火災調査書の書き方マニュアル

火災調査

【火災・原因概要】の記載方法

■ 構成する2つの項目

り災概要(どんな被害が出たか) 出火原因概要(なぜ火災が起きたか)

【出火原因概要】の書き方ポイント

以下の7つを意識して、簡潔かつ明確に書くのが大事です。

いつ(時間) どこで(場所) 誰が(関係者) 何を(物や行為) 何のために(目的) どうした(具体的な行動) どうなった(出火の経緯)

※時間を書く場合は、証言・証拠に基づく根拠が必要です。あいまいな推定は避けましょう。

記載例1:建物火災(風呂釜の冠水)

本火災は、防火造2階建て住宅の1階浴室から出火し、風呂釜および浴槽が焼損したぼや火災である。火元者である消防太郎(21歳)は、17時頃に浴槽の水が汚れていたため、新しい水に入れ替えたうえでガス風呂釜に点火した。浴室の排水不良は以前からあったが、時間が経てば排水されることから特に気にしていなかった。出火原因は、17時10分頃、浴室内の排水口に毛髪などが詰まっていたことにより排水が滞り、バーナー部分が冠水して異常燃焼を起こし、内部の電気配線に着火して出火に至ったものと判定する。

記載例2:建物火災(消したはずの布団の再燃)

本火災は、耐火構造5階建て共同住宅305号室の浴室から出火し、布団および浴槽が焼損したぼや火災である。火元者の消防太郎(21歳)は、前日の22時頃に酩酊状態で帰宅し、就寝中に寝たばこをしていたところ、そのまま寝入ってしまった。24時頃に布団の熱気で目を覚まし、掛け布団から煙が出ていたため、風呂場に運んで水をかけ消火したつもりで再び就寝した。出火原因は、午前2時頃、水をかけた布団が完全には消火されておらず、浴室内で再燃した結果、浴槽に燃え移って出火したものと判定する。

記載例3:その他の火災(たばこの投げ捨て)

本火災は、路上に設置されたごみ集積場の一部ごみが焼損した火災である。出火原因は、20時13分頃に通行人がまだ火の残るたばこの吸殻を路上のごみ集積場に投げ捨てたことで、ごみが着火し、燃焼に至ったものと判定する。

記載例4:建物火災(ストーブと衣類の接触)

本火災は、木造2階建て住宅の1階居間から出火し、建物全体が焼損した火災である。出火原因は、石油ストーブの上で乾燥中であった衣類が何らかの理由でストーブ本体に落下し、そのまま過熱されて発火し、火災に至ったものと推定される。

記載例5:建物火災(天ぷら油の過熱)

本火災は、耐火構造5階建て共同住宅「○○○○」の201号室台所から出火し、グリル付きガステーブル1台と内壁2㎡を焼損したものである。火元者である居住者○○○○は、夕食準備中にグリルに鍋をかけて点火し、その直後に電話応対のためその場を離れた。出火原因は、過熱防止装置の無いLPガス式のコンロにより鍋内の油が過熱され、発火に至ったものと判定する。

記載例6:車両火災(エンジンオイルの漏洩)

本火災は、○○○○所有の普通乗用自動車(○○社製、初年度登録:平成○○年○○月、型式○○○○)1台が全焼した車両火災である。出火原因は、当該車両のエンジンオイル配管に構造的な不具合があり、走行中にエンジンオイルが漏洩し、エキゾーストマニホールド上に滴下したことにより、高温部に触れたオイルが発火して出火に至ったものと判定する。なお、この車両については、製造元より当該不具合に関するリコールが発表されていたが、所有者による改修はなされていなかった。

記載例7:建物火災(出火原因不明)

本火災は、鉄骨造2階建ての事務所併用共同住宅「○○ハイツ」1階に入居する事務所「有限会社○○事務所」より出火し、事務所1室約100㎡を焼損したものである。火災当時、事務所は無人かつ施錠されており、外部からの侵入痕跡も認められなかった。出火箇所付近には喫煙の痕跡や電気ストーブの使用が考えられるが、いずれも物的証拠に乏しく、火源を特定するに至らなかった。よって、本火災の出火原因は不明とする。

記載例8:建物火災(風呂釜の空だき)

本火災は、木造2階建て住宅の1階風呂場から出火し、延床面積101㎡のうち40㎡を焼損した他、隣接する建物2棟の外壁および雨樋等にも延焼被害を及ぼした建物火災である。火元者である主婦○○○○(26歳)は、浴槽の水栓が完全に開かれていなかったことに気づかず、ガス風呂釜に点火。その後、水が尽きて空だき状態となり、過熱された循環パイプから発火に至ったものと判定する。なお、当該風呂釜には空焚き防止装置が設置されていたが、過去の修理時に業者が誤って結線していたため、装置は作動しなかった。初期消火の際、別居家族である△△△△(56歳)が両手に熱傷を負った(傷者1名)。

記載例9:建物火災(天ぷら油の過熱と外出)

本火災は、防火造2階建ての店舗併用共同住宅2階、201号室の台所から出火し、換気扇および吊り戸棚等を焼損したものである。火元者である主婦○○○○(34歳)は、夕食の準備として鍋に天ぷら油を入れてガステーブルにかけ点火したが、買い物を思い出して火を消すことなく外出した。出火原因は、その間に鍋内の油が過熱された結果、自然発火して出火に至ったものと判定する。

記載例10:車両火災(経年劣化によるオイル漏れ)

本火災は、環状8号線外回りを走行中であった小型乗用車(○○○○)のエンジン部から出火し、車両1台を焼損した車両火災である。出火原因は、シリンダヘッドカバー部に使用されていたガスケットが経年劣化により変形し、隙間からエンジンオイルが吹き出した。漏洩したオイルが高温となっていたエキゾーストマニホールドに飛散し、これにより発火して出火に至ったものと判定する。

記載例11:その他の火災(たばこの投げ捨て)

本火災は、路上のごみ集積場において、可燃ごみの一部が焼損したものである。出火原因は、夜間に通行人が消火されていないたばこの吸殻を集積場に投げ入れたことにより、ごみ袋内の紙類等の可燃物に火が移り、燃焼が拡大して出火したものと判定する。なお、現場周囲の監視カメラ映像等により、たばこを投げ捨てた人物の存在が確認されている。

記載例12:建物火災(ストーブと衣類の接触)

本火災は、木造2階建て専用住宅の1階居間から出火し、当該住宅の延べ面積120㎡が全焼したほか、隣接する建物を含む計3棟270㎡を焼損した大規模火災である。火元者である会社員○○○(年齢○歳)は、室内で洗濯物を乾かすため、石油ストーブの上部にハンガーで衣類を吊したまま外出。固定していなかった衣類が落下し、ストーブに接触して過熱され、蓄熱された布が発火して出火したものと推定する。

記載例13:建物火災(スプレー缶の過熱)

本火災は、木造2階建て住宅の1階リビングより出火し、床面積約6㎡を焼損したものである。火元者である主婦○○○(年齢○歳)は、冬季にガスファンヒーターを使用中、使用済みの害虫駆除用スプレー缶をファンヒーター前に置いていた。出火原因は、温風の影響により缶内の圧力が上昇して破裂し、放出されたLPG(液化石油ガス)がヒーターのバーナー炎に接触して引火、出火に至ったものと判定する。

記載例14:建物火災(天ぷら油・テレビ視聴中)

本火災は、耐火構造地上7階・地下1階建て共同住宅の5階503号室台所から出火し、換気扇および蛍光灯器具等を焼損したものである。火元者である主婦○○○(年齢○歳)は、夕食準備として鍋にサラダ油を入れてガスコンロにかけたが、油の加熱中に隣室でテレビを見始め、そのまま時間を忘れてしまった。出火原因は、長時間の放置により鍋内の油が過熱され、自然発火した結果、出火に至ったものと判定する。なお、主婦は初期消火を試みたが、顔面に第2度熱傷を負っている。

