ラダー・レスキュー・システム

ロープレスキュー

ラダーレスキューシステムは、高所や不安定な地形での救助活動において非常に重要な役割を果たします。このシステムは、傷病者を安全に、かつ迅速に移動させるために設計されています。そのためには、消防隊員やレスキュー隊員が特定の技術や器具を駆使する必要があります。

主要な技術と器具

消防用のはしご

  • 高所へのアクセスや、高所からの救助に利用されます。
  • 複数の形態や長さがあり、状況に応じて適切なものを選択する必要があります。

ロープとプーリーシステム

  • 傷病者を安全に移動させるために使用されます。
  • 斜面や崖からの救助に特に有効です。

救助用バスケットやストレッチャー

  • 傷病者を固定し、安全に移動させるための器具です。
  • ロープシステムと組み合わせて使用されます。

安全ハーネスと安全線

  • 救助隊員自身の安全を確保するために使用されます。
  • 高所作業時の転落防止に不可欠です。

安全な搬送のためのポイント

事前のリスク評価

  • 救助活動を開始する前に、現場のリスクを評価し、最適な搬送方法を決定します。

適切な器具の選択と使用

  • 状況に応じて、最適な器具を選択し、正しく使用することが重要です。

チームワークとコミュニケーション

  • 救助隊員間の密なコミュニケーションと協力が、安全で迅速な救助活動を実現します。

継続的なトレーニング

  • 定期的なトレーニングとシミュレーションを通じて、救助技術を維持し、改善します。

ムービング・ラダー・スライド

ムービング・ラダー・スライドは、特に起伏が激しい地形や障害物を越える必要がある場合に有効なレスキューシステムです。このシステムは、はしごを利用して傷病者を安全かつ効率的に移動させるための工夫が施されています。以下に、その具体的な使用方法をわかりやすく説明します。

勾配や障害物を越える場合

はしごの設置

  • 勾配や障害物のエッジにはしごの先端を掛けます。これにより、はしごが安定し、移動するための基盤を提供します。

はしごの操作

  • 上方にいる救助隊員がはしごをしっかりと掴み、必要に応じてはしごを引き上げます。これにより、はしごを移動させたり、位置を調整したりすることができます。

担架の固定

  • 担架ははしごの下部にしっかりと結び付けられます。これにより、傷病者を安全に支えることができます。

平地での使用

  • 担架をはしごの中央部に結び付け、傷病者をはしごの上に乗せます。これにより、平地で傷病者を効率的に持ち運ぶことができます。

利点

  • 多用途性:ムービング・ラダー・スライドは、起伏のある地形だけでなく、階段が使えない建物内での傷病者の移動にも適しています。例えば、建設現場や階段が壊れた建物からの救助活動に有効です。
  • 安全性:担架をはしごに固定することで、傷病者を安全に支えることができます。また、救助隊員がはしごを操作することで、移動中の安定性を高めることが可能です。
  • 効率性:はしごを利用することで、障害物を迅速に越えたり、傷病者をスムーズに移動させたりすることができます。

ムービング・ラダー・スライドは、救助活動における柔軟性と効率性を高めるための優れたシステムです。救助隊員は、このシステムを適切に使用することで、様々な状況での傷病者の安全な移動を実現できます。

ウエビングを使用し、梯子と担架を結び付けます。

ラダー・スライド

ラダー・スライドは、特に建物の高い階からの救助活動において、傷病者を安全かつ迅速に移動させるための効率的な方法です。このシステムは、はしごを利用して、高角度の救助をより管理しやすい低角度の救助に変換することができます。以下に、ラダー・スライドの基本的な使用方法を説明します。

ラダー・スライドの基本

はしごの設置

  • はしごをガイドとして使用し、傷病者の体重の大部分を支えます。これにより、傷病者の移動を安全に行うことができます。

レスキュー・リッターの使用

  • 傷病者はレスキュー・リッター(救助用担架)に乗せられます。このリッターは、プーリーシステムやフリクションシステムを使用して、はしごを通じて上げ下げされます。

ビレイ/安全ラインの管理

  • ビレイ/安全ラインは、可能であれば別のアンカーポイントに取り付けられます。タンデム・プルーシク・ビレイやロード・リリース・ヒッチを使用して、安全性を確保しながら管理します。

