【救助隊 活動内容】
- 周囲の安全確認
- パイロン等を使用し警戒区域作成
- 事故車両の確認 ※事故車両何台でオイル漏れ等ないか
- 負傷した乗員(要救助者)の確認 ※要救助者何人いて傷病程度は?
- 車両固定 輪留め ステップチョーク クリブ等使用し確実に固定
車両を完全に安定化するまで隊員は車内に乗り込まないこと。車体が沈み要救助者への負荷が増大する。
徒手で持ち上げ可能
下敷き事故のほとんどが徒手で救出可能です。
バンパーやサイドシルに挟まれている場合、車両のフェンダー部分を持ち上げることでサスペンションが上がり車両下部に空間ができます。
車体を持ち上げ、ピラー下にステップチョークを差し込む
状況にもよるが、約10センチくらいの空間を作れます。
注意する点は、持ち上げた車両の反対サイドが下がり、空間が狭くなるので、両サイドにステップチョークを差し込んでから持ち上げる。
タイヤのパンクや車両の変形が比較的少ない場合は、ゴージャッキでも救出可能です。
徒手で持ち上げ不可能
大型車両の場合、徒手での持ち上げが不可能になります。
エアマットや車両クレーン、ウインチを使用し持ち上げます。
エアマットを使用する際は車軸下に挿入し持ち上げるのがいいです。
車軸は強度があり、変形することが少ない。
車両クレーン、ウインチを使用しする際は、車軸かタイヤにワイヤーかスリングを巻き、持ち上げる。
参考ページ:交通事故の際、ドアの施錠や変形によってドアが開かないことがあります。そういった場合、救助隊は要救助者への接触や救出のために破壊活動をしなければなりません。ここでは車両破壊活動について記載します。
下敷きになった車から人を助けるときは、まず周りの安全を確保して、パイロンで警戒区域を作るところから始めるよ。事故車両の状態やオイル漏れの有無を確認し、負傷者の人数やケガの状態もチェックするんだ。車を輪留めやステップチョークでしっかり固定し、完全に安定するまでは車内には入らないようにする。小型車なら徒手で持ち上げが可能なことが多く、バンパーやサイドシルを持ち上げるとサスペンションが動いて車両下に空間ができるんだ。持ち上げたらステップチョークを差し込み、10センチくらいのスペースを確保することもできる。ただし、片側だけ持ち上げると反対側が下がるから、両サイドにチョークを差し込んでから持ち上げると安心だよ。もし車が重かったり、持ち上げが難しい場合は、エアマットやクレーン、ウインチを使うこともできる。エアマットなら車軸の下に挿入して持ち上げると安定感があるし、クレーンやウインチを使うときは車軸やタイヤにワイヤーを巻いて安全に持ち上げることがポイントだね。
参考動画
ラダーリフト
徒手での持ち上げが困難な場合、クリブを支点に、はしごを使い車体を持ち上げることが可能です。
下敷き交通救助チェックリスト
交通事故における救助活動の際のチェックリストをまとめたものです。これは現場での迅速かつ効率的な対応を支援するためのものです。
活動項目 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
周囲の安全確認 | 事故現場の安全を確認する。 | 追加事故を防ぐためにも重要。 |
警戒区域の作成 | パイロン等を使用して警戒区域を作成する。 | 救助作業中の安全を確保するため。 |
事故車両の確認 | 事故に関与した車両の数とオイル漏れの有無を確認する。 | 追加的なリスクを評価するため。 |
負傷者の確認 | 負傷者の数と傷病程度を確認する。 | 救助の優先順位を決定するために必要。 |
車両の固定 | 輪留め、ステップチョーク、クリブ等を使用して車両を確実に固定する。 | 車両が動くことによる追加的な危険を防ぐため。 |
安定化までの対応 | 車両が完全に安定化するまで隊員は車内に乗り込まない。 | 不安定な車体が沈むことで負傷者に追加の負担をかけないようにするため。 |
徒手での持ち上げ | バンパーやサイドシルが挟まれた車はフェンダー部分を持ち上げる。 | サスペンションを利用して車両下部に空間を作る。 |
ステップチョークの使用 | 車体を持ち上げた後、ピラー下にステップチョークを差し込む。 | 持ち上げた車両が反対サイドに沈まないよう、両サイドから対応する。 |
ゴージャッキの使用 | タイヤのパンクや車両の変形が少ない場合、ゴージャッキで救出可能。 | 安全に使用する方法を理解しておく必要がある。 |