記載例15:車両火災(燃料配管からのガソリン漏洩)

本火災は、東名高速道路を走行中の小型乗用車1台から出火し、当該車両が全焼したものである。出火原因は、燃料供給系統における配管が経年劣化によりひび割れを起こし、そこからガソリンベーパ(蒸気)が漏洩。エンジンルーム内のディストリビュータにて、ロータとセグメント間で発生した火花が可燃性蒸気に引火し、爆発的に燃焼し出火したものと推定する。

記載例16:その他の火災(たばこの火種による雑草火災)

本火災は、JR東海道線沿線の土手において発生し、枯草約1アールが焼損したものである。出火原因は、通行人または列車乗客等がたばこの吸殻を投げ捨てたことにより、乾燥した雑草に火種が接触し、着火したものと推定する。現場周囲には目立った可燃物や放火の痕跡は見られず、自然発火や電気的要因も否定されたことから、たばこの不始末による失火と結論づけた。

記載例17:その他の火災(ごみ集積場への放火)

本火災は、路上に設置されたごみ集積場において、廃棄された雑誌類などの可燃ごみが焼損した火災である。出火現場には意図的に火をつけたと考えられる焦げ痕が残されており、周囲の状況からは不審者の出入りも確認されている。火源としては、ライターまたはマッチなどの有炎火源を使用した放火の可能性が高く、出火原因は何者かによる放火と推定する。ただし、現時点で犯人の特定には至っていない。

記載例18:その他の火災(物置内への侵入放火)

本火災は、木造住宅敷地内に設置された物置内部から出火し、物置全体および内部の収納物が焼損したものである。出火原因は、何者かが施錠されていなかった物置内に侵入し、入口付近に積まれていた段ボール箱に対してライター等の有炎火源を用いて火をつけたことによる放火と判定する。現場検証により、出火箇所の周辺に不審な足跡やライターの破片が確認されており、事件性が高い火災である。

記載例19:建物火災(たばこの消し忘れによるごみ箱火災)

本火災は、木造2階建て住宅の台所から出火し、厨房部分の一部設備および内壁を焼損したものである。出火原因は、火元者が喫煙後に吸殻を灰皿で消火したつもりでいたが、火種が残った状態でその吸殻を台所北側のごみ箱へ廃棄したことによるものと判定する。ごみ箱内には紙くずや布切れなどの可燃物が含まれており、そこに残火が引火して出火したものとされる。初期段階で発見されたため延焼は最小限にとどまった。

記載例20:建物火災(来客対応中の天ぷら油過熱)

本火災は、木造2階建て住宅の1階台所より出火し、キッチン周辺および天井部分の内装材を焼損した火災である。火元者である主婦○○○○(○○歳)は、○時○○分頃より天ぷらを調理していたが、来客が訪れたため玄関での対応に意識が向き、加熱中の油鍋を放置していた。その間に油温が上昇し、自然発火を引き起こして出火したものと判定する。火元者は初期消火を試みたが、火炎に煽られたことで前腕部に軽度の火傷を負った。

発見状況の記載方法

発見状況欄には、主に次の4点を盛り込んで記載します:

発見者の情報(職業・氏名・年齢・性別) 発見のきっかけや場所(何をしていて気づいたか、どこから見たか) 火災発見時の状況(煙・炎・音・においなど) 発見者の行動(通報、避難、近隣への周知、火災警報器の作動状況など)

発見状況・記載例(わかりやすい文章)

記載例1(近隣からの目撃)

近隣に住む会社員○○○○(40歳・男性)は、自宅1階で読書中に「バリーン」というガラスの割れる音を聞き、不審に思って窓から外を見ると、隣家1階南側の窓から炎が噴き出しているのを発見した。住宅用火災警報器の音は聞こえなかった。

記載例2(屋外作業中の目撃)

隣の家に住む主婦○○○○(35歳・女性)は、庭で植木の手入れをしていたところ、「パチパチ」という音を聞いて異変に気づいた。出火建物の1階窓越しに炎が見えたため、急いで現場に駆けつけたが玄関は施錠されていたため、ガラス戸を叩き、声を張り上げて火災を知らせた。

記載例3(建物内で発見)

出火建物3階に住む主婦○○○○(45歳・女性)は、外から誰かが大声で叫ぶ声を聞き、不審に思って玄関を開けると、階段室に煙が立ち込めていた。夫と共に1階へ向かう途中、作業場奥から炎が見えた。初期消火を試みようとしたが煙が急激に上がってきたため、危険を感じ、3階バルコニーに子どもと避難し、助けを求めた。

記載例4(居住者による自宅内発見)

居住者である主婦○○○○(○歳)は、風呂釜を点火した後にテレビを見ていたところ、室内に煙が充満してきたため廊下に出たところ、風呂場から黒煙が出ているのを発見した。

記載例5(調理中の発見)

居間でテレビを見ていた主婦○○○○(○歳)は、焦げ臭いにおいを感じ、台所へ行ってみると、加熱中の鍋から炎が立ち上っているのを発見した。

記載例6(運転中の車両火災)

出火車両を運転していた会社員○○○○(○歳・男性)は、走行中に焦げ臭さを感じ、同時にボンネットから黒煙が上がっていることに気づいた。車を停車させて外に出て確認しようとしたところ、炎が噴き出してきたため、ボンネットを開けずにそのまま避難した。

記載例7(通行中に屋外火災を発見)

JR東海道線脇の歩道を通行していた公務員○○○○(○歳・男性)は、土手下から煙が出ていることに気づき、確認したところ枯れ草が燃えているのを発見した。

記載例8(車で通行中の目撃)

車で火災現場付近を通行していた会社員○○○○(○歳・男性)は、道路脇のごみ集積場から炎と煙が立ち上っているのを発見した。すぐに近隣住民である○○さん方へ向かい、火災を知らせた。

記載例9(就寝中の発見)

○○市○○区○○町○丁目の自宅2階で就寝中であった会社員○○○○(○○歳・男性)は、息苦しさを感じて目を覚まし、自室の扉を開けたところ、廊下が煙で満たされているのを発見した。すぐに大声で家族に火事を知らせた。

記載例10(調理中の油火災)

○○市○○区○○町○丁目 主婦○○○○(○○歳)は、○時○○分頃、居間でテレビを見ていたところ、室内に煙のにおいが漂ってきた。台所へ確認に行くと、天ぷら鍋から約50cmの炎が上がっているのを発見した。

通報状況の記載ポイント

通報状況欄では、以下の項目を簡潔かつ明瞭に記載します:

通報者の情報(職業、氏名、年齢、性別) 火災を知ったきっかけ(見た・聞いた・知らせを受けたなど) 通報手段・時刻(携帯、固定電話、誰が通報したか) 通報後の行動(避難、周囲への警告など)

通報状況の記載例(わかりやすい文章)

記載例1(家族に通報を依頼)

消防太郎は、出火に気づいた直後、妻の花子(35歳)に119番通報を依頼し、花子が自身の携帯電話を使用して119番へ通報した。

記載例2(屋外作業中に妻と連携)

出火建物北西側の住宅に住む会社員○○○○(60歳)は、ベランダで釣り道具の準備中に、妻△△△△(56歳)から「外が騒がしい」と言われ、建物の2階窓から煙が出ているのを発見。すぐに妻に119番通報を指示し、妻が自宅の固定電話で通報を行った。

記載例3(外の騒ぎをきっかけに)

