に高電圧の機器があり、通常は外部から触れないようにボックス等で隔離されているが、事故時は、どのように漏電しているかわからない状況ある。 高電圧部分は、黄色やオレンジ色、赤色等で着色されていたり、着色されていないものもあり、むやみに触れると危険である。
床下高圧機器
1 VVVFインバーター DC1500V
2 断流器 遮断器 DC1500V
3 メインSW 高圧引き通しSW DC1500V
4 高圧ヒューズ DC1500V
5 接地SW DC1500V
危マークや雷マークは特に注意
車両の文字を確認
・モ・・モーター車両 ※蓄電池が積んであるので注意
・ク・・運転台(先頭車両)
・クモ・・モーター付き運転台
・サ・・引っ張られているだけの車両
・ハ・・普通車両
パンタグラフ
電車や電気機関車の屋根にとりつけて架線の電流を導き入れる装置。
パンタグラフを降ろし電源を遮断しても車両下部には帯電流があり、帯電時間(3分以上)を経過させる必要がある。車両下部への進入は十分留意する。
パンタグラフを降ろし帯電時間を経た後、検電器で帯電していないか確認する。(帯電手袋着装)
サイズアップする
車輪止めをする
パンタグラフを下ろし3分待
列車事故での救助はまず事故の場所や規模を確認し、駅長や車掌と連携しよう!車輪止めも忘れず、通電状況を確認して隊員の安全確保が最優先。車両下部には高電圧があるから、黄色や赤の高圧機器には触れないように注意。パンタグラフを下ろして3分待機後、検電器で帯電がないか確認してから作業を進めよう!
列車救助方法
・救出方法の判断
要救助者のプライバシー保護 ブルーシート等使用
・電車等の乗客の移動
ホームと電車等に挟まれた場合
・ 挟まれている反対側へ乗客を移動させる。(電車等が金属バネ式であれば有効であるが、空気バネ式の場合は、車体の高さを一定に保とうとする働きがあるため効果はない。)
・ エアマットやスプレッター(重量物排除器具)等により間隔を拡張させる。※人力で最初は試す なお、車体が軽量化されており、側壁部分の強度が弱いため、車体の下部にあたる台枠部分、側壁部分でも骨組みがあるところに設定できるよう考慮する。
※拡張前に落下防止のため要救助者に安全帯等しておく
車輪の下敷きの場合
・ 重量物排除器具等(エアマット、油圧ジャッキ、スプレッター)により事故車両を持ち上げる。
・ 持上げる箇所は、車軸部分(軸箱)、その他の台車部分、車体。車輪下敷きの場合は基本軸箱でよい
・ 車軸以外の部分を持ち上げる際には、台車のバネが伸びるため事前にバネを固定し、持ち上げ幅の無駄を防止する「バネ止め」が必要となる。バネ止め方法は車両の種類で異なるため鉄道関係者と相談する
資機材が無い場合や、空間が無いとき には穴を掘ることで空間を確保するこ とで救助する
車輪に巻き込まれた場合
・ 重量物排除器具等により間隔を拡張させる。
・ 工具類を使用し、車輪等を取り外す。
電車等の横転により車体の下敷きになっている場合
・ 重量物排除器具等により事故車両を持ち上げる。
・ クレーン等重機により事故車両を吊り上げる。
・ 切断器具等により工作物を破壊する。
扉の開放
鉄道車両には非常時に車両から脱出するための「ドアコック」と通称されるものが設置されています。
列車救助の二次災害防止事項
(1) 鉄道の軌道内への進入については、運行している列車との接触危険、電車線、車両下部に設置してある高圧機器による感電危険、走行直後のブレーキ、車輪、モーター等の高温部への接触に注意する。
(2) 活動障害となる後続列車及び対向列車等の停止措置がされていない場合には、鉄道事業社の責任者に対し、関係列車停止等の措置を要請する。
(3) 軌道内に進入して活動する場合、後続列車及び対向列車等との接触事故を防止するため進入制限を行う。
(4) 事故列車の前方及び後方に監視員を配置して安全監視をさせる。
(5) 運転士、車掌等に依頼して確実にブレーキを作動させるとともに、必ず歯止めを使用させる。
(6) ジャッキアップ時は、後部台車に歯止めを装着し、車体の転がりを防止する。
(7) ジャッキアップ設定場所の真下に枕木がある場合は利用する。枕木がない場合は砕石を除去後、あて木及び防水シート等を活用し、地盤を安定させ垂直にジャッキを設定する。
列車救助は早急にパンタグラフを下す
車両の構造と文字を覚えよう
列車救助はまずパンタグラフを下げ、車輪止めで安全確保!要救助者のプライバシーはブルーシートなどで保護して、乗客は挟まれた反対側へ移動。車両が軽いから持ち上げるときはエアマットやジャッキで、しっかり骨組みに合わせて支える。高電圧の機器や熱い部分に注意し、後続列車は必ず停止させるよう鉄道関係者に頼む。ジャッキアップ時は安定した地盤を作って転がり防止も忘れずに!
