即時消火戦術

消防

近年、ST積載車両(Small Tank Truck)が多くの消防署で主力車両となっています。
ST車は即時消火戦術に適しており、火災の早期制圧が可能となります。

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即時消火戦術とは

即時消火戦術は「即消」と呼ばれており、ST車を使用し、火災現場にできるだけ近づき、積載するタンク水で速やかに消火活動を実施することです。
ST車は狭隘な道路でも走行が可能で、木造建物密集地域等で火災の早期制圧し、延焼の拡大を抑制することができます。

この戦術は、基本的に放水する車両はST車1台のみで、後着の消防車1台が消火栓に水利部署中継送水します。3隊目、4隊目の後着部隊は水利部署することなく、協同活動します。

即時消火戦術のメリット
・出動から放水までの時間が大幅に短縮
・ホースの本数が少なく活動できる
・活動がシンプルになる
・使用消火栓が1基のみで消火栓の共倒れがない

ホース延長要領

【屋内進入時】
消防車→65mmホース1~2本延長→分岐管→40mmホース1~2本延長→放水

※屋内進入時は、取り回しやすい40mmホースを使用
※40mmホースは摩擦損失が大きいため3本以上の延長はNG
※最大2線4口まで放水可能

【延焼防止優先時】
消防車→65mmホース1~2本延長→分岐管→50mmホース1~3本延長→放水

※延焼防止は、放水量が最大にできる50mmホースを使用
※最大2線4口まで放水可能

即時消火の重要性

火災は非常に短い時間に燃え移り広がります。
出火してから天井に燃え移るまで2分30秒前後。5分後には、出火の部屋は火の海となり隣合わせの部屋へ延焼します。
ここまで火災が拡大すると、屋内進入し消火することは困難です。
しかし、通報から消防隊が出火宅に到着するまで平均が6分かかるので、延焼前に消火することは実質不可能です。

即時消火戦術により、ST車が火災現場にできるだけ近づき部署することで、従来の消火栓に部署するより1分~2分放水が早くなります。
ST車は約1000Ⅼの水槽を積んでおり、毎分110Ⅼの放水でも約8分間の放水が可能です。8分放水できれば、一室のみであれば火災の鎮圧は可能です。

渋消式火災防ぎょ戦術

渋川広域消防本部は1市1町1村約11万4 千人、4万6千世帯を守っています。

渋消式火災防ぎょ戦術とは、群馬県の渋川市を主に管轄とする渋川広域消防本部が作り上げ、火災による延焼率を全国平均よりも大幅に引き下げる成果を上げています。

この消火戦術も即消を取り入れており、特に優れているのが放水開始までの「スピード」と消火活動の「合理性」です。戦術の完成度の高さから日本を代表する消火戦術といってもいいでしょう。

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