出火建物西側の住宅に住む○○○(年齢不詳)は、夕食中に外の騒ぎに気づき、窓の外を見ると1階から炎が出ていたため、自宅の固定電話から119番通報した。

記載例4(通行中に通報)

JR東海道線沿いの歩道を歩いていた公務員○○○(○歳)は、土手下で火災を発見後、すぐに携帯電話から119番通報を行った。

記載例5(家族と確認後に通報)

○○市○○区○○町の主婦○○○○(○○歳)は、自宅2階で就寝中に息子の声で目を覚まし、夫と台所を確認したところ、ごみ箱から約1mの炎が上がっているのを確認。すぐに居間の電話を使って119番通報した。

記載例6(窓越しに火災を確認)

○○市○○区○○町の主婦○○○○(○○歳)は、居間で過ごしていたところ隣家から騒ぎ声が聞こえたため、不審に思い南側の窓を開けて確認した。隣家の窓越しに赤い炎を確認し、火災と判断して居間の電話から119番通報を行った。

以下に、「初期消火状況の記載方法」をわかりやすくまとめ、あわせて実用的で読みやすい記載例をお届けします。

初期消火状況の記載ポイント

記載欄には、次の要素を押さえて簡潔に記載します:

初期消火を行った人の情報(職業・氏名・年齢・性別) 火災を発見した時の様子(火勢、場所、炎・煙の状態など) 消火に使用した方法や道具(消火器、水、バスタオルなど) 消火の効果(成功・不成功・一部抑制など)

初期消火状況の記載例(わかりやすい文章)

記載例1(住宅用消火器を使用)

消防太郎(○歳・会社員)は、出火を確認後、自宅に備えていた住宅用消火器を持って出火建物の台所窓から放射したが、すでに火勢が強く、消火の効果は見られなかった。

記載例2(作業員が消火器を使用)

出火建物の北側約10mのビルでシャッター工事を行っていた作業員○○○○(34歳)と○○○○(33歳)は、自動火災報知設備のベルに気づいて出火建物へ駆けつけ、1階にあった粉末消火器2本と泡消火器1本を使って初期消火を試みたが、既に天井付近まで炎が達しており、鎮火には至らなかった。

記載例3(初期消火なし)

本火災では、初期消火は実施されていない。

記載例4(消火器での対応後に避難)

居住者○○○○(○歳)は、火災を発見後、台所にあった粉末消火器を取り出して風呂場の入口から放射したが、火の勢いが強く消火できなかったため、安全を確保するために屋外へ避難した。

記載例5(水に浸したタオルで消火)

居住者○○○○(○歳)は、火元となった鍋の火を止めた後、風呂場のバスタオルを水に浸し、それを鍋にかぶせて炎を抑え、初期消火に成功した。

記載例6(車両火災での対応)

現場を通行中のトラック運転手○○○○(○歳)ほか2名が、それぞれ自車に搭載していた粉末消火器を使用して初期消火を試みたが、出火から間もなくして炎が大きくなっていたため、鎮火には至らなかった。

記載例7(ホースでの消火成功)

出火の知らせを聞いて駆けつけた○○○○(○歳)は、屋外に出たところ、ごみ集積場のごみが燃えているのを確認し、庭先のホースを伸ばして水をかけた結果、消火に成功した。

記載例8(バケツでの消火)

○○市○○区○○町の会社員○○○○(○○歳)は、台所のごみ箱から約1mの炎が上がっているのを確認し、浴槽の水をバケツで3杯汲んでかけたところ、炎は鎮まり、初期消火に成功した。

記載例9(濡れタオルでの消火)

○○市○○区○○町の主婦○○○○(○○歳)は、天ぷら鍋から炎が上がっているのを発見し、近くにあったタオルを水道水で濡らして鍋にかぶせたところ、炎が収まり、初期消火に成功した。

原因判定理由欄の記載

火災調査書の「原因判定理由」には、以下の点を明記することで、出火原因の正当性と妥当性を立証します:

出火原因の認定理由(現場の状況、申述内容、物的証拠など) 事実と推定を分けて明記(目撃・証拠・物理的現象から論理的に導く) 他の火源に対する反証(放火・電気火災・自然発火などの否定) 文章は簡潔・明瞭・論理的に

記載例(わかりやすい表現)

記載例1:たばこの投げ捨て(ごみ火災)

出火箇所であるごみ集積所の周囲には、多数のたばこの吸殻が見分される。

焼損ごみは紙くずなどの可燃物のみであり、他に火源となる物は確認されていない。

発見者も出火直前に不審者を見ておらず、現場が人通りの多い繁華街であることから、放火や火遊びの可能性は低く、たばこの投げ捨てによる出火と判断する。

記載例2:天ぷら油の過熱(台所火災)

台所のガステーブル上にはサラダ油を入れた中華鍋が置かれており、その周辺に焦げ跡が集中している。

調理者の申述から、油加熱中に目を離していたことが確認され、上部の壁に向かって放射状の焼損も認められる。

電気機器等の他の火源はなく、油の過熱発火による出火と判定する。

記載例3:放火(集合住宅)

出火場所は3階エレベーターホールであり、可燃物が少なく、自然発火や電気的火源も確認されていない。

さらに、同建物の1階階段室でも同時刻に別の小規模火災が発生しており、連続して火災が起こる状況から、第三者による放火の可能性が高いと判断する。

記載例4:トラッキング(電気火災)

出火は居間北東の壁付コンセント付近に集中しており、焼損部から溶けたプラグ刃が見分される。

居住者の申述からは扇風機が常時差し込まれていたことが確認され、他に火源もないことから、トラッキング現象による出火と判断する。

記載例5:たき火(屋外火災)

焼損範囲内に炭化した木片や灰が散乱しており、火元者が「たき火をしていた」と口述している。

火の粉が風で飛び、周囲の枯草に着火したとみられることから、たき火が原因であると判断する。

記載例6:自然発火(生石灰+雨水)

納屋内部の出火箇所付近には、白色の固まった粉末状物質が確認され、所有者の申述から生石灰であることが判明している。

天井の穴から雨水が浸入し、石灰と反応して発熱・発火したと考えられるため、自然発火と判断する。

納屋は施錠されており、外部からの侵入や放火の形跡は認められない。

記載例7:車両火災(スプレー缶の破裂)

車両荷箱内からは潰れたスプレー缶が多数発見され、ごみと一緒に焼損している。

同乗者が「ボンという音の後に白煙が出た」と証言しており、可燃性ガスが何らかの原因で発火し、出火に至ったと判断する。

記載例8:たばこの投げ捨て(河川敷火災)

出火箇所は○○川左岸河川敷で、焼損範囲は東西○○m、南北○○mに及び、枯草のみが焼損している。

周囲には多数のたばこの吸殻が散乱しており、散歩中の無職○○○○(67歳・男性)は「若者がたばこを吸っていた」と申述している。

たばこを吸っていた人物の目撃証言と、出火までの時間的経過に矛盾はなく、当時の気象状況(乾燥・強風)を考慮すれば、たばこの火種が枯草に着火した可能性は高いと判断する。

記載例9:たばこの投げ捨て(ごみ火災)

焼損したごみは紙くず・ダンボール等の可燃ごみで構成されており、火源となりうるマッチや電池類は見つかっていない。

付近の歩道上には通行人によると思われる吸殻が多数見分される。

出火時間帯は午後4時頃で、歩行者が多く、放火や火遊びの可能性は低く、たばこの不始末による出火と判断する。

記載例10:放火(建物火災)

出火箇所は3階のエレベーターホールで、可燃物が極めて少なく、掲示板のみが焼損している。

火源となる電気機器や暖房器具は存在せず、同時間帯に建物1階でも自転車のシートが焼損する火災が発生している。

これらの状況から、連続した放火の可能性が高いと判断する。

記載例11:放火(ごみ箱火災)