大型車両の場合の対応 | エアマットや車両クレーン、ウインチを使用して持ち上げる。 | 大型車両は徒手では持ち上げることが困難。 |
エアマットの使用 | エアマットを車軸下に挿入して持ち上げる。 | 車軸は強度が高く、変形しにくい。 |
クレーンやウインチの使用 | 車両クレーンやウインチを使用し、車軸かタイヤにワイヤーやスリングを巻いて持ち上げる。 | 適切なアタッチメントポイントを使用することが重要。 |
1. 車両のサスペンション特性を活用した持ち上げテクニック
事故車両の持ち上げには、車両のサスペンションシステムを活用する技術があります。多くの乗用車やSUVは独立懸架サスペンションを採用しており、車両の片側を持ち上げると反対側のホイールが沈む傾向があります。これを逆手に取り、**持ち上げた側のスペースを確保し、沈む側をすばやくサポート(例えば、クリブを差し込む)**することで、安定した空間を作り出します。この方法では、車体の過度な揺れを避けつつ、安全な救出を行うことが可能です。
2. サスペンションのプリロード調整
車両によっては、サスペンションにプリロード調整が施されている場合があります。この調整は車高の変化や衝撃吸収の度合いに影響を与えるため、持ち上げる際の力加減や角度が異なります。特に、荷物を積んだ車両や商用車の場合、サスペンションの反発力が強く、持ち上げ時に車両が急に動く可能性があるため注意が必要です。救助活動前に、車両のサスペンション構造とその状態を事前に確認しておくことが推奨されます。
3. 特殊車両に対する対応
大型のSUVやトラックは、モノコックボディではなくフレーム構造を持つことが一般的です。これにより、車両の下部が複数のフレームで支えられているため、フレーム下にエアマットやクリブを設置することでより安全かつ効果的に持ち上げることが可能です。ただし、フレームが頑丈であるため、持ち上げ時に車体の重心が予想以上に変動する可能性があり、救助者が不意に車体に押される危険性もあります。特に大きなトラックやバスでは、フレームのたわみや腐食状況をチェックし、脆弱なポイントを避けて作業を進める必要があります。
4. 「ハイリフトジャッキ」の使用
下敷き事故の救助では、専用の「ハイリフトジャッキ(Hi-Lift Jack)」が活用されることがあります。これは、通常のジャッキと比べて持ち上げ可能な高さが非常に高く、最大150cm程度まで持ち上げられるため、大型車両やオフロード車両に効果的です。このジャッキは、車両のバンパーやロッカーパネル(サイドシル)の強固な部分にかけて使用することが多く、車両の片側を持ち上げる際に便利です。持ち上げ中の反対側への荷重移動にも注意が必要です。
5. 車両の「ハイドロリックジャッキ」を応用した高度な救助手法
大型車両や変形が著しい車両には、油圧式のジャッキ(ハイドロリックジャッキ)を使用することが一般的です。特に、事故車両が極端に変形している場合や、複数箇所で同時に持ち上げが必要な場合には、マルチポイント油圧ジャッキシステムを利用します。これにより、車両全体を均等に持ち上げ、要救助者への圧力を最小限に抑えることができます。油圧システムには圧力が急激に抜けるリスクがあるため、常にバックアップのクリブやエアマットを準備し、ジャッキが外れた場合でも即座に対応できる状態を保つことが重要です。
6. 車両の構造材と救助ポイントの選定
車両を持ち上げる際、必ずしもどこでも力をかけていいわけではありません。車両の**「ピラー」や「バンパービーム」**は、事故による衝撃吸収のために設計されているため、これらの部位は持ち上げ時に割れやすく、さらに押し込んでしまうリスクがあります。そのため、持ち上げるべきポイントとしては、車両の「サブフレーム」や「クロスメンバー」などの強固な部分を優先的に選びます。
7. 車体の電子システムとの干渉防止
最近の車両には、多くの電子制御システム(ESC、ABS、電子サスペンション)が搭載されており、救助作業時にこれらのシステムが干渉することがあります。特に、エアバッグのセンサーやバッテリーが事故車両の損傷状態によっては二次的な作動を引き起こす可能性があります。そのため、車両のバッテリーを適切に遮断することが重要です。また、ハイブリッド車や電気自動車では、高電圧ケーブルが存在するため、誤ってケーブルを切断しないように細心の注意を払います。
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