注意点

適切なアンカーポイントの選定

  • 安全ラインやプーリーシステムを確実にサポートできる、信頼できるアンカーポイントを選定することが重要です。

延長はしごの使用

  • 延長はしごを使用する場合は、ベッド部分とフライ部分をしっかりと固定し、ずれないように注意が必要です。

利点

  • 迅速かつ簡単:ラダー・スライドを使用すると、特に窓から傷病者を降ろす場合に、最も迅速かつ簡単な救出方法を提供します。
  • 複数の被災者に対応:複数の被災者を異なる高さに移動する必要がある場合に、ラダー・スライドは非常に効率的です。

ラダー・スライドは、傷病者と救助者の安全を確保しながら、効率的に高所からの救助を行うための重要な技術です。正しい準備と使用法に従うことで、救助活動はより安全かつスムーズに実施されます。救助隊員は、このシステムを適切に利用することで、様々な状況での救助活動の効果を高めることができるでしょう。

エクステリア・リーニング・ラダー

エクステリア・リーニング・ラダーは、高層建物など複数の階にわたって救助活動を行う際に特に有効なレスキューシステムです。このシステムを使用すると、一度に複数の階にアクセスして救助活動を行うことが可能になります。以下に、その具体的な使用方法と利点を説明します。

エクステリア・リーニング・ラダーの使用方法

はしごの設置

  • 十分な長さのはしごを建物の外壁に沿って設置します。この際、はしごの位置を変えることなく、はしごの先端から下のすべての階にアクセスできるようにします。

アンカーポイントの作成

  • はしごの上部にアンカーポイントを作り、ビレイ/セーフティラインを取り付けます。これにより、はしごを安定させ、救助隊員と被災者の安全を確保します。

ビレイ/セーフティラインの管理

  • タンデム・プルーシク・ビレイとロード・リリース・ヒッチを使用して、ビレイ/セーフティラインを管理します。これにより、救助隊員や被災者が安全に移動できるようにします。

利点

複数階へのアクセス

  • このシステムを使用すると、はしごを移動させることなく、建物の複数の階に効率的にアクセスすることが可能になります。

安全性の向上

  • アンカーポイントとビレイ/セーフティラインの使用により、救助隊員と被災者の安全を大幅に向上させることができます。

効率的な救助活動

  • 救助隊が必要な階に迅速にアクセスし、避難が必要な人々を効率的に救助することができます。

注意点

適切な梯子の選定

  • 救助活動には、建物の高さに応じた十分な長さのはしごが必要です。適切なはしごを選定することが重要です。

安全対策の徹底

  • アンカーポイントの設置やビレイ/セーフティラインの管理には、特に注意を払い、安全対策を徹底することが必要です。

エクステリア・リーニング・ラダーは、特に高層建物での救助活動において、複数階への効率的かつ安全なアクセスを可能にするレスキューシステムです。このシステムを適切に利用することで、救助隊はより迅速かつ安全に救助活動を行うことができるでしょう。

インテリア・リーニング・ラダー

インテリア・リーニング・ラダーは、建物内の狭い空間や階段が利用できない状況での救助活動に特に有効な方法です。このシステムを使用することで、救助隊は建物内の階下へ安全かつ迅速にアクセスすることができます。以下に、その具体的な設置方法と使用方法を説明します。

インテリア・リーニング・ラダーの設置と使用方法

アンカー・ポイントの作成

  • 建物内に強固なアンカー・ポイントを作ります。これは、救助隊が安全に作業を行うための基点となります。

梯子の設置

  • 梯子を天井と床の間に挟み込み、その位置を維持するために、基底部を足で固定します。

ロープの設定

  • ロープは梯子の段に巻き取ります。これにより、摩擦を利用してロープの動きを制御します。
  • ロープの端にフィギアエイト(結び目の一種)を作り、一番下の段の下と、2段目と3段目の間に通します。
  • 次に、ロープを梯子の上から1段目と2段目の間に下ろします。高い位置からロープを下ろすほど、システムの安定性が向上します。

