ヒューストン消防署では、強制進入(ドアエントリー)に際して体系的なアプローチを用いています。以下に、主な技術と手順を紹介します。
基本的なアプローチ
すべての強制進入において、「ギャップ」「セット」「フォース」の3段階のアプローチを使用します。まず、ドアの種類、占有形態、鍵やラッチの有無、ドアフレームの構造を確認します。そして、強制進入が本当に必要かどうかを確認し、まずドアを試してみます。
一人消防士の内開きドアの技術
1.ドアをショックする
- ドアを軽く叩いてショックを与えます。これにより、見えない鍵やラッチを特定できます。また、ドアとフレームの間に初期のギャップ(隙間)を作成することができます。
2.ハリガンツールのアッズを配置する
- ハリガンツールのアッズ(フラット)をドアとフレームの間に差し込みます。アッズはハリガンツールの平らな部分で、ドアをこじ開けるのに使います。
- アッズをドアとフレームの間に差し込んだら、ツールをパイク(尖った部分)から離れる方向に回します。この動きにより、ハリガンツールの機械的な優位性が最大になります。
3.フラットヘッドアックスの刃を置く
- アッズで作成したギャップにフラットヘッドアックスの刃を置きます。このとき、アックスの底を足でしっかりと固定します。
4.フォークのセットポイントを確認する
- フォークのセットポイントは、フォークのクロッツ(曲がった部分)がドアストップの後ろに並ぶ場所です。セットポイントに達したら、バーをドアに向かって押して強制的に開けます。
5.ツールを再配置する
- 動きの範囲が制限されている場合や、フォークが十分な力を提供できない場合、ツールを再配置します。ハリガンツールのアッズを再度ドアとフレームの間に差し込み、レバレッジを使って仕上げます。
一人消防士の外開きドアの技術
1.アックスの刃を配置する
- 消防士はアックスの刃をドアとフレームの間のギャップに置きます。このとき、アックスハンドルを地面に固定し、足でしっかりと支えます。
2.ハリガンツールを使ってアックスを叩く
- ハリガンツールのエッジを使ってアックスを叩きます。これにより、ギャップが広がります。
3.ハリガンツールのエッジを配置する
- ハリガンツールのエッジを作成されたギャップに配置し、アッズの先端がドアストップに達するようにします。
4.回転力を加える
- ハリガンツールに回転力を加え、ドアを押しつぶしてギャップのサイズを拡大します。アッズを再配置して、作成されたスペースにさらに進み、アッズがドアの後ろに入る位置に達します。
5.力を加える
- ツールがセットポイントに達したら、ハリガンツールをドアから引き離して力を加えます。
二人消防士の技術
1.二人消防士の役割
- 一人の消防士の技術で進入できない場合、二人消防士の技術を使用します。二人の消防士のチームには、ハリガンツールを持つリード消防士と、打撃ツールを持つ消防士が含まれます。
2.リード消防士の指示
- リード消防士がハリガンツールを誘導し、コマンドを出します。「ヒット」「ドライブ」「ストップ」「ウェッジ」といったコマンドを効果的に伝達する必要があります。
3.コマンドの実行
- 「ヒット」のコマンドでは一回の打撃が行われ、「ドライブ」のコマンドでは連続的な打撃が行われ、「ストップ」のコマンドが出されるまで続けます。「ウェッジ」のコマンドは、進捗を確保するためにツールをギャップに置くことを指します。
二人消防士の外開きドアの技術
1.アッズの配置
- リード消防士はハリガンツールのアッズをフレームとドアの間に置きます。アッズがドアストップに達するまで「ヒット」を繰り返し叫びます。
2.回転力の加え方
- ハリガンツールに回転力を加えてドアを押しつぶし、ギャップのサイズを拡大します。アッズを再配置して、作成されたスペースにさらに進み、アッズがドアの後ろに入る位置に達します。
3.力を加える
- ツールがセットポイントに達したら、ハリガンツールをドアから引き離して力を加えます。
二人消防士の内開きドアの技術
1.ドアをショックする
- ドアをショックした後、リード消防士はハリガンツールのフォークをドアとフレームの間に配置します。このとき、ベベル(斜面)がフレームに向かうようにします。これは一人消防士の技術とは逆です。
2.ギャップの作成
- フォークの自然な曲線を利用して、ドアとフレームの間の狭いスペースに誘導します。
3.コマンドの実行
- リード消防士は「ヒット」を繰り返し叫びながら、フレームに向かってレバレッジを常にかけます。フォークの先端がドアの裏側に達したら「ドライブ」と叫び続け、フォークのクロッツがドアストップの後ろに達するまで進めます。その後、「ストップ」と叫びます。
4.ギャップの確保
- リード消防士はハリガンツールをドアに向かって押し、「ウェッジ」と指示して第二消防士がギャップを確保します。
5.ツールの反転
- ツールのベベルがドアフレームに向かっているため、ツールを反転させて動きの範囲を広げます。動きの範囲が制限されている場合やフォークが十分な力を提供できない場合、ツールを再配置して仕上げます。
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