ファイヤーコントロールボックス

サイズアップ

消防活動を行う上で重要なことが、火を消す技術や火災性状を理解することです。
近年の住宅は従来の建物と違い高気密、高断熱化が主流となっており煙や熱の恐ろしさを知ることやフローパスの学習も重要となっています。
しかし、実際の火災は毎日遭遇することはなく、実現場のみで火災を理解するのは困難です。

そこで考えられたのが、実際に家屋のミニチュア模型を作成いた、「ドールハウス」です。この訓練では有効な放水戦術や屋内進入時の危険性などを再認識でき消防活動能力の向上に繋げることができます。

米国では「ドールハウス」と呼びますが、国によっては「ファイヤーコントロールボックス」とも言います。この教育訓練はアメリカ・スタンフォード消防局に勤務するマット・パルマー氏が考案したもので、現在では全米の各消防本部・署所、消防学校の初任教育などで活用されています。

1区画ファイヤーコントロールボックス

1区画の単純な構造で、正面の窓で起こる吸排気を容易に確認することができ、後方の開口部を開けることで、フローパスを作ることができます。
フラッシュオーバーやバックドラフトの確認などができる基本的なボックスです。

この模型家屋は、合板(コンパネ)とビスのみで作成することができ、少額の器材で訓練を行えます。

ドールハウス作成方法

用意するもの
・合板
・インパクトドライバー
・丸のこ
・ビス

ステップ1
厚さ12mmの1800mm×900mmの合板を用意する。

ステップ2
中央を丸のこで切断し、1800mm×450mmの板を2つ(AとB)作る。

ステップ3
Aの板で、500mm×450mmを2つ(①と②)450mm×450mm1つ(③)を作成する。

ステップ4
①と②を丸のこで4mm切断し、500mm×446mmにする。

ステップ5
Bの板で、500mm×450mmを2つ(④と⑤)450mm×450mm1つ(⑥)を作成する。

ステップ6
⑥の板に、200mm×200mmの開口部を作る。※開口部の大きさは好みでOK
残った板で蓋と燃料を作成する。※蓋は開口部より大きくすること。取っ手を付けると開閉しやすい

下図の番号の位置で板をビスで、組み立てる。※背面に開口部を作成すると、フローパスを確認することができる。
①左面 ②右面 ③背面 ④下面 ⑤上面 ⑥前面

使用資機材

・木製ドールハウス(模擬家屋)

・消火水

・トング

・燃料(新聞、段ボール、木切れ)

・蓄圧式噴霧器

・ガスバーナー

・小型ファン

・熱画像直視装置

トレーニングの実施内容

・火災の発生と火災の成長過程を観察

・開口部を閉鎖し窒息消火の有用性を確認

・ガスクーリングの有用性の確認

・ロールオーバー及びフラッシュオーバーの発生

・中性帯の形成

・開口部が開放されたときの煙の動向

・一方からの消火活動が他方へ及ぼす影響

・バックドラフトの発生

一斗缶ファイヤーコントロールボックス

一般的に使用されている、木製のコントロールボックスは一度しか使えなく、作成にも時間を費やします。しかし、一斗缶で作成されたコントロールボックスであれば、複数回使用することができ、費用も少なく済みます。

火災性状確認ボックス

①窓160mm×100mm
②開口部250mm×160mm
③竪穴50mm×60mm

ドアコントロール確認ボックス

④出入口100mm×180mm
⑤竪穴50mm×60mm
⑥窓160mm×100mm

複数室用ボックス

⑦出入口100mm×180mm
⑧室内開口部100mm×180mm

パターンA 立体使用(火災性状確認ボックス+ドアコントロール確認ボックス)

パターンB 複数室使用(火災性状確認ボックス+複数室用ボックス)

※一斗缶ファイヤーコントロールボックスの壁面にはべニア板をビスで張り付けておく

引用元:一斗缶を活用した火災性状把握実験器具の開発(一斗缶ファイヤーコントロールボックス)那覇市消防本部 中井健太朗

4区画火災

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