ビレイ/セーフティラインの管理

  • ビレイ/セーフティラインは、建物の内部ではなく、可能であれば窓の外など、別のアンカーポイントに取り付けます。
  • タンデムプルージックビレイやロードリリースヒッチを使用して、ビレイ/セーフティラインを管理します。

利点

  • 建物内でのアクセス:階段が利用できない場合でも、救助隊が階下のすべての階に安全にアクセスできます。
  • 安全性の向上:強固なアンカー・ポイントとビレイ/セーフティラインの管理により、救助活動中の安全性が向上します。
  • 柔軟性:梯子とロープのみを使用するため、狭い空間でも効率的に作業を行うことができます。

注意点

  • 適切な梯子の選定:使用する梯子は、設置される空間に適している必要があります。また、梯子が十分に強固であることを確認してください。
  • 安全対策の徹底:アンカー・ポイントの設定やロープの管理には、特に注意を払い、常に安全第一で作業を進めてください。

インテリア・リーニング・ラダーを適切に使用することで、建物内での救助活動をより安全かつ効率的に行うことが可能です。救助隊は、このシステムを利用して、緊急時に迅速に対応することができるでしょう。


カンチレバー・ラダー

カンチレバー・ラダーは、特にアンカーポイントを作るのが難しい状況下での救助活動において、非常に役立つシステムです。このシステムを使用することで、救助隊は作業する床より上に強力なアンカーポイントを作り出すことができます。以下に、カンチレバー・ラダーの使用方法と注意点を簡潔に説明します。

カンチレバー・ラダーの使用方法

アンカーポイントの設置

  • 消防はしごを壁、窓枠、屋根の端などに設置し、強力なアンカーポイントを作ります。

ロープの適切な使用

  • 被災者と救助隊員の距離と梯子の長さに対して、ロープが十分に長い場合にこのシステムを使用します。

カウンターウェイトの設置

  • 救助者はカウンターウェイトとして機能し、梯子の突端に体重をかけて、システムのバランスを保ちます。

ビレイ/セーフティーラインの管理

  • ビレイ/セーフティーラインは、屋根や床に設置したアンカーに固定し、タンデムプルージックビレイやロードリリースヒッチを使用して管理します。

注意点

ロープと梯子の方向転換

  • 梯子上でロープや梯子を吊る方向転換をする際は、梯子の梁が載っている縁を越えてはなりません。

カウンターウェイトの救助者の位置

  • カウンターウェイトを持つ救助者は、梯子の突端に体重をかけ、所定の位置に留まり、チームリーダーの指示があるまで、はしごから降りてはなりません。

梯子の内側にあるべき段数

  • 正しいカウンターウェイト荷重を維持するため、梯子はその接点から最低7段が建物の内側になければなりません。

カンチレバー・ラダーは、アンカーポイントの確保が難しい状況での救助活動において、効果的かつ安全な方法を提供します。このシステムを使用する際は、上記のルールと注意点を厳守することが、救助活動の成功と救助隊員及び被災者の安全を確保する上で非常に重要です。


ラダーリグ付きカンチレバー・ラダー(プーリーなし)

梯子のスリング設定

  • 梯子のスリングは、梯子の梁が載っている端から1段以上出ないように設定します。

ラダー・リグ滑車システムの取り付け

  • ラダー・リグ滑車システムは、ラダースリングに取り付けます。この場合、プーリーは使用しません。

カウンターウェイトの維持

  • カウンターウェイトの救助者は、はしごの突端に体重をかけます。端または接触点から7段以上下がっていることを確認します。

安全上の注意

  • カウンターウェイトの救助者は、チームリーダーの指示があるまで、はしごから降りてはならないこと。また、荷重が梯子から外れた後でなければ降りてはならないというルールがあります。

カンチレバー・ラダーとラダーリグ付きカンチレバー・ラダー(プーリーなし)は、適切なアンカーポイントがない場合や、救助隊が高所からの救出作業を行う際に非常に有効です。これらのシステムを正しく設置し、使用することで、救助活動を安全に効率的に行うことが可能になります。

ラダー・ジン

ラダー・ジンは、直立した梯子を使用して、救助者や被災者を垂直に近い姿勢で吊り上げることができるシステムです。プーリーシステムを組み込むことで、最小限の設備で救助活動を行うことが可能になります。ラダー・ジンは、特に狭い空間やアクセスが困難な場所での救助に適しています。以下に、ラダー・ジンの基本的な構成と設置方法について説明します。

