横転とは車両が横を向いた状態をいう。
横転事故は、車両が不安定であることと、活動及び要救助者への接触が困難になる。
救出前に安定化を最優先!
【救助隊 活動内容】
- 周囲の安全確認
- パイロン等を使用し警戒区域作成
- 事故車両の確認 ※事故車両何台でオイル漏れ等ないか
- 負傷した乗員(要救助者)の確認 ※要救助者何人いて傷病程度は?
- 車両固定 輪留め ステップチョーク クリブ等使用し確実に固定
車両上部は転覆の可能性があるため特にきちんと安定化させる。

セダン等で車体安定が悪い場合、レスキューサポートやパワーショアを使用し安定化させる


参考ページ:テレクリブストラットは、レスキュー42社によって特別に設計された高度な複合材料が使われています。操作は鋼のシステムに似ていますが、複合材料を使うことで多くの利点があります。ここでは詳細を記載します。
- プラットホームを車両下部に設定する
要救助者へのアプローチ及び車内進入が容易になる

最終的に下の図のような安定化の方法が最良です

- ドア開放扉の確認(開放したドアを輪留めやウエービングで固定)
- 隊員1名進入し要救助者接触、エンジン停止 可能であればエアバック防止
- 要救助者へ頸椎保護 ネックカラー装着 ※必要であれば酸素投与・防寒等
※要救助者の体勢が悪い場合、ホースやブルースリングを使用し体を吊る
- 救出方法の確認
ルーフかフロントガラスを破壊する(横転の場合フロントガラス開放が一番救助しやすい)

ガラスマスターやレシプロソーを使用し開放。ガラス等が飛散するため要救助者を毛布等で保護は必須
参考ページ:交通事故の際、ドアの施錠や変形によってドアが開かないことがあります。そういった場合、救助隊は要救助者への接触や救出のために破壊活動をしなければなりません。ここでは車両破壊活動について記載します。
- バックボード差し込み 救出作業実施
- 全脊柱固定実施
- 「輸液の準備」「酸素投与」「呼吸管理」「止血」「骨折の固定」などの必要な救急処置を行う
- 救急車内収容
横転した車から人を助けるときは、まず車をしっかり安定させるのが大事だよ。最初に周りの安全を確認して、パイロンとかで安全エリアを作るんだ。それから事故車が何台かとか、オイル漏れがないかもチェック。負傷者の人数やケガの状態も確認して、車を輪留めやステップチョークでしっかり固定するよ。セダンみたいに安定しにくい車の場合はレスキューサポートを使うこともある。ドアを開けたら、そのドアも固定して、隊員が中に入ってエンジンを切るんだ。エアバッグが作動しないようにしたり、必要なら首にネックカラーを付けたりすることもあるよ。もし姿勢が悪ければ、ホースで体を支えることもできる。助け出すときはフロントガラスを割って入るのが効率的で、ガラスが飛び散らないように毛布で保護するんだ。最後はバックボードで搬出して、救急処置をしてから救急車に乗せるって流れだよ。

