メーデーコール

セーフティ&サバイバル

メーデーコールの訓練したことはありますか? 自分がそのような状況に陥る可能性はないと思っていませんか?
現場活動中の緊急事態は誰にでも起こり得ます。

メーデーとは

メーデー(Mayday)とは、無線電話で遭難信号を発信する時に国際的に使われる緊急用語です。フランス語の「ヴネ・メデ(venez m’aider)」、「助けに来て」に由来します。
これは人命が危険にさらされているような緊急事態を知らせるのに使われ、警察、航空機の操縦士、消防士、各種交通機関などが使います。「メーデー呼び出し」は、雑音が強い状況で似たような言葉と取り違えられることを防ぐため、常に3回繰り返す(メーデー、メーデー、メーデー)ことになっています。

米国におけるメーデーの定義
「消防士が危険区域から安全に退出すことができない状況、または30秒以内に解決できない出来事」

上記の条件が存在する場合、現場活動中のメンバーは誰でもメーデーコールをする権限を与えられます。
何らかの事故が発生したとき、または隊員がトラブルに見舞われたときにメーデーコールを行いますが、メーデーの状況を早期に特定することが重要で、メーデー事態の宣言に時間がかかるほど解決が成功する可能性が低くなります。

火災による消防士の死亡者は毎年発生しており、火災現場での負傷者と死亡者の傾向を見ると、消防士が負傷したり建物内に閉じ込められたりする原因として、建物の構造部の破損や落下が原因であることが多く、家の広い間取りやオープンスペースは、見当識障害を引き起こす可能性があります。火災環境はより不安定になり、人間が耐えられない温度の空間にいることがあります。こうした状況はすべて、メーデーコールにつながる可能性があります。
このような緊急事態が起こると、消防士として未知の世界に入ります。
ストレスレベルは増加し、場合によっては合理的な思考ができなくなり、思考の混乱により視覚や聴覚は低下してしまいます。このような緊急時、自分の中に「組み込まれた」スキル、つまりトレーニングに回帰することになります。

トレーニングの重要性

メーデーコールの訓練は難しくありませんが、効果を発揮するには正しい訓練を行わなければなりません。
ストレスが多く、時間が圧迫された環境で問題に直面したとき、私たちの脳は日常の思考とは異なる働きをします。通常の意思決定では、複数の選択肢を作り、長所と短所を比較検討し、最良の選択肢を決定します。しかし、メーデーの状況では、私たちの脳は認識主導の意思決定に移行します。

1993 年に軍人を研究しているゲイリー・クライン博士によって初めて説明された RPDM認識主導の状況では、意識の外で脳が現在の状況を過去の経験と一致させようとします。自分の脳は基本的に過去の経験の短いシミュレーションを実行し、どれかが当てはまると思われる場合は、その行動をとるように促されます。

消防士はより現実的な状況で可能な限り多くの状況を練習することが必要となります。
最も単純なレベルは、消防学校で、呼吸器のそくし弁を開放し、レギュレーターを面体に取り付ける訓練を頻繁に行い、呼吸器の使用において、これらの手順を忘れた場合に何が起こるかを脳が認識できるようにします。再び同じことが起こった場合、何も考えずに、何が問題なのか(そくし弁が開になっているか)、それを修正する方法がすぐにわかります。それは自分の記憶に刻み込まれ、練習すれば自動的にできるようになります。
災害現場や緊急時は、自分の経験や体験が実際の状況と一致している必要があります。自分の脳は、自分の状況と経験や考えが異なると判断すると、思考を停止させます。

まず、消防士がいつメーデーを要請するかを判断することから始めます。このような状況にある消防士が、メーデーを呼ぶべきかどうかについて冷静かつ合理的な判断を下すことはできません。したがって、それらの状況を事前に決定し、自動化する必要があります。
さらに言うと、人は助けが必要であることを常に認識することができるわけではありません。そのため、あらかじめ決められた状況のリストを用意しておくと、意思決定が簡素化され、邪魔になるエゴの一部が取り除かれます。

訓練で使用するメーデーの状況のリストは次のとおりです。

  • 道に迷ったり方向感覚を失ったりしてすぐに修復できない場合。
  • 一定の距離で転倒した場合。
  • 低空警報が鳴り、まだ IDLH 環境にいる場合。
  • 立ち往生したり閉じ込められたりして、すぐに解放できない場合。

覚えておいてほしいのが、 火の中で立ち往生したり、転倒したり、方向感覚を失ったりしたとき、私たちは通常、自分がどの程度立ち往生しているか、道に迷っているか、または落下した距離に気づいていません。したがって、これらの詳細を分析するのに時間を費やすよりも、メーデーコールして助けを求めてください。これにより、多くの選択肢が増えることになり助かる確率が格段に上がります。