ラダー・ジンの構成部品と設置方法

はしご

  • 3~5mの直立はしごが最適です。延長はしごを使用することも可能です。

ガイライン

  • ガイラインは1本のロープから張られ、はしごを75°のクライミングアングル、またはそれに近い角度に保持します。
  • ガイラインの長さは最低50m必要で、梯子の頂上からアンカーポイントまで約45°の角度で張られます。
  • 12インチのバイトで2つのフィギアエイトを作成し、結び目はロープの中心点から20cmから30cmで結びます。
  • 結び目は、梯子の最上段の下に裏側から入れ、先端にループをかけます。

アンカーポイント

  • アンカーポイントは、梯子の長さの3倍に相当する距離に設置します。梯子の基部から離れている必要があります。

注意点

荷重の管理

  • 荷重はすべてラダー・ビーム内に収めなければならず、梯子は横からの荷重で崩壊するリスクがあります。

ガイラインの役割

  • ガイラインははしごを支えるためのものであり、荷重を支えるためのものではありません。梁が荷重を支えます。

方向転換用プーリー

  • 梯子の足元に設置される方向転換用プーリーは、救助人員を片側に移動させ、作業スペースを確保します。このプーリーはしっかりとしたアンカーに固定されていなければなりません。

ラダー・ジンは、そのシンプルさと汎用性から、多くの救助シナリオで便利なシステムです。正しく設置し、適切な角度とアンカーポイントを確保することで、救助活動を安全かつ効率的に行うことができます。

ガイラインはトラッカーズ・ヒッチか プルージックで固定することができる。プルージックを使う場合は カラビナを使用


ガイラインは、装置の両側にあるポンプ吸引ポートに取り付けられ、改良型トラッカーヒッチまたはプルージックで調整される。
ラダー・ジンは側面荷重を支えるようには設計されていない。したがって ラダー・ビーム間で一直線に保たれなければならない。

ラダー「A」フレーム

ラダー「A」フレームは、高所からの救助や、ユーティリティ・ボールト、井戸、狭いピット、垂直なシャフト、タンクなどへのアクセスに特に有効な多目的救助用具です。このシステムは、持ち運びが可能で、設営と操作が簡単なことが特徴です。以下に、ラダー「A」フレームの基本的な構成と設置方法について説明します。

ラダー「A」フレームの構成部品と設置方法

消防はしご

  • 2本の同じ長さの消防はしごを使用します。
  • はしごは上部でしっかりと結ばれ、フラッピングがないようにラウンド・ラッシュで固定します。

はしごの設置

  • 両方のはしごを75°のクライミング角度で立て、Aフレームを形成します。
  • 6mのウェビングを各梯子の根元で結び、75°の角度を維持します。

ガイライン

  • 1本のライフセーフティロープから構成されたガイラインを使用して、梯子を安定させ、左右の動きを防ぎます。
  • ガイラインは、梯子の幅に応じてロープの中心点から離れた位置で結びます。

メカニカル・アドバンテージ・プーリーシステム

  • ラダー・ジンと同様に、メカニカル・アドバンテージ・プーリーシステムをガイラインに取り付けることができます。
  • ガイラインは、梯子の高さの3倍の距離にあるアンカーに結び付けます。このアンカーにはトラッカーズ・ヒッチかプルージック・ヒッチを使用し、バイトのフィギュアエイトでバックアップします。

注意点

荷重の配置

  • 荷ははしごの梁の間に置き、開口部をクリアするのに必要な高さまでしか上げません。

安全性の確保

  • ガイラインとプーリーシステムの正しい設置により、ラダー「A」フレームは安定し、救助活動を安全に行うことができます。

ラダー「A」フレームは、そのシンプルさと機能性から、さまざまな救助シナリオで有効なツールです。適切な角度での設置と正しいアンカーポイントの選定により、救助隊は安全かつ効率的に作業を行うことが可能になります。

“A “フレーム: 同じ長さのはしご


“A “フレーム 不等長はしご
※短い方の梯子の梁を捉える。荷重による張力によって2本の梯子の梁を引き寄せなければならない。

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