出火場所は公園内のごみ箱であり、周囲には火源となる物は見当たらない。

ごみ箱周辺は人通りの多い道路沿いに面しているが、出火は深夜帯で人通りが少ない時間帯であり、第三者が火をつけた可能性が高いと判断する。

記載例12:天ぷら油(建物火災)

出火場所は台所のガステーブルであり、中華鍋に残留していた油と焦げ跡が確認される。

コンロ周辺の壁には放射状の焼損が認められ、換気扇の樹脂羽根が溶融・落下している。

調理者の申述では、コロッケを揚げるために油を熱し、テレビを見ている間に発火したとされており、油の過熱による出火と判断する。

記載例13:たばこ(寝室火災)

出火室の布団と畳に焼け込みが見られ、申述者は布団の上でたばこを吸っていたと証言している。

出火までに約1時間経過しており、無炎燃焼から有炎燃焼に至る微小火源の特徴に一致している。

出火室は施錠されており外部からの放火は考えにくく、電気的火源の痕跡も火災熱によるものと考えられることから、たばこの火種による出火と判断する。

記載例14:自然発火(生石灰と雨水)

納屋の南西側に炭化が集中しており、その付近に白い固形物(生石灰)が確認された。

所有者の申述から、それが土壌改良剤として使っていた生石灰であることが明らかで、当日は雨天であり、天井の穴から雨水が侵入した可能性が高い。

生石灰と水の反応による発熱・自然発火が原因と判断され、外部からの火入れや放火の痕跡もない。

記載例15:天ぷら油の過熱(建物火災)

調理者が申述するように、天ぷら鍋をコンロにかけたままその場を離れた後に発火した。

焼損状況は鍋から壁に向かって扇状に広がっており、自然加熱による油の発火と整合していることから、過熱が原因と判断する。

記載例16:マフラー過熱(車両火災)

出火車両は排気系統(マフラー・触媒)周辺を中心に焼損しており、Oリング等のゴム部品も焼失。

運転手はエンジンをかけたまま仮眠していたと申述し、近隣住民も空ぶかしの音を聞いている。

これらの状況から、排気系統の異常加熱による出火と判断する。

記載例17:火遊び(空地火災)

焼損場所には焼けた漫画本や紙類が散乱しており、火災直前には子どもが遊んでいたとの証言がある。

人通りの多い場所に面し、放火やたばこの投げ捨ての可能性は低く、火源が他に確認できないことから、子どもによる火遊びが原因と判断する。

出火建物の判定とは?

複数の建物が焼損している場合、「どの建物から出火したのか」を明確にする必要があります。

これは出火箇所や出火原因を特定する前提となる重要な判断であり、出火建物が曖昧なままでは、出火原因の立証や責任の所在も不明確になります。

判定の手順(記載の構成)

実況見分状況  → 焼け方の違いや火元に近い建物の状況などを比較 出火出場時の見分状況  → 消防隊到着時の火炎や煙の様子、延焼の方向など 発見状況  → 通報者や発見者の申述内容(最初にどの建物が燃えていたか) 結論  → 上記すべてを踏まえて、どの建物が出火建物かを明確に記載

承知しました。以下に「出火建物の判定」について、記載例1~7をわかりやすく整理して記載します。それぞれの事例に、実況見分・出火時の状況・発見状況・結論を構成に入れています。

記載例1:出火建物が明らかな場合(単棟全焼)

実況見分書によると、○○荘は建物内外ともに激しく焼損し、かろうじて建物の原形を保っている状態である。

一方、北側に隣接する××方および△△方建物は、○○荘に面した南側外壁に若干の焦げが見られるのみである。

このため、出火建物は「○○荘」と判定する。

記載例2:調査内容を引用して出火建物を論理的に判定

【(1) 実況見分状況】

①建物は全体が激しく焼損しており、屋根や外壁材は脱落、柱が炭化している。

②・③建物は①建物に面した側の外壁の焼損にとどまり、構造は残存。

④建物は西側北寄りの1階屋根瓦に損傷があるが、他の部位はほぼ無傷。

⑤〜⑦建物は外壁の軽微な焦げのみ。

【(2) 出火出場時の状況】

①建物は全体から火炎が噴出。②・③建物は①建物側からの延焼中。④建物は一部発煙。⑤〜⑦建物は火煙なし。

【(3) 発見状況】

第一発見者は「○○荘の西側が激しく燃えており、他の家には火がついていなかった」と証言。

居住者も「○○さんの部屋が最初に勢いよく燃えていた」と述べている。

【(4) 結論】

これらの状況から、①建物が火元であり、他の建物へは延焼したと判断される。よって出火建物は「○○荘(①建物)」であると判定する。

記載例3:明確な焼損範囲の違いがある場合

一般住宅(○○宅)は内部が全焼しているのに対し、隣接する○○ハイツおよび別棟物置は、○○宅に面する外壁の焼損のみである。

実況見分調査および写真資料を踏まえ、出火建物は「一般住宅(○○宅)」であると判定する。

記載例4:車両と倉庫の延焼関係を考慮した判定

【(1) 実況見分状況】

車両1〜3は倉庫①側の外装のみが焼損。倉庫②は一部床面が残存し、東から西に向かって燃えた様子。

【(2) 出火出場時の状況】

倉庫①は建物全体から火炎が噴出。倉庫②は、倉庫①西面開口部からの火炎にあおられていた。

【(3) 発見状況】

証言によれば、発見時に燃えていたのは「倉庫①」であり、倉庫②は燃えていなかった。

【(4) 結論】

以上の内容から、火元は「倉庫①」であり、出火建物は「倉庫①」と判定する。

記載例5:建物内の延焼方向の観察から判定

【(1) 実況見分状況】

②建物の1階は焼損なし。2階では東側居室の炭化が深く、西側居室へ延焼。西側居室は天井から下へ燃え下がった形跡がある。

外側からも瓦の脱落は東寄りに集中し、東側軒裏は①建物側が激しく損傷している。

【(2) 出火出場時の状況】

①建物は火炎噴出中、②建物は煙のみ。

【(3) 発見状況】

省略(質問調査書記載あり)

【(4) 結論】

実況見分、出火時の状況、証言を総合し、②建物は①建物からの延焼と判断。よって出火建物は「①建物」と判定する。

記載例6:複数棟ある集合建物における判定

【(1) 実況見分状況】

A棟は1〜3階まで全焼。B棟は3階西側のみ焼損、C棟はA棟に面する外壁に焦げ。

B棟西側の焼損が強く、C棟もA棟側の焼損が顕著。

【(2) 出火出場時の状況】

A棟は火炎噴出中、B棟は軒先から煙、C棟は無損傷。

【(3) 聞き込み状況】

「A棟1階から炎が出ていた。他の建物は燃えていなかった」との証言あり。

【(4) 結論】

各種資料と証言から、出火建物は「A棟」と判定する。

記載例7:構造的な焼損差からの即断例

A棟は1・2階が立体的に焼損しているのに対し、B棟およびC棟はA棟に接する外壁の焼損のみである。

この焼損状況から判断し、出火建物は「A棟」である。

【出火箇所の判定】とは?

