ガス火災・漏洩事故

消防

プロパンガスや都市ガス、日本にはいたるところにガス設備やガス配管が張り巡らされています。
ガスの漏洩事故や火災が発生した際の活動内容を記載します。

LPガス

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LPガスとは、「Liquefied Petroleum Gas」つまり液化石油ガスの略称で、一般的に頭文字をとってLPガスと呼ばれています。
LPガスは、炭素と水素の化合物で、プロパンとブタンと2種類がありますが、一般家庭用で使われているのはプロパンでプロパンガスとも呼ばれています

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プロパンの比重は1.55であり空気より重いため下に滞留します。

活動内容

ガス漏れ事故の現場付近に到着後、風位、風速を確認し、ガス検知器を使用しガス漏れ場所を推測する。

消防車の部署は、風上に部署し、二次災害に備えてホース延長を行い、放水態形をとっておく。
※防火衣は確実に着装し、できれば着衣を濡らして静電気の発生を防止する。
※ライトの使用は厳禁。防爆機能付きライトの使用

・LPガスの関係会社に連絡する。
※通常ボンベ本体かマイコンメーターに供給会社名と緊急連絡先が記載されている

・火災警戒区域及び消防警戒区域の設定
警戒区域の設定範囲は、原則としてガス検知器に検知された場所までを警戒区域とする

・広報及び避難誘導
広報は、警戒区域の設定範囲、火気の使用禁止、退去の指示を行う。
避難誘導は、緊急性のあるものに対しては消防隊が先導し、その他のものに対しては警察官に依頼する。

ガスの遮断

ガスの遮断は、原則としてガス事業者が行うがガス事業者が現場到着前に緊急性がある場合は、消防隊によりガスの供給遮断する。

ガスボンベのバルブを直接時計回りに閉める

ガスボンベのバルブ に対する画像結果

配管の破損している場合、ガス漏れテープを使う。

前述のように、ガスの滞留が視認できたり、大量漏洩の場合は、無理にガスの遮断を行わない。

ガスの拡散

屋内でガス漏洩している場合は、窓や出入口及び扉等の開口部を開放し、噴霧注水によりガスの拡散排出を行う。

屋外 でガス漏洩している場合、下水道及び掘抗等の地下施設物にガスが滞留している可能性があり、可能な範囲でマンホールの蓋、覆工板等を取除き拡散を行う。
ガスが低所に滞留しているときは、噴霧注水によりガスの拡散を行う。

ガスの炎上

噴出ガスが着火炎上している場合は、筒先部署の選定位置はできるだけ遠くに設定し、爆発による被害を防止できるコンクリート壁等を盾とし、ガスの滞留するおそれがある場所を避けて活動する。
噴出箇所に近づく際は噴霧放水で行い、炎とガスから隊員を守る。
漏洩中のガスが着火炎上している場合、消火するとガスの噴出により二次災害の発生危険があるので、基本は延焼防止を目的とし、炎上ガスは緊急遮断による自然鎮火を待つのがよい。

ボンベ安全弁

ボンベの温度が上がりすぎるとボンベの安全弁が作動し中のガスがすべて放出されてしまいます。火災時の安全弁の作動は、急激な火炎が放出されるため注意が必要です。

ガスボンベ消火映像

爆発の危険性

ガスボンベは引火すると爆発することがあります。その際は、燃焼の速度が急激で速く、大音量の爆発音がして、周囲に火が拡散し飛び散ります。



都市ガス

都市ガスは、メタンを主成分とする液化天然ガスであり、地下埋設の集合配管を通して各戸へガスを供給されています。
比重が0.6であり空気より軽いため上部に滞留しやすい。

ガス漏洩時の活動内容に大きな違いはありませんが、各家庭への供給が都市ガスは集合配管で、LPガスがボンベでの供給です。そして都市ガスはガス供給会社が地域によって決まっています。

一般ガス導管事業者一覧

出典:資源エネルギー庁

ガス濃度の測定単位に関する知識

ppm(ピーピーエム)
1vol% = 10,000ppm perts per millionの略で、100万分の1という意味です。体積比を表しています。 比較的低い濃度を計測する際に使用されることが多い単位です。

vol%(ボリュームパーセント)
ガス濃度(体積比)そのものです。比較的濃度が高い場合に使用されることが多い単位です。

%LEL(パーセントエルイーエル)
可燃性ガスの爆発下限界濃度を「%LEL」で表します。 可燃性ガス等を計測する際に使用される単位です。

%UEL(パーセントユーイーエル)
空気中で燃焼するガスまたは蒸気の最大濃度は、上部爆発限界(UEL)といいます。

主要可燃性ガスの爆発下限界一覧表

ガス及び蒸気名分子式(化学式)燃焼(爆発)下限界[vol%]
水素H24.0
メタンCH45.0
プロパンC3H82.1
エチレンC2H42.7
プロピレンC3H62.0
アセチレンC2H22.5
トルエンC6H5CH31.2
O‐キシレンC6H4(CH3)21.0
メタノールCH3OH6.0
エタノールC2H5OH3.3
アセトン(CH3)2CO2.1
メチルエチルケトンCH3COC2H51.8
酢酸エチルCH3COOC2H52.0
酢酸ブチルCH3COO(CH3)2CH31.7
ガソリン1.0
n‐ヘキサンCH3(CH2)4CH31.1
ブタジエンCH2=CHCH=CH22.0
アセトアルデヒドCH3CHO4.0
塩化ビニルCH2=CHCl3.6
一酸化炭素CO12.5
アンモニアNH315.0
硫化水素H2S4.0
ベンゼンC6H61.3
アクリロニトリルCH2=CHCN3.0
酸化エチレンCH2CH2O3.6
シアン化水素HCN5.6

各気体の中毒症状

ボンベの色

気体用のボンベは、高圧ガス保安協会により、内容物によって本体の塗装色が定められています。

ちなみに、消防士が使用する空気ボンベはネズミ色です

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