パルスオキシメーターとSpO₂

救急

パルスオキシメーターとは

パルスオキシメーターとは、指先などに光を当て、機能的酸素飽和度(SpO2)を誰でも簡単に測定することができる医療機器です。わかりやすく言うと、「肺から酸素をどれくらい取り込めているか」を数値化したものです。ヘモグロビンは酸素と結合すると赤くなるという性質を利用し、血液の赤色度合いからSpO2を測定しています。また、パルスオキシメータでは、脈拍数も同時に測定しています。
SpO2の変化がわずかであっても脈拍数が少ない場合は、その他の要因で脈拍数が少なくなっていることがあります。

血中酸素飽和度は「第5のバイタルサイン」と呼ばれ、体温、血圧、脈拍、呼吸数の4つの測定値と一緒に収集され、人の健康状態に関する洞察を得ることができます。

酸素飽和度は、実際に運ぶことができる最大値と比較して、血液が現在運んでいる酸素の量のパーセンテージです。

パルスオキシメータは、指、耳たぶ、またはつま先にクリップする小さなデバイスであり、小さな赤外線で痛みのない測定を行います。酸素を必要としているかどうかを医療提供者に伝えることができます。体内システムに十分な酸素が入らない(低酸素症と呼ばれる状態)と、心臓、脳、その他の臓器に損傷を与える可能性があります。

パルスオキシメーターの正確性

酸素濃度計はかなり正確であると考えられている、とテネシー州ナッシュビルのヴァンダービルト大学医学部の感染症教授であるウィリアム・シャフナー医学博士は言います。

ほとんどのデバイスは、2%の精度以内の読み取り値を表示します。たとえば、酸素飽和度が92%の場合、90〜94%の範囲にある可能性があります。

アメリカ胸部学会によると、いくつかのことが測定の正確さに影響を与える可能性があります。

  • 冷たい手または血行不良
  • マニキュアまたは人工爪
  • 非常に暗い肌
  • 喫煙
  • 酸素飽和度が80%未満
画像引用:看護ルー
画像引用:循環器内科医の本棚

パルスオキシメーターが必要な患者

ジョンズホプキンス医学によると、この機械はさまざまな状況に必要です。

  • 手術中または鎮静中または手術後
  • 肺の薬が効いているかどうかを確認するとき
  • 個人が身体活動の増加に対処できるかどうかを判断するとき
  • 人工呼吸器が必要かどうかを確認するとき
  • 睡眠時無呼吸の人を評価するとき

また、次のことを経験した人にも必要です。

  • 心臓発作
  • 心不全
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 貧血
  • 肺癌
  • 喘息
  • 肺炎

SpO2(酸素飽和度)とは

肺から取り込まれた酸素は、肺に流れ込んでいる血液(赤血球)の中のヘモグロビンと結合して心臓に戻り、全身に運ばれます。
SpO2とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかという割合を、皮膚を通して測定した値のことをいいます。

飽和を意味する英語saturationからサチュレーション、SAT(サット)と呼ばれたりすることもある。

日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメータ」より引用

SpO2でわかること

SpO2の測定によって、体内へ十分な酸素が供給されているかどうかがわかります。
健康な人のSpO2の標準値は96~99%です。通常、この標準値内であれば、十分体内に酸素が供給されている状態といえます。しかし、呼吸器疾患や心疾患などによって呼吸機能や心機能が低下し、正常に酸素を供給できなくなるとSpO2は低下します。
例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息では、風邪や気管支炎などにより気道感染を起こし、症状が悪化すると酸素の取り込みが不十分になります。この場合、命に関わることがありますので、SpO2が普段の値から3~4%低下したときには、早めの処置が必要です。また、90%を下回った場合は、呼吸不全の状態になっている可能性があります。この場合、心臓や脳など重要な臓器への酸素供給が不十分となり、障害を起こすことがあります。
ただし、普段のSpO2の値は測定の状態によっても様々ですので、症状が安定した状態で安静にしている時の値や、体を動かした時に値が低下するかどうか、またその低下の程度などをあらかじめ把握しておき、測定した値と比較することが大切です。

動脈血ガスの変化の時間は、肺胞から装着部位までの血液循環時間に依存するため、耳、手指、足の順に長くなります。そのため、低酸素血症を素早くとらえたいときには足での測定は不適当になりますので注意してください。

SpO2の低下

SpO2が低下する原因は、正確に測定できてない場合を除き、低酸素状態にあると考えられます。
肺炎、気管支喘息、肺水腫、COPDなどなんらかの原因で体内に十分な酸素を取り込めなくなったために起こります。
低下した際の患者の状態呼吸回数、脈拍数、血圧などのバイタルサイン、顔色などの一般状態を観察し、低酸素状態にあれば、なんらかの異常がみられます。

低酸素に至った原因によって、対応の仕方が変わります。
低換気の場合は、まず気道を確保し、バックバルブマスクを使い用手的人工呼吸で、換気をします。さらに挿管が必要かどうかは状態を見ながら判断することになります。

肺野の中で明らかに異常な音が聴こえ、なおかつ分泌物の問題であると考えられる場合(分泌物が気管支に詰まっている、肺胞に分泌物が溜まっているなど)には、その部分が上になる体位(体位ドレナージ)を行い、その姿勢で咳をしてもらうなどのケアで分泌物の除去ができる可能性があります。

大きな無気肺や太めの気管支の痰詰まりが起こると、該当部分はほとんど呼吸音が聴こえなくなります。
無気肺が疑われる場合にも体位ドレナージは効果があります。該当する部分の気管支の中枢側が重力に対して下側になるような体位を取らせ、咳を促します。

酸素投与

SpO2が93%以下になると酸素投与をおこなう判断基準です。

酸素投与ガイドラインでは、成人急性期患者に対しSpO2 94-98%を目標に管理することが推奨されています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)、Ⅱ型呼吸不全、心原性肺水腫などの疾患、また、気道確保できない場合や心停止など自発呼吸がない状態、大量の気道分泌物があったり、昏睡や意識状態が悪い場合などでは、酸素投与は禁忌です。

参考動画

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