出火建物の中の“どの場所”で最初に火が出たのかを特定する作業です。

出火箇所の特定は「出火原因の解明」に直結する最重要項目であり、誤れば原因を見誤るリスクがあります。

【記載の基本構成】

記載内容は原則として次の4項目を順に書きます:

実況見分状況  現場の焼損状況、炭化の強弱、天井・壁・床の変化など 出火出場時の状況  消防隊到着時の炎・煙の位置、延焼方向 発見状況(目撃証言など)  発見者がどこから炎や煙を見たか、どの部屋が先に燃えていたか 結論(判定)  以上の観察・証言を基に、どの場所が出火箇所と判断されたのかを論理的に示す

【出火箇所の範囲の考え方】

出火箇所とは「出火建物の中の、火が最初に出たと考えられる範囲」のことです。

ただし、調査によって精度は異なるため、以下のようなレベル分けで表現されます:

例1:6畳間全体 例2:6畳間の北西角付近 例3:6畳間の北西角の机周辺(最も限定的)

火災の状況によっては、あえて「ある程度広めに」設定することもあります

以下に「出火箇所の判定」に関する記載例1〜8を、やや文章を長くして丁寧にわかりやすくまとめました。

記載例1:建物火災(勉強机付近からの出火)

(1)実況見分状況

実況見分調査書によれば、焼損建物の西側2階6畳間において天井、内壁、畳などの焼け方が他室に比べ著しく、特に勉強机付近の天井材が焼け落ち、机に接する壁も一部焼失していた。家具の焼け具合や燃え広がりの形跡から、この部屋の南側に配置された勉強机付近を基点として火災が拡大した様子がうかがえた。

(2)出火出場時における見分状況

消防隊の出動時、当該部屋の南側窓から火炎が噴出しており、他室では煙の噴出にとどまっていた。さらに、ガラスが割れていなかった北側窓は内部が赤く照らされていたことからも、南側から火勢が強くなったと判断された。

(3)関係者の申述

居住者である主婦は、昼寝から目覚めた際に襖の隙間から煙を確認し、襖を開けたところ勉強机の周囲から炎が天井まで上がっていたと証言。また、隣人も同じ部屋の南側窓から炎が見えたと述べており、視認位置と燃焼部位が一致している。

(4)結論

実況見分、火災時の目撃証言、焼損状況のいずれもが、2階西側6畳間における勉強机付近が火災の出火箇所であることを示しており、矛盾する点は見受けられない。よって、出火箇所は「2階西側6畳間の勉強机付近」と判定する。

記載例2:建物火災(居間南西角ストーブ付近)

1階の焼損は、和室・洋室・廊下の出入口上部のみにとどまり、火流が廊下を経由して伝わった形跡がある。廊下では天井中央から南側に焼損があり、居間との境付近の壁面クロスは焼け落ち、距離をおくごとに残存状態が良好であった。

また、居間の南西角にはFF式石油ストーブがあり、周辺の床面と壁が半扇状に炭化していた。

これらの観察結果から、出火箇所は「1階居間南西角のFF式石油ストーブ周辺」と判断される。

記載例3:建物火災(台所ガス台周辺)

実況見分調査書によると、焼損範囲は1階台所のガス台周辺とその上部内壁・換気扇に限られており、いずれもガス台から上方へ向けて延焼した様子が確認された。

居住者も「台所に戻ると、中華鍋から1mほど炎が上がっていた」と証言しており、火源との位置関係に矛盾がない。

以上の事実を踏まえ、出火箇所は「1階台所ガス台周辺」と判定する。

記載例4:建物火災(2階8畳洋間北西角)

2階の部屋群に焼損が集中し、東側和室は天井焼損のみ、中央の6畳洋間は天井と壁にまで焼けが及び、西側の8畳洋間では天井材の格子まで焼失していた。

北側のアルミサッシ周辺には炭化が著しく、特に西側では部材の溶融も認められた。加えて、ベッドスプリングの焼損状況からも、西寄りで強く焼けていた。

これらの情報から、出火箇所は「2階8畳洋間の北西角付近」と判定される。

記載例5:建物火災(2階南側6畳間南西床面付近)

1階には焼損がなく、2階南側6畳間が最も強く焼損。特に南西床面では畳に燃え込みがあり、内壁や天井材もこの部位から焼けていた。

消防隊到着時にも、南側窓から激しい火炎が噴出しており、北側では黒煙にとどまっていた。

居住者の証言でも、南西床面から炎が立ち上がったとされている。

以上から、出火箇所は「2階南側6畳間の南西床面付近」と判定される。

記載例6:建物火災(2階201号室 北東側床面付近)

101号室は一部のみ焼損していたが、201号室は全面にわたって焼けていた。特に北側4畳半の北東角では、箪笥の焼けが著しく、床には炭化した衣類と断線した延長コードが残っており、そこには電気的溶痕も認められた。

この延長コード付近が最も早期に燃焼したと推定され、構造材や屋根の焼け具合もこの位置を起点として南方へ延焼したことを示していた。

したがって、出火箇所は「201号室北側4畳半北東側床面付近」と判定する。

記載例7:車両火災(コンソールボックス内)

車両の焼損は車室内に限られ、コンソールボックス上の天井が溶融し、運転席・助手席の内装がボックス寄りに焼けていた。カセットデッキも著しく変形・変色していた。

目撃者も「シフトレバー付近から炎が上がった」と証言しており、出火地点と一致している。

よって、出火箇所は「コンソールボックス内のカセットデッキ付近」と判定する。

記載例8:バイク火災(出火箇所の特定不可)

焼損状況を見ると、バイク全体が激しく燃えており、シートやタイヤなど可燃部はすべて焼失していた。火災発見者の証言でも「全体が炎に包まれていた」とのことであった。

以上のことから、出火箇所を特定できるような物的・証言的証拠が存在せず、合理的に範囲を限定することが困難であるため、「出火箇所は判定できない」とする。

以下に、「出火原因の判定」について、わかりやすく丁寧に解説した文章をまとめました。

出火原因の判定の記載(わかりやすい解説)

1. 出火原因の検討項目について

出火原因を特定するには、以下の3つの観点から検証します:

発火源と着火物(火を発生させたものと、それに火がついたもの) 火が着いた経緯と、そこからの燃え広がり(延焼)の様子 出火に関わる人的要因や、物の配置・設備の不備といった物的要因

2. 出火原因判定の方法

火災原因の記載は、実況見分調査書や関係者の聞き取り記録(質問調査書)などを引用して、科学的かつ合理的な判断を行うことが求められます。

たとえば、目撃情報・燃え方・物の配置・使用履歴などを分析し、それをもとに「なぜ火が出たのか」を説明していきます。

また、必要に応じて「再現実験」や「専門文献」「火災事例の比較」など、追加の根拠を使うこともあります。

3. 消去法による判定

火元周辺に複数の可能性があるときは、次の手順で消去法を用います:

出火箇所の範囲にあったすべての火源を列挙 ひとつひとつ、「火が出たとは考えにくい理由」を検討し、除外 残ったものを「最も火が出たと考えられる発火源」として認定

この際、以下の資料を活用します:

実況見分調査書(現場の焼け跡などの記録) 質問調査書(目撃者や関係者の証言)

4. 科学的な証拠に基づく判定

特に家電製品や設備の不具合などが関係する火災では、次のような科学的根拠が必要です:

顕微鏡や測定機器によるデータ 再現実験の結果 研究機関の資料や、学術的文献の引用 類似した火災の事例との比較

これらを用いることで、「想像ではなく、客観的な事実に基づく説明」が可能となります。

5. 発火源の立証と他の火源の否定

出火原因を記載する際には、「何が原因で火が出たか(発火源)」を証明すると同時に、「それ以外が原因ではなかった理由」も説明する必要があります。

発火源の立証で見るべきポイント:

発火源は、着火物を燃やす熱を持っていたか? 発火源と着火物が、実際に火が出るような距離や条件だったか? 着火物は燃えやすい状態だったか? 周囲に燃え広がるもの(カーテンなど)があったか? 現場にそれを示す証拠(焼け跡・配置など)が残っているか? 聞き取りでは、その状況が実際にあったと証言されているか?

