聴診器の使い方を徹底解説

救急

はじめに

医療ドラマや病院で一度は見かけたことのある「聴診器」。医師や看護師が患者の体に当てて音を聞く姿は馴染み深いものです。しかし、具体的に聴診器はどのように機能し、どのように使われているのでしょうか?このブログでは、聴診器の基本的な使い方と、医師が日常的に行う診察のプロセスについて詳しく解説していきます。

1. 聴診器の基本構造

聴診器は、主に以下の3つの部分から成り立っています。

  • チェストピース:患者の体に当てる部分で、音を拾う役割を果たします。チェストピースには「ダイアフラム」と「ベル」があり、異なる音域を聞き取ります。ダイアフラムは高周波数の音(肺音や心音)を、ベルは低周波数の音(血流音など)を捉えます。
  • チューブ:チェストピースで拾った音を耳に伝えるための長い柔軟なチューブ。
  • バイノーラル:耳に装着する部分で、音を効率的に耳に届けるため、ゴム製のチップがついています。

これらの構造によって、医師は体内の音を増幅し、明確に聞き取ることができます。

2. 聴診器の使い方:3つの主要な診察ポイント

(1) 心音の聴取

聴診器を使う最も一般的な用途の一つが、心音の確認です。心臓の鼓動を聞くことで、心臓弁の状態や血流の異常を判断します。心臓音を聞く際には、胸部に4つの特定のポイントを当てます。

  • 大動脈弁:右胸側の第2肋間(胸骨の隣)で聴取します。ここでは、全身に酸素を送るために血液が大動脈を通る音を確認します。
  • 肺動脈弁:左胸側の同じ高さで聴取し、肺へ血液が流れる音を確認します。
  • 三尖弁:さらに2つ下の肋間で、右心房と右心室間の血流音を聴きます。
  • 僧帽弁:左胸側のやや外側で、左心房と左心室間の血流音を確認します。

心音を聞くことで、医師は心臓弁の機能不全や「心雑音」と呼ばれる異常音を確認し、例えば「大動脈弁狭窄症」のような病状を見つけることができます。

(2) 肺音の聴取

次に、聴診器で確認するのは肺音です。吸気(息を吸う音)と呼気(息を吐く音)を聞くことで、肺が正常に機能しているかを確認します。例えば、クラックル音(肺に液体がたまった際に聞こえる音)や、喘鳴(気道が狭くなることで生じる音)など、異常な呼吸音を確認します。

このような音が聞こえる場合、心不全や肺炎、喘息などの疾患が疑われます。診察中に肺の音を聞かれている間は、患者が話さないようにすることも重要です。話すと音が伝わり、聴診器を通して正確な診断が難しくなるためです。

(3) 腸音の聴取

意外かもしれませんが、聴診器は腸音も確認できます。腸は空洞の管状構造をしているため、食べ物や液体が移動する際に音が発生します。これを聴診器で聞き取ることで、消化器官が正常に機能しているかを確認します。

一般的には、腸が活発に動いている際には音がよく聞こえるため、特に問題はありません。しかし、腸閉塞などの疾患がある場合、腸音が減少したり消失したりすることがあります。また、腸内で液体やガスが移動する際に「金属音」が聞こえる場合もあり、これは腸閉塞の兆候となることがあります。

3. 聴診器を使う際の注意点

聴診器は非常に便利なツールですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。

  • 清潔を保つ:聴診器は患者の体に直接触れるため、使用後は毎回消毒を行いましょう。これにより、感染症の拡散を防ぐことができます。
  • 適切な場所を選ぶ:音を聞く場所が重要です。例えば、心臓の音を確認する際には、胸骨周辺の特定の場所に当てることで、正確な診断が可能です。
  • 静かな環境で使用する:周囲の雑音があると、体内の音を正確に聞き取ることが難しくなります。できるだけ静かな環境で使用することが望ましいです。

4. まとめ

聴診器は、医師の日常的な診療で欠かせないツールです。心音、肺音、腸音など、多岐にわたる診察が可能で、患者の体内の異常を早期に発見する手助けをします。この記事では、聴診器の基本的な使い方を紹介しましたが、医師がどのようにして患者の健康状態を確認しているかの一端を理解いただけたでしょうか?

ぜひ、今後医師の診察を受ける際には、聴診器の役割やその使用方法を少し意識してみてください。


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