メーデートレーニング

消防士が火災現場でトラブルに巻き込まれた場合にメーデーコールをかける能力を向上させるために使用できる簡単なトレーニングの内容を記載します。

ステップ 1訓練準備
消防士がPPEとSCBA(呼吸器) を着用し、携帯無線を備えていることを確認します。

ステップ 2:トレーニング内容と数値を選択し決定する
緊張をわずかに高めて、思考能力を低下させるストレスの多い状況で活動させます。

しかし一定以上の、隊員を怖がらせるための過剰なトレーニングは支持しません。暴力的な訓練シナリオによりPTSDを患った消防士の報告もある。これは容認できないことであり、プロフェッショナルではありません。人にストレスを与えるのには視覚の一部を隠し、消防士の体温が熱くなるまで活動をさせることで十分です。

メンバーに無線電話をかけ、SCBA PASS アラームを鳴らして状況を固めてもらいます。事前にこの訓練に使用するチャネルを決めておきます。他の所々や近隣機関と必ず調整してください。

ステップ3:メーデーを宣言する
消防士は無線を使用してメーデーを宣言します。「メーデー」という言葉は3回繰り返されることになっています。消防士は、指揮隊がメーデーを確認するのを待ちます。

現場では、全隊員から指揮隊に無線のおしゃべりが届き、通信が圧倒される可能性があります。イライラしたり、焦りが増すのは、メッセージを伝えようとして、他の無線送信によってブロックまたは遮断されたり、まったく聞こえなかったりすることです。火災現場にはたくさんのノイズがあり、無線メッセージをかき消すことが多くあります。

メーデーを宣言するときは、メッセージを言う前にまず指揮隊の注意を引くようにしてください。指揮隊がメーデーを聞いていなかった場合、彼らはあなたのメッセージを聞きません。指揮隊がメーデーコールを確認すると、メッセージを受け取ることに全力になってください。

ステップ 4:メッセージの送信
ここでも、応答を標準化することが重要です。
単純な「誰が、何を、どこで」モデルを使用します。

誰 – 自隊名・名前
何 – 何が起こったのか?
どこ – ここはどこか?あるいは、どこにいると思うか?
空気 – 空気はどのくらいあるか?

LUNAR (ルナー)は米国の標準的なメーデーのコールモデルです。
L = location(場所): 構造内のどこにいるか? どのような方法で入ったか?左または右の検索を開始したか? 階段を上ったか、下りたか?
U = unit(ユニット):どこの署または所属か?
N = name(名前):あなたの名前
A = air(空気供給量):空気供給量がどれだけ残っているか?
R = resource(リソース):あなたを救うにはどのような隊や物資が必要か?

トレーニング中にどのモデルを採用する場合でも、標準化されたアプローチを使用すると、メンバーの経験がこれらの言葉にデフォルトで反映されるようになり、どの情報を伝えるべきかを思い出すために難しく考える必要がなくなります。独自のリストを作成することもできます。どれか 1 つを選択し、それに固執し、それに向けてトレーニングするだけです。

ステップ5:レスキューコール
他の人が消防士を見つけられるように、消防士にレスキューコールを鳴らす練習をさせます。また、さらに無線通話が必要な場合には、消防士にレスキューコールをオフにする練習をしてもらいます。こうした運動能力でさえ、ストレスがかかると思い出すのが難しくなることがあります。

指導方法
訓練中の状況すべてにおいて、生徒を観察すること。ストレスを軽減し、間違った動きをする前に指導したい。訓練時に手袋を外したり、SCBAのマスクをはがしたりすることは、実際の災害現場での緊急時に再浮上する可能性のある誤った行動を生み出す。そんなことにならないように。ゆっくりと始め、誰かが苦戦しているときにはシナリオを中断し、落ち着いてから段階的に何をすべきかを教えます。そして、その後の展開で、スピードと強度を上げていけばいい。
ストレスの多い模擬的な緊急事態の中で怒鳴られても、誰も何も学べないし、後で致命的なことになりかねない悪い習慣を植え付けることにもなりかねない。手袋もエアマスクもつけずに倒れ死亡している消防士が何人も発見されている。呼吸をしようとする衝動は力強いものだが、管理不行き届きの訓練シナリオのせいで、誰かがこのような行動をとる素地を作ってしまうのは避けたい。

最後に

消防士に忠実なメーデー訓練を提供することは難しいことではありません。パラメーターを決め、手順を練習し、現実的であることを確認する。そうすることで、本当に生死を分けるような事態が発生したときに、消防隊員を成功に導くことができるのです。

出典について
・マンダン市 (ND) 消防署の消防士アンドリュー・ベック著 消防士の基本:メーデーを呼び出す
・全米防火協会規格

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