たとえば、「延長コードが溶けており、その上に紙くずが積もっていた」といった証拠や、「ストーブの上に衣類が落ちていた」などの証言があれば、発火源として成立することになります。

6. 注意点(不十分な記載の例)

以下のような記載は、発火源の立証としては不十分です:

「たぶん○○が原因と思われる」 「このあたりから火が出たようだ」 「住人が○○を使っていたと聞いた」だけの記述

→これでは「なぜその発火源と断定できるのか」が伝わりません。

必ず、証拠・観察結果・証言を論理的に結びつけて記載することが大切です。

記載例:発火源の立証が不完全な例(建物火災・石油ストーブ)

1. 実況見分状況

実況見分調査書によれば、火災が発生した部屋には芯上下式の反射形石油ストーブが設置されており、芯は上がった状態で焼損していた。このストーブは、ベッドの脇に位置しており、前面がベッドに向けられた状態で発見されている。

また、ストーブの周囲には焼損した布団類が散乱しており、その様子から、ストーブの熱により布団が着火した可能性が考えられる。ただし、ストーブと布団の具体的な距離や配置の詳細な測定記録はなく、布団の材質や重なり具合など、可燃性に関する検討もなされていない。

このように、実況見分では、ストーブと着火物(布団)が近接していた状況が見分されているが、熱の伝播や発火に至るまでの過程の検証は不十分である。

2. 関係者の申述内容

居住者である消防花子は、火災発生前、当該部屋のベッドで布団にくるまりながら読書しており、石油ストーブは点火したまま、前面をベッドに向けて使用していたと申述している。

その後、1階にいた母親から「友人から電話があった」との呼びかけを受け、花子はストーブや電灯を切らずに部屋を離れた。そして、電話を終えた後も2階に戻らず、そのまま1階のリビングでテレビを見ていた。

しばらくして母親が「2階で何か音がする」と異変に気づき、花子が階段を2、3段上がったところで、上方から煙が漂っているのを確認。部屋の扉を開けた瞬間、煙が一気に噴き出し、火災に気づいたとのことである。

この申述からも、ストーブは長時間無人の状態で点火されたままであり、布団が近くにあった状況は確かであることが裏付けられる。ただし、部屋を離れてから火災に気付くまでの経過時間の正確な記録や、布団とストーブの距離がどの程度であったか、物理的な接触があったかどうかの情報は明示されていない。

3. 結論(不完全な判定)

以上の状況から、火災は石油ストーブの放射熱が近くの布団に伝わり、布団に着火したことによって発生したと考えられる。

しかしながら、本事案においては以下の重要な検討事項が欠落しており、出火原因の立証としては不完全である。

※1:ストーブとベッド(布団)との実際の距離測定や、角度、向きなどの詳細な位置関係 ※2:布団の材質(天然繊維か化繊かなど)、厚さ、配置状況 ※3:部屋を離れた時から火災に気づいた時までの経過時間の正確な把握 ※4:石油ストーブの放射熱による着火可能性(温度、時間、環境)についての科学的検証や文献等の裏付け

このように、**発火源(石油ストーブ)→経過(熱の蓄積)→着火物(布団)**という一連の流れを論理的かつ科学的に示すための情報や根拠が不足しており、出火原因の判定としては説得力に欠ける。

記載例1(石油ストーブが原因の建物火災)

本火災の出火原因については、出火箇所付近に存在したいくつかの可能性(放火・電気関係・たばこ・石油ストーブ)について、それぞれ検討を加えたうえで、最も合理的な原因を判定した。

(1)放火の可能性についての検討

まず、放火については、実況見分書「焼損状況(8)」に記載されているとおり、2階居室北西側で実施したガス検知管(鑑識用石油290PⅡ型)による測定結果では、石油系油脂類に対する反応が見られなかったことから、助燃剤が使用された可能性は極めて低いと判断された。

さらに、居住者○○○の口述によれば、火災発生直後に本人は大声で近隣住民に助けを求め、初期消火も試みた結果、軽度の火傷を負っていることからも、自ら火をつけたとは考えにくい。また、火災発生時に○○○は1階の和室にいたと申述しており、出火した2階の部屋には物理的にすぐには到達できないことから、本人による放火の可能性も排除できる。

加えて、外部者による侵入も検討したが、火災の発見・発生時に家人は在宅しており、玄関や屋内階段を使って侵入・放火・離脱するような不審な動きは確認されていないことから、外部からの放火の可能性もきわめて低いと判断される。

(2)電気的要因についての検討

次に、電気関係の出火可能性については、実況見分書「焼損状況(1)」に記載のとおり、出火室南側にあった電気ストーブは、電源コードがコンセントに接続されていない状態で残存しており、使用中でなかったことが確認された。

また、部屋中央にあったこたつについても、実況見分書「焼損状況(2)」に記載されているように、ヒーター部および周辺の焼損が軽微であり、電源コードに電気的な溶痕も認められていない。

加えて、エアコンの電源コードには異極間短絡による溶痕が見つかったものの、出火箇所の焼損状態と一致しない位置にあり、火災熱による二次的な損傷であると推測される。以上より、電気系統に起因する出火の可能性は否定される。

(3)たばこによる出火の可能性についての検討

関係者の口述に基づき、出火室の使用者には喫煙習慣がないことが明らかになっており、実況見分でも、たばこの吸い殻やライターなどは一切見つかっていない。さらに、現場の焼損物品にも、長時間にわたるくん焼の痕跡が見られないことから、たばこが原因であったとは考えにくく、たばこ火災の可能性は除外できる。

(4)石油ストーブによる出火の可能性についての検討

一方、実況見分書「焼損状況(4)」によれば、出火室南西角にあった放射型石油ストーブは芯が上がった状態で焼損しており、芯調整装置のギアの位置からも点火状態であったと判断される。

また、給油タンクは給油口の口金が外れた状態で本体に残存しており、ストーブ本体の受け部分には、口金が外れて落下したような状態で留まっていることから、何らかの力でタンクが不完全な状態で装着されていた可能性がある。

さらに、○○○本人の申述によれば、火災発生前にポリタンクから灯油を補給しようとしていた際、キャップを完全に締めていなかったことに気付かずにストーブに装着したところ、給油中に灯油がこぼれ出したという証言が得られている。

このことから、ストーブは点火状態のまま、灯油がこぼれるという危険な状況が発生していたことになり、こぼれた灯油にストーブの火が引火したことは十分に考えられる。

(5)結論

以上の事実を総合的に判断すると、他の火源(放火・電気・たばこ)については物的証拠及び関係者の申述から出火の可能性は極めて低く、唯一、点火状態の石油ストーブに対して不完全に装着された給油タンクから灯油が漏洩し、それが熱源に引火したことが、物的証拠・状況証拠ともに整合性があると判断される。

よって、本件火災の出火原因は、点火状態にあった石油ストーブにおいて、給油時に灯油が漏れ出し、それに火が着火したことによるものと判定する。

記載例2(たばこが原因と推定される建物火災)

本火災の出火原因については、出火箇所において放火、電気機器のトラブル、たばこのいずれかが原因となり得る状況が確認されたことから、それぞれの可能性について個別に検討を加えたうえで、最終的な原因を判定した。

(1)放火の可能性についての検討

放火の可能性については、現場に到着した□□消防署消防司令○○○○が作成した出火出場時の見分調査書に基づいて検討した結果、次のことが明らかとなった。

まず、現場に到着した消防隊は、施錠された玄関扉を破壊して内部に進入しており、当該玄関扉は外部からの侵入を許していなかったことが確認された(写真№7参照)。また、火災が発生した部屋は大学生の長男が使用していた個室であり、本人の質問調査書においても放火に結びつくようなトラブルや動機は確認されていない。