参考動画
横転交通事故のチェックリスト
以下は、横転交通救助チェックリストを表したものです。
項目 | 具体的な内容 |
---|---|
1. 周囲の安全確認 | – 救助隊到着後、現場の安全確認 – パイロンや警戒テープで安全区域を設定 |
2. 車両の確認と安定化 | – 事故車両の状態確認(オイル漏れや火災の危険性) – 輪留めやステップチョーク、クリブ使用 |
– 転覆の可能性を考慮して車両上部を重点的に安定化 – 必要に応じてストラットやパワーショア使用 | |
3. 要救助者の確認 | – 車内の負傷者数と傷病程度を確認 – ドアの開閉状態を確認し、破壊活動の検討 |
4. 要救助者への初期対応 | – 頸椎保護のためにネックカラー装着 – 酸素投与や防寒処置、ホースやスリングで体をサポート |
5. 車両の進入と救出 | – エンジン停止、エアバッグ作動防止 – フロントガラスやルーフの破壊と毛布での保護 |
6. 救出の実施 | – バックボード使用による要救助者の搬出 – 全脊柱固定と必要な救急処置 |
7. 救急車への収容 | – 必要な救急処置後、速やかに救急車へ搬送 |
このリストは、横転事故現場における救助手順を簡潔に整理し、迅速で効果的な対応が可能となるよう作成されています。
【横転事故での高度な救助技術と機材】
1. 車両の完全固定と微調整
- 高精度の車両安定化:ホイールチョックの位置と角度調整
横転した車両の安定化には通常、ホイールチョックやクリビングが使用されますが、事故の状況によっては標準的な配置では不十分な場合があります。この場合、輪留めの角度を最適化し、安定化を微調整することが重要です。特に斜面や不安定な地形での横転では、車両の重心に注意を払い、ホイールチョックを複数方向から配置し、安定性を高めるためにトルクを調整します。 - エアバッグシステムの活用
車両が非常に不安定な場合や、通常の機材では完全に固定できない場合、エアバッグシステムを使用することが推奨されます。このシステムは、車両の下部にエアバッグを設置し、空気圧で安定化させる技術であり、非常に重量のある車両や特殊な形状の車両でも効果的です。特にトラックやSUVなどの大型車両では、エアバッグを利用して車両全体を持ち上げることで、安定性を確保します。
2. 特殊機材による車両破壊とアクセス手段
- ドアヒンジの削除:高精度カッターとその使用法
ドアが大きく変形している場合、通常の破壊工具では開放が難しいことがあります。この場合、特定の工具を用いた「ヒンジカット」が効果的です。例えば、”ホルマイディンカッター” や “シアーツール” を使用して、精密にヒンジ部分を切断することで、ドアの開放を可能にします。特にこの技術は、複数のドアが重なり合った車両や、構造が複雑な車両において重要です。 - ルーフカットの際の注意点
横転した車両のルーフを破壊する際、注意が必要です。特に近年の車両では、ルーフ内部にエアバッグやセンサーが装備されているため、無計画に切断するとエアバッグが誤作動し、さらなる危険を引き起こす可能性があります。そのため、ルーフカットを行う際は、車両の配線図やエアバッグ位置を把握した上で、慎重に作業を進める必要があります。 - レーザーカッターの導入
最新の技術として、レーザーカッターを使用した車両の破壊手法が挙げられます。このツールは、従来のカッターよりも高精度で、短時間で金属部分を切断できるため、救助活動の効率が格段に向上します。ただし、レーザーカッターは熱を発するため、車内の要救助者への影響を最小限に抑えるため、冷却装置との併用が推奨されます。
3. 車両の挙動と重心シフトを考慮した救助手順
- 重心のシフトに注意する救助手法
横転車両の救助活動では、車両の重心が常にシフトしていることを考慮する必要があります。車両が横向きの場合、車体の一部に重みが集中するため、その部位に対する負荷が高まります。このため、救助隊は車両の重心位置を確認し、支えが不十分な場合には即座に安定化を強化する必要があります。特に、積載物や燃料の量が多い車両では、車体が突然シフトするリスクがあるため、常に微調整を行いながら救助活動を進めることが重要です。 - デジタルレベルメーターによる精密測定
重心の変化をリアルタイムで確認するために、デジタルレベルメーターや傾斜計を使用することが推奨されます。これらのツールは、車両の傾斜や動きを精密に測定し、安定化が必要な箇所を迅速に特定できます。特に、斜面での横転事故や地盤が不安定な場所での救助活動において、この技術は非常に有用です。
4. 救助隊員間の特殊なコミュニケーション手法
- 非言語コミュニケーションの使用
現場の騒音や混乱した状況では、口頭での指示伝達が困難な場合があります。このような場合、救助隊は事前に訓練された「ハンドシグナル」や「タクティカルライトシグナル」を使用して、正確な指示を伝え合うことが効果的です。これにより、周囲の状況に左右されずに、安全かつ効率的な作業が可能になります。 - インカムシステムの活用
また、インカムシステムを使用することで、救助隊員同士が常に連携を取りながら活動できます。特に、多層構造の事故現場や複数の車両が関与する事故の場合、各隊員が異なる場所で作業しているため、音声通信を活用することで、スムーズな情報共有が可能となります。
5. 特殊な車両状況に対応する高度な技術
- 電動車両における救助活動の注意点
最近の電動車両(EV)やハイブリッド車では、車両内部に高電圧ケーブルが存在するため、通常の救助活動と異なる手順が必要です。高電圧ケーブルへの接触は重大な事故を引き起こす可能性があるため、救助隊は必ず事前に車両の電源を完全にシャットダウンし、適切な手順で救助を進めなければなりません。 - Bピラーの切断技術
特にEVでは、バッテリーパックが車両の床下に設置されているため、Bピラーを切断することで最も安全かつ迅速に要救助者を救出できる場合があります。Bピラーは車両の強度を保持する重要な部位ですが、救助活動時には、必要に応じてこの部位を迅速に切断することで要救助者へのアクセスが確保されます。
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