トラッキング現象

トラッキング現象とは？その原因とリスク

トラッキング現象とは、電源プラグとコンセントの間に溜まったホコリやチリが湿気を吸収し、電気を通しやすくなる現象です。この状態が進行すると、炭化してショートし、最悪の場合、火災につながるリスクがあります。これは日常生活における見過ごされがちな危険の一つで、特に注意が必要です。

トラッキングによる火災は、コンセントと電源プラグの間にチリやホコリが溜まり、それが湿気を吸収し始めることから始まります。湿ったホコリは徐々に炭化し、電流が流れやすくなると、炭化導電路が形成されます。この導電路が完全に形成されると、電気はショートし、火災に至ることがあります。

家庭やオフィスなどでよく使われるコンセントと電源プラグの間には、意外と隙間があり、ここに埃が溜まりやすいです。特に見落としがちなのが、家具の後ろや難しい位置にあるコンセントです。

埃は湿気を非常によく吸収します。湿度が高い日や梅雨の時期、またはキッチンやバスルームなど水回りの近くでは、この現象がより顕著になります。

埃と湿気が接触すると、微小な電流が流れ始め、これが埃を徐々に炭化させます。炭化すると、その部分の電気抵抗が低下し、さらに多くの電流が流れやすくなります。

炭化が進むと、最終的には完全な導電路が形成され、これがショートサーキットを引き起こします。このショートが火災の直接的な原因となるのです。

トラッキング現象は、次の3つの段階で進行します。

コンセントと電源プラグの間に隙間があります。時間が経つにつれて、この隙間にほこりが溜まります。ほこりは湿気を吸収しやすいため、湿ったほこりが電気の通り道となりやすく、プラグの両極間で微小な火花放電（スパーク）が起こることがあります。この放電がトラッキング現象の最初の兆候です。

火花放電が繰り返されることで、プラグの両極間の絶縁材料（プラスチックやゴムなど）が徐々に炭化します。炭化すると、その部分がグラファイト（黒鉛）のように電気を通しやすくなります。これにより、絶縁状態がさらに悪化し、より多くの電流が流れるようになります。

絶縁状態が悪化し、プラグの両極間で電気が正常に流れると、この部分の抵抗によって発熱します。この発熱が積み重なると、最終的にはプラグやその周囲の材料が発火するリスクがあります。これがトラッキング現象による火災へと繋がる最後の段階です。

トラッキング現象は、家具の裏側や、電子機器が密集している場所、水回りの近くなどでよく発生します。これらの場所は埃が溜まりやすく、湿気も多いためです。

湿度が高くなると、埃が湿気をより多く吸収し、トラッキング現象が発生しやすくなります。特に梅雨時期や冬場の結露が多い時期は、リスクが高まります。

プラグの定期的な掃除方法
コンセントや電源プラグは定期的に掃除することが重要です。特に埃が溜まりやすい場所を中心に、湿気の少ないタイミングで乾いた布や専用のクリーナーを使って拭き取りましょう。

使用していない電源プラグは抜いておくことが望ましいです。また、プラグが過度に発熱しないよう、過剰な電力が流れないように注意することが大切です。

市販されているトラッキング防止カバーや耐トラッキング性のある電源プラグを使用することで、リスクを軽減できます。これらの製品は、特に火災リスクを抑えたい場所におすすめです。

放電検出ユニットや安全タップのような装置を使用することで、異常を早期に察知し、対応することができます。これにより、トラッキング現象によるリスクを大幅に減らすことが可能です。

小さな子供がいる家庭では、コンセントカバーを使用して、誤って指や物を挿入することがないようにすることが重要です。これは、感電や火災のリスクを防ぐための簡単ながら効果的な方法です。

タコ足配線は過剰な電力負荷を引き起こし、火災の原因となることがあります。各コンセントに適切な電力を供給することで、このリスクを避けることができます。