以上の状況から、内部関係者および第三者による放火の可能性は極めて低いと判断される。

(2)電気的要因についての検討

次に、電気関係の出火可能性については、出火箇所の東側内壁に設置された2口コンセントに学習机の電気スタンドおよび空気清浄機のプラグが接続されていたことが確認された(写真№21~23)。

しかしながら、差込プラグ・受け刃のいずれにも異常な溶損や焼損は確認されず、また空気清浄機についてはスイッチがオフの状態で見分されている(写真№25参照)。立会人の説明によれば、当該機器は数カ月間使用していなかったとのことであり、空気清浄機の電源コードに見られた電気痕についても火災によって二次的に生じたものと考えられる。

また、コンセント部にはトラッキング現象等の兆候も認められず、出火原因としての信頼性は低い。

したがって、電気関係による出火の可能性は否定される。

(3)たばこによる出火の可能性についての検討

次に、たばこが出火原因である可能性について検討する。出火箇所付近の東側テーブル上には、金属製の灰皿と簡易ライターが残存していることが確認されている(写真№28参照)。さらに、出火室を使用していた長男は、喫煙の習慣があることを認めており、出火当日13時過ぎに、部屋で着替えをしながら喫煙したことを質問調査書で述べている。

しかしながら、その際に吸殻の処理をどうしたかは**「記憶にない」と申述しており、またその後は無人状態であった**ことも確認されている。

さらに、出火推定時刻は18時30分頃とされており、長男が部屋を離れてから3時間以上が経過している。この点については、たばこ火種が無炎状態でくん焼を継続し、何らかの拍子に有炎燃焼へと移行する時間的猶予としては妥当な範囲と考えられる。また、出火箇所の東側床面には局所的な焼け込みが確認されており(写真№30参照)、たばこの火種が落下したことにより可燃物がゆっくりと熱分解を起こし、発火した可能性が高い。

(4)結論

以上の各要因を総合的に検討した結果、

放火については、施錠状態や住人の申述内容から考慮の余地はなく、 電気関係についても、使用実態や物的状況から出火源とは認めがたい。

一方で、

たばこに関しては喫煙の事実があり、吸殻の処理が不明確であり、 無炎燃焼の状態が継続していた可能性を裏付ける痕跡や焼損の広がりが一致している。

これらのことから、本火災は、居住者が13時頃に喫煙したたばこの火種が、何らかの理由で可燃物上に残り、無炎状態のまま長時間くん焼を継続したのち、有炎燃焼へと移行し、布団等の可燃物に着火したものと推定される。

よって、本件火災の出火原因は、たばこの火種による遅延燃焼によるものと判定する。

【発火源以外の火源に対する反証】

① 反証の必要性

火災の出火原因を正しく判定するためには、「出火したとされる発火源以外の火源についても、出火の可能性がないことを**明確に説明する(反証する)必要があります」。

なぜなら、たとえ発火源が詳細に立証されていても、出火箇所に他の火源(電気機器、たばこ、ストーブなど)が存在しているのに、それらに触れられていない場合、判定に対する信頼性が低下し、第三者が報告書を読んだときに「他の火源ではなかったのか?」と疑問を抱く原因となるからです。

出火の可能性があった火源を一つひとつ否定し、消去していくことで、最終的に「この火源しか出火の可能性はない」と論理的に証明できます。

② 反証の方法と注意点

反証を行う際は、実況見分調査書や質問調査書などの資料に記載された具体的な事実を引用して、「その火源から出火しなかった理由」を示す必要があります。

たとえば電気機器の場合:

焼損状況が周囲と一致していない 機器が未使用だった 電源が入っていなかった 異常な溶痕がない といった情報を用いて、「この機器からの出火ではない」と論理的に否定します。

③ 曖昧な否定表現は避ける

以下のような曖昧な言い回しは、読み手に「もしかしたら他の火源だったのでは?」と思わせてしまうため、避けるべきです:

× 「テレビからの出火はほとんど考えられない」

× 「テレビからの出火の可能性は少ないと認められる」

このような表現は、「ゼロではない」と受け取られる可能性があります。

④ 適切な否定表現(例)

反証する際には、次のように断定的かつ明確な表現が望ましいです:

「テレビの焼損状況から、テレビからの出火は認められない」 「申述では『テレビ付近から燃えた』とあるが、調査結果からテレビからの出火は否定される」

【記載例1:放火に対する反証】

本件火災における出火箇所には、石油ストーブや電気機器等の火源が存在していたため、出火原因として、放火、電気関係、たばこ、石油ストーブがそれぞれ考えられる。その中で、まず放火の可能性について検討する。

実況見分書(焼損状況8)には、出火箇所周辺で北川式ガス検知管(石油系助燃剤検知用)による測定を実施したところ反応がなかったと記録されており、これにより石油系の助燃剤が持ち込まれた可能性は低いと判断される。

また、関係者の口述書(第5項)には、火災発生直後、居住者である○○○が大声で周囲の住民に助けを求め、自ら消火器で初期消火を試みた結果、火傷を負っていることが記載されており、火災への対処行動が確認されている。

さらに、同人物の口述書(第6項)では、火災発生時には1階和室で家族とともに過ごしていたことが明らかとなっており、出火箇所である2階には居なかったとされる。このような状況からは、外部の者が無断で侵入して火をつけ、誰にも気づかれずに退去するという行動をとることは現実的ではない。

以上の事実を総合的に検討すると、本件火災において故意に火をつけたと疑われる状況や物証は見当たらず、出火当事者の行動にも不審な点は認められないことから、放火の可能性は極めて低いと判断される。

【記載例2:油の過熱】

出火箇所が台所のガス台周辺に限定されており、関係者の申述内容及び実況見分の結果から、植物油の過熱による出火の可能性について検討する。

実況見分調査書(第3-4項)では、「ガス台右下にあるガスの元栓は閉められていた」とある一方で、調査書(第3-8項)には「器具栓は開放状態であった」と記載されていることから、元栓は閉まっていたが、器具側のガスは供給されていた状態であることが読み取れる。

さらに実況見分調査書(第3-9項)には、「ガス台北側の内壁が、台上の鍋より強く変色しており、そこからの延焼の可能性が高い」と記されている。これは、ガス台に置かれた鍋が過熱され、そこからの火炎が壁に延焼したと推察できる状況を示している。

また、関係者である○○○○の質問調査書では、「○時○○分ごろ、植物油を入れた中華鍋を火にかけた後、子供の世話をしていた」と申述しており、さらに「台所に戻ると鍋から炎が上がっていた」と出火を直接目撃している。

これらの実況見分結果と証言を総合的に評価すると、本件火災は、○○○○がガステーブルで調理中に油を加熱したまま、その場を離れたことにより油が過熱され、自然発火して出火に至ったものと判断される。

【記載例3:たばこ】

本件火災では、たばこの不始末による出火の可能性も含め、放火、電気関係、たばこについて検討を加える必要がある。

放火については、現場見分調査書(第3-5項)において、玄関扉が施錠されていた状態で消防隊がエンジンカッターにより扉を破壊し内部に進入した旨が記録されており、外部から不審者が侵入した形跡は見当たらない。加えて、出火したのは長女の個室であり、本人の調査からも放火につながる動機は見られず、火災保険による不正な利益取得の可能性も低い。これらを踏まえ、放火の可能性は極めて低いと判断される。

電気関係については、出火室内にあった蛍光灯の配線に短絡痕が見分されたが、その位置は出火箇所と一致しておらず、また周辺の焼損状況からも二次的に形成されたものであると考えられるため、電気的な原因も否定される。

