消防士のがんリスクが高い理由と今すぐ実践すべき対策

健康

消防士のがんリスクが高いという衝撃の事実

近年、多くの研究により、消防士は一般の人々に比べてがんの発症率・死亡率が高いことが明らかになっています。米国では、がんによる死亡が消防士の死因第1位であり、日本国内でもその傾向が指摘されつつあります。

しかし「なぜ消防士ががんになりやすいのか?」という生物学的メカニズムは、いまだ十分に理解されていない部分もあります。

その鍵を握るのが、「職業的曝露(ばくろ)」という要素です。


職業的曝露がもたらすがんリスクとは?

がん研究の世界的権威である国際がん研究機関(IARC)は、2022年に「消防士という職業自体を発がん性がある」と公式に分類しました。これはベンゼンやアスベストなどの化学物質と同じレベルの危険性を示しています。

消防活動が該当する「発がん物質の特性」

IARCが定める発がん性の「主要な10特性」のうち、消防活動は5つに該当するとされ、これは非常に高リスクな状態を意味します。


火災現場での主な発がん物質とそのリスク

火災によって発生する煙やガスには、次のような発がん性物質が多数含まれています。

発がん物質主な発生源健康リスク
ベンゼンプラスチック・ゴム白血病など
ホルムアルデヒド接着剤・建材呼吸器がん
1,3-ブタジエン合成ゴム・プラスチック白血病・リンパ腫
PAHs(多環芳香族炭化水素)木材・紙の不完全燃焼皮膚がん・肺がん
ダイオキシンPVC等の塩素系プラ強力な発がん性
アスベスト古い建材・断熱材中皮腫・肺がん
重金属類(カドミウム・六価クロム・ニッケル)電池・金属加工品など肺がん・腎障害
ディーゼル排気粒子消防車・発電機IARCでグループ1(人に対して発がん性あり)

特にプラスチックや電気製品の燃焼は、現代火災に特有の危険状況です。


なぜ消防士にがんが多いのか?【複合リスクの影響】

① 構造・車両・山林火災での化学物質曝露

現代の火災は建材や家具、電子機器などの燃焼によって、有毒な化学物質が大量に発生します。とくに近年の山火事(ワイルドファイア)では長時間かつ広範囲にわたる煙への曝露が避けられず、皮膚や呼吸器からの吸収リスクが高まります。

② ディーゼル排気と署内曝露

出動のたびに使用する消防車のディーゼル排気は、たとえ「クリーンディーゼル」であっても、発がん性物質を含みます。署内でのアイドリングや排気管理の不備も見逃せないリスクです。

③ 睡眠不足とホルモンバランスの崩壊

交代勤務によって夜間出動が重なると、慢性的な睡眠不足となり、免疫系や内分泌系が乱れます。これががんを誘発する重要因子となる可能性が報告されています。

④ 食生活・運動不足によるリスク増加

現場では食事や運動の管理が難しくなりがちですが、高脂肪・高カロリーな食事、運動不足もがんリスクを高める要因です。


消防士が今すぐできる【がん予防対策7選】

1. 出動後1時間以内のシャワー

発がん物質は皮膚からも吸収されます。出動後すぐのシャワーが最も効果的で、できれば1時間以内に済ませましょう。

※皮膚からの吸収は5~6時間で50~60%に達するという研究も。

2. 装備を常に清潔に保つ

かつては「汚れた装備=勲章」でしたが、現在では清潔な装備が命を守る常識です。

3. ディーゼル排気対策の徹底

署内の排気システム整備や、車両のアイドリング管理は必須です。

4. 睡眠環境の改善とシフト管理

仮眠室の静音性向上や光の管理出動記録による疲労の可視化など、環境改善も大切です。

5. 健康的な食生活の意識

「現場でできない」ではなく、オフの時間にできることを最大限に。高タンパク・低脂肪の食事を心がけましょう。

6. 筋トレと有酸素運動の習慣化

特に大腿筋・臀部筋など大きな筋肉の運動は、ホルモンバランスやメンタルにも良い影響があります。


まとめ|がんリスクと向き合う「戦う準備」

がんは、目に見えない「敵」です。炎とは違って、音も煙も出さず、静かに私たちの体に忍び寄ります。

しかし、知識と行動があれば、がんのリスクを減らすことができます。

これから消防士を志す若者、すでに現場で戦っている仲間たち、そしてその家族のために。あなたの命を守る「戦う準備」を、今から始めましょう。

出典

国際がん研究機関(IARC)は2022年、**「消防士としての職業的曝露(occupational exposure as a firefighter)」を人に対して発がん性がある(Group 1)**と再分類しました。これは、ベンゼンやアスベストと同じく極めて高い発がんリスクを持つ分類です。

※本記事は、ロサンゼルス郡消防局のエンジニアであり、UCLA助教授として消防士のがんリスク研究に従事するDerek Urwin(デレク・ウィン)氏の講演・インタビュー内容を参考にしています。

参考文献:
「Cancer and Firefighters: Why It Happens to Us – Derek Urwin」
出典:UCLA Chemistry & Biochemistry / Firefighter Cancer Support Network

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