参考ページ:列車の下敷き救助の手順を詳しく解説!必要な機材や安全確認事項、具体的な作業方法をわかりやすくまとめました。救助隊員必見の実用的なガイドです。
車両内での列車救助活動時の安全確保
- 乗客の安全確保
列車事故の場合、乗客の安全確保が最優先です。緊急時には、可能な限り素早く、秩序を持って乗客を車両外に誘導する必要があります。事前に避難ルートを確保し、後続の危険を防止するために駅係員や救助隊と連携を行うことが重要です。 - 車両安定性の確認
車両が脱線や横転した場合、車体の安定性を確保しないまま救助活動を行うと、さらなる事故を引き起こす可能性があります。特に横転している場合は、車体が動かないようジャッキや支持器具を使用して車両を固定し、車両内部での救助活動を安全に行うことが求められます。
列車火災への対応
- 消火活動の準備
列車火災は事故による衝突の衝撃や配線の短絡などで発生する可能性があり、迅速な消火活動が必要です。消火器や消火ホースを用いた迅速な対応の他、火災発生箇所の特定、火災が電気系統に影響を及ぼしているかの確認も重要です。 - 避難時の安全確保
火災時は煙による窒息が大きなリスクとなります。煙の進行方向を把握し、乗客の避難ルートを確保することが重要です。また、酸欠や有毒ガスのリスクがあるため、必要に応じて防護装備(酸素マスク等)の使用が推奨されます。
特殊な資機材の使用
- 空気圧式装置の使用方法
車輪や車体が事故車両の下に巻き込まれた場合、エアマットや油圧式ジャッキなどを使用して車体を持ち上げることが求められます。持ち上げる際の注意点や適切な設定箇所についても具体的に解説します。特に台車のバネ部分を固定する「バネ止め」について、使用する資機材と手順の詳細を追記します。
協力体制の確立
- 鉄道関係者との連携
救助活動時に鉄道事業者との協力は不可欠です。事故現場での通電状況の確認や列車の停止措置、必要に応じた列車の動作制限などを現場指揮者が鉄道関係者に指示し、効率的かつ安全な救助を行うための連携体制を整えることが重要です。
2. 列車救助の最新技術や装備の導入
ドローンやロボットの活用
近年、災害現場でのドローンやロボット技術が進歩しており、鉄道救助でもその活用が期待されています。現場の状況把握や要救助者の位置特定、遠隔からの状況確認を行うことで、安全性と効率性が向上します。
先進的な感電防止技術
感電のリスクを軽減するために、新しい感電防止機器や電磁波シールド装備が導入されつつあります。これらを装備して救助にあたることで、隊員の安全をより確実に守ることが可能です。
3. 今後の対策
定期的な訓練の重要性
列車事故は発生頻度が低いため、消防士や救助隊員が実際の現場で迅速に対応できるよう、定期的なシミュレーション訓練が重要です。列車の構造や特性、各種資機材の扱いについての理解を深め、事故発生時に即応できるような体制を整える必要があります。
このように内容を充実させることで、読者にとって有益で実践的な情報が提供できると考えられます。これらの要素を踏まえ、さらなるサイトの充実を図りましょう。
MCLS
MCLS(多くの災害や大規模緊急事態への対応)の講義内容を整理し、効率的に説明できるようにしてみます。以下は、MCLSの主な概念や手順の説明です。
MCLSの目的とコンセプト