一方、たばこに関しては、現場見分調査書(第3-10項)で、ベッド近くの床面に金属製灰皿とライターが見つかっており、関係者である○○○○の質問調査書には、「登校前の朝7時10分ごろに、着替えながらたばこを吸っていたが、吸殻の始末は覚えていない」との申述が記録されている。

また、火災の発生はその約3時間後の10時25分頃とされており、微小火源による無炎燃焼を経た出火と考えると、時間の経過についても合理的な説明が可能である。

以上の事実から、本火災は、○○○○が喫煙後、吸殻の処理をしないまま外出し、布団上で無炎燃焼を続けた火種がやがて布団に着火し、出火したと判断される。

【記載例4:石油ストーブによる出火】

本火災における出火原因については、出火箇所周辺の状況や関係者の申述内容から、主に「たばこ」および「石油ストーブ」の二つの火源が考えられる。以下、石油ストーブによる出火の可能性について詳細に検討する。

まず、**実況見分調査書3(項目⑺)**には、「ベッドは○○側の焼損が著しく、スプリングの変色も明確であり、石油ストーブの前面に位置するベッド側に向かって焼け方が強い」と記載されており、火勢がストーブ方向からベッドに向かって広がったことを示している。

さらに、同調査書⑻では、「当該居室内には芯上下式の反射型石油ストーブがあり、芯は上がったまま焼損している」と記されている。これは、火災発生時にストーブが点火された状態であった可能性を強く示唆するものである。

加えて、同調査書⑼には、石油ストーブが「ベッドから約20cmの位置に、前面をベッドに向けた形で設置されていた」と記録されており、その周囲には「焼損した綿入りの掛け布団やタオルケットが散乱し、ストーブの前面ガードや天板には焦げた布団の繊維のような付着物が認められた」との記述がある。これにより、可燃物が実際にストーブの加熱部に接触していたことが裏付けられる。

また、○○○○の質問調査書3および4には、本人が「出火前にベッドで読書しており、石油ストーブを点けたまま1階へ降り、そのまま戻らなかった」と口述している。さらに、火災に気付いた際には、「2階へ上がり扉を開けた瞬間に煙が吹き出した」としており、出火当時、無人の部屋でストーブが点火状態のままだったことが明らかとなっている。

以上の証拠と状況証拠を総合的に検討すると、点火状態の石油ストーブ前面に掛け布団等の可燃物が接触・過熱されたことにより、着火・出火した可能性が極めて高いと判断される。

【記載例5:電気ストーブによる出火】

出火箇所における調査および関係者の申述内容から、出火原因としては灯明、線香、ミニコンポ、放火、たばこ、電気ストーブのいずれかが想定された。その中で、最も可能性が高いと考えられる電気ストーブについて検討する。

まず、**実況見分調査書3(項目⑺)**において、出火室東側中央に強く焼損した電気ストーブが残存していたことが確認されており、その状態から電装品または伝熱部の過熱による発火が疑われた。

電装品に関する検討として、電源プラグ、石英管ヒーター、内部配線には異常が認められず、転倒オフスイッチも導通試験にて正常な閉状態を保持していたことから、機械的・電気的な故障が直接の発火源である可能性は低いと評価された。

一方、電源線の25cm地点に電気的溶痕が認められたが、その位置が家具等に踏まれた跡や屈曲・損傷もなく、火災による二次的な加熱で絶縁被覆が喪失した後の短絡現象であると判断される。

また、電気ストーブのステンレス製反射板や前面金属ガードには青みを帯びた変色が確認されており、局所的に高温を受けた痕跡がある。これは、燃焼中の可燃物が電気ストーブ前面に接触していた可能性を示唆している。

さらに、実況見分調査書3(項目⑼)には、電気ストーブ前面から約50cm離れたベッド上に掛け布団の炭化物が広がっていたと記録されており、布団の一部がずれ落ち、電気ストーブ前面に接触していたと推測される。

○○○の質問調査書6・8項では、「寒かったため3本のヒーターを点灯させた状態で外出し、ストーブの電源は切らなかった」と申述されており、通電状態で無人の室内にストーブが稼働していた状況が確定されている。

以上のことから、通電状態の電気ストーブに掛け布団が接触し、伝熱による蓄熱発火が生じて出火に至った可能性は極めて高いと判断される。

【出火原因の結論の記載例】

火災原因の究明においては、出火建物・出火箇所の特定に加え、当該箇所に存在していた可能性のある火源すべてについて検討を加え、発火源となり得る事象を科学的・論理的に裏付けた上で、総合的に判断する必要があります。

また、発火源以外の火源についても反証を行い、出火原因の誤認を防ぐとともに、第三者に対して合理性と妥当性をもって説明可能な記述とすることが求められます。

以下に、火災原因が「推定」「判定」「不明」の各ケースにおいて、記載すべき論理構成と記載例を示します。

記載例1【推定】

本件火災について、実況見分調査書及び関係者の申述内容をもとに検討した結果、外部者による放火と、たばこによる微小火源のいずれかが出火原因として考えられる。

特に、たばこ起因の出火については、出火室中央に敷かれていた布団上に約45cm径の半円状の燃え込みが認められ、直下の畳にも30cm幅の焼損痕が確認されており、これは典型的な燻焼痕である。また、居住者○○は外出直前に布団の上で喫煙していたこと、吸殻は灰皿で処理したと述べているが、その処理状況については曖昧である。出火は外出から約70分後に発見されており、たばこの火種が布団に残り、くん焼状態を経て発炎に至った可能性が高い。

一方、外部者の侵入については、玄関が無施錠であったことから否定しきれないが、焼損状況や火災の進行形態は放火特有の急速な燃焼拡大と一致せず、布団や周辺可燃物を順にくん焼した形跡を示している。

以上を総合的に考慮すると、本件火災は、○○○マンション302号室に居住する○○○が外出直前に喫煙した際、布団上にたばこの火種を落としたことに気づかず外出し、火種が布団に着火、無炎燃焼を継続後、新聞紙等の可燃物を媒介として延焼、発炎したものと推定する。

記載例2【判定】

出火箇所に存在した火源について、実況見分状況及び口述内容を総合的に検討した結果、放火・電気機器・たばこ等の他の火源に関しては出火の合理的根拠が認められず、唯一石油ストーブからの出火についてのみ、状況証拠および申述が一致しており、明確な因果関係が認められた。

具体的には、出火室南西角に残存した放射型石油ストーブは、芯が上がった状態で焼損しており、点火中であった可能性が高い。また、同位置の床面には、給油タンク装着時にこぼれた灯油が確認されており、布団の焼損範囲とも一致している。

○○○の口述内容によれば、灯油タンクのキャップが完全に締まっていない状態でストーブに差し込んだところ、タンクが外れて灯油が噴出、ストーブの火に引火したという状況が語られており、これも現場の焼損状況と矛盾しない。

したがって、本件火災の出火原因は、○○○が灯油補給の際にキャップを正しく締めず、点火状態の石油ストーブに装着したため、こぼれた灯油に着火して出火したものと判定する。

記載例3【不明】

本火災における実況見分及び関係者の申述から、テレビの電源コードと放火の2つの火源が出火原因として考えられるが、いずれについても物証や申述が不十分であり、合理的に特定するに足る根拠が認められなかった。

テレビの電源コードには短絡による電気的溶痕が見られるが、焼損の方向性や周囲の焼け広がり方からは、ここを起点とした出火とは断定できない。また、この溶痕が火災熱による二次的なものである可能性も否定できない。

放火については、現場出入口が無施錠であり外部者の侵入も可能であったが、目撃証言や発火に用いたとされる道具等の物証は確認されていない。

以上の検討を踏まえても、発火源の確定には至らず、出火に至る明確な経過を論理的に導くことは困難である。

したがって、本件火災の出火原因は不明とせざるを得ない。

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