胸部への外傷によって「呼吸が苦しい」「胸が痛い」といった症状が現れた場合、**開放性気胸(open pneumothorax)**の可能性があります。この記事では、原因から応急処置までを専門的かつわかりやすく解説します。
開放性気胸の原因
開放性気胸は、**刃物や銃弾などによる胸部の穿通創(せんつうそう)**が原因で発生します。
このような外傷により胸壁に穴が開くと、呼吸時の陰圧によって外気が胸腔内に吸い込まれ、**肺が虚脱(縮む)**してしまいます。
胸腔内に空気が入り込むと、肺が十分に膨らまず、酸素の取り込みが低下します。これにより、呼吸困難・息切れ・胸の痛みが生じます。
サッキングチェストウンドと緊張性気胸への進展
開放性気胸の中でも特に危険なのが、**サッキングチェストウンド(sucking chest wound)**と呼ばれる状態です。
これは、外気が胸腔に入り込むものの、**一方向弁(チェックバルブ)**のように外へ抜けにくくなる状態を指します。
このとき、胸腔内の圧力がどんどん上昇し、肺が完全に潰れていきます。
最終的には緊張性気胸(tension pneumothorax)へ進展し、心臓や大血管が圧迫されてショック状態や心拍低下を引き起こします。
早期の発見と適切な処置が極めて重要です。

主な症状と特徴
開放性気胸の代表的な症状は以下の通りです。
- 胸の鋭い痛み
- 息切れ・呼吸困難
- 胸の圧迫感・胸内苦悶
- 皮下気腫(皮膚の下に空気が入り「パリパリ」とした感触)
また、呼吸に合わせて**「しゅっしゅっ」や「ぶーぶー」**といった音が胸壁創から聞こえることがあります。
これは、空気が出入りしている音であり、開放性気胸の典型的な兆候です。
応急処置:3辺テーピング法
現場で可能な応急処置として、**3辺テーピング法(three-side dressing)**があります。
これは、胸の開放創を3辺のみ固定し、1辺を開けておく処置法です。
手順
- 清潔なビニールシートやラップを創口に当てる
- 上・両側の3辺をテープで密着固定する
- 下側(または一辺)を開放して、呼気時に空気が逃げられるようにする
これにより、吸気時の空気流入を防ぎ、呼気時の空気排出を確保できます。
誤って全周を密閉してしまうと、胸腔内圧が上昇し緊張性気胸を誘発する危険があるため注意が必要です。

まとめ:迅速な判断と処置が命を救う
開放性気胸は、一見小さな外傷に見えても、命に関わる重篤な状態に発展することがあります。
現場では、「呼吸音」「胸の動き」「創からの空気音」などを確認し、早急に3辺テーピングを実施することが重要です。
その後、速やかに医療機関へ搬送し、専門的治療(ドレナージなど)を受ける必要があります。










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