MCLS(Mass Casualty Life Support)の基本コンセプトは、どのような災害や緊急事態でも適切な対応を行うための統一的なフレームワークを提供することです。災害時には、個々の状況に応じた即座の対応が求められるため、全ての関係者が共通の認識と言語を持ち、迅速に行動できるようになることが重要です。
MCLSでは特に、災害時に平常モードから「災害モード」にスイッチを切り替えることの重要性が強調されています。災害対応時には、通常の救急対応とは異なり、指揮命令系統や安全確保、通信手段の確立が極めて重要となります。
列車救助災害時の初動対応 (CSCA-PTP)
MCLSにおける災害対応の基本的なプロセスとして、CSCA-PTPという流れが示されます。これには次の要素が含まれます。
1. C: Command(指揮命令系統の確立)
災害時には指揮命令系統を素早く確立する必要があります。縦の指揮系統と横の情報共有の両方をしっかりと機能させ、現場での混乱を防ぎます。現場指揮者が救護所や現場の責任者と正確にコミュニケーションを取り、各部門がスムーズに連携することが求められます。
2. S: Safety(安全確保)
安全はすべての活動の基本です。自分自身、チーム、被災者の安全を確保するため、災害現場のハザードを評価し、適切な防護具(PPE)を使用することが必須です。さらに、活動区域をホットゾーン(危険区域)とコールドゾーン(安全区域)に分け、これらをしっかりと管理することで、無関係の人々が危険な場所に入らないようにします。
3. C: Communication(情報伝達)
災害時には通信手段が限られる場合もありますが、全ての利用可能な手段を駆使し、正確でタイムリーな情報伝達を行うことが不可欠です。イギリスではMETANというモデルが使われ、災害の規模、正確な位置、危険の種類、アクセス方法、負傷者数、必要な支援などを詳細に報告します。
4. A: Assessment(評価)
災害時の状況を継続的に評価し、得た情報を基に次の行動(トリートメントや搬送)を計画します。この評価に基づき、次の手順に進む準備を整えます。
TTT(トリートメント・トリアージ・トランスポート)
CSCAの初期対応が完了した後、次に行うのがTTTです。
1. Treatment(治療)
負傷者の状態に応じて、迅速に初期治療を行います。現場での安定化処置が中心となり、専門的な治療は搬送先で行われることが一般的です。救命処置を優先し、応急処置を確実に実施します。
2. Triage(トリアージ)
トリアージは患者を緊急度や重症度に応じて分類するプロセスです。MCLSでは「スタート法」と「パッド法」を用い、患者を30秒以内に評価して、搬送や治療の優先順位を決定します。緊急度の高い赤タグ患者や、黄色タグ患者、死亡診断を必要とする黒タグ患者を効率的に分類することで、救命の可能性を最大限に引き出します。
3. Transport(搬送)
搬送には、適切な医療機関を選び、重症患者の分散搬送を行うことが求められます。搬送先の病院の能力や距離、専門性などを考慮して、最適な搬送計画を立て、搬送手段を確保します。
列車救助参考動画
参考ページ:要救助者の人生をつなぐ安全・確実・迅速な交通救助活動のすべて全国のどこでも起こりうる交通事故から、要救助者をどう救出するのか?人を「安全・確実・迅速」に救出するための救助のテクニックを記載します。
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