交通事故や下敷き事故などで車両の下に要救助者がいる場合、エアマット(リフティングバッグ)を使った持ち上げ作業は極めて有効です。この記事では、エアマットの基本的な使用方法から、安全管理、注意点まで詳しく解説します。
1. 作業前の準備と安全確保
✅ 隔離と避難の完了確認
まず初めに、二次災害を防ぐための隔離措置と乗員の避難を確実に実施してください。
✅ ステージングエリアの設定
荷重が移動する可能性のある危険区域外に、安全な待機場所(ステージングエリア)を設定します。
✅ 安定化とチョークの徹底
四輪すべてに輪止め(チョーク)を行い、トラックやバスでは四点支持による確実な安定化が必要です。


2. 使用機材と容量の理解
Holmatro HLBシリーズ
- HLB 8:最大持ち上げ能力 82 kN ≒ 8.4 t
- HLB 21:最大持ち上げ能力 210 kN ≒ 21.4 t
全部で12種類がラインナップされています。
さらに、Holmatroの12 bar新型シリーズ全体では、最大で96トンの持ち上げ能力を備えるモデルも存在します

重ねて使う場合は、小さいバッグの能力に制限されるため注意が必要です。
また、大きいバッグを下、小さいバッグを上に配置します。
具体例:
20トン用のエアバッグと10トン用のエアバッグを重ねて使用する場合、
→ 持ち上げ能力は10トンまでに制限されます。
このとき、下に20トン用、上に10トン用を配置する必要があります。
上下を逆にすると、バランスを崩し、エアバッグの損傷や荷重の転倒リスクが高まります。

3. セットアップ手順と注意点
🔹 基本準備
- 荷重の重量を見積もる
- 持ち上げる距離(高さ)を確認
- エアバッグを接触面に最大限近づける
エアバッグの接触面積が大きいほど、リフト能力は最大化されます。
プロテクションマットでエアマットを保護
エアマットの性能を安全に引き出すためには、プロテクションマットの使用が不可欠です。
使用目的と効果
- 地面の突起や破片からエアマットを保護
- 膨張時の滑りや横ずれを防止
- 摩耗やパンクのリスクを低減
- 安定したリフト作業をサポート
特に荒れた地面や金属面では、必ずベースボードや保護マットを併用することが重要です。安全で確実な作業のため、基本手順として徹底しましょう。

4. エアバッグ膨張・操作手順
- 圧力調整器をBAシリンダーに接続
- デュアルコントローラーにホースを接続(赤・黄)
- エアバッグに安全遮断ホースを接続
- バッグは荷重の中央に設置し、75%以上が荷重の下に入るように配置
膨張操作の流れ
- 1枚使用時:デュアルコントローラーの片側バルブをゆっくり開き、空気を送り始めます。バッグが安定して膨張するよう、ゆっくりと操作するのがポイントです。
- 2枚重ね使用時:
① まず下側(赤ホース)を先に膨張させる
② 次に上側(黄ホース)をゆっくり膨張させる
※急激な操作はバッグがズレたり、荷重が傾いたりする原因になるため、常に慎重に・段階的に膨張させてください。
🛑 安全対策のポイント
- 膨張中はバッグの接触面積が減少し、持ち上げ能力が低下する点に注意
- 必要な持ち上げ距離だけ膨張させ、無駄に膨らませない
- 荷重が移動しないか常に監視しながら操作
- 万一過荷重がかかった場合は、安全弁が作動し空気が自動排出される

⚠ その他注意点
- バッグ同士の間に何も挟まない
- 3枚以上の重ね使用は禁止
- サスペンションの変化がリフト限界に影響する可能性あり
5. 作業中の監視と安定化
持ち上げ作業中は、常に車両の安定化状態を監視し、必要に応じてジャッキやクリビングで支えを調整します。
荷重がリフト能力を超えた場合、安全弁が作動し自動的に空気が排出され、リフトは停止状態になります。

6. 荷重を下げるときの手順
- 上側のバッグから空気を抜く
- 次に下側のバッグを抜く
- 同時にクリビングを調整し、荷重との隙間を常に最小限に保つ
まとめ|安全かつ迅速な救助のために
エアマットは非常に強力なツールですが、その能力を最大限に引き出すには、安全管理・物理的理解・正確な操作手順が不可欠です。
必ず複数人でのチェックを行いながら、正確で慎重な作業を心がけましょう。










コメント