日本を襲う次の大地震に備えよ ― 首都直下地震・南海トラフ・都市型検索救助(USAR)の最前線

震災救助

日本は「地震の巣」 世界の20%が集中する国

日本は世界でも有数の地震多発国です。マグニチュード6.0以上の地震のうち、実に約2割が日本周辺で発生しています。
北海道から九州まで、確認されているだけでも約2,000の活断層が存在し、その多くが今後大規模な地震を引き起こす可能性を秘めています。

しかし、問題はそれだけではありません。2016年の熊本地震を引き起こした布田川断層帯の地震発生確率は、30年以内に「1%未満」とされていました。つまり、どんな地域でも「想定外の地震」が起こり得るということです。見つかっていない活断層が地下に眠っている可能性もあり、日本全体が「地震の巣」といわれる所以です。


想定される3つの巨大地震 ― 南海トラフ・首都直下・千島海溝

政府の想定では、今後30年以内に次の大地震が高確率で発生すると警告されています。

地震名発生確率想定死者数全壊住宅数
南海トラフ巨大地震約70%約32.3万人約238.6万棟
首都直下地震約70%約2.3万人約61万棟
千島海溝地震約60%約20万人

これらはいずれも東日本大震災をはるかに上回る被害を想定しています。特に南海トラフ地震では、津波被害・火災・建物倒壊・広域停電などが同時多発し、全国的な影響が避けられません。


首都直下地震で想定される「都市型災害」

東京を中心とする首都圏で大地震が発生すれば、同時多発火災・多数の倒壊家屋・交通遮断など、都市特有の複合災害が起こります。
このような「都市型災害」では、被災直後72時間の対応が生死を分けます。

阪神・淡路大震災の統計では、発災当日の生存救出率は約80%だったのに対し、3日後にはわずか6%にまで低下しました。
この「72時間の壁」を突破するためには、救助隊の迅速な行動が欠かせません。


都市型検索救助(USAR)とは ― 倒壊建物の中から命を救う技術

大規模地震で建物が倒壊した際、瓦礫の下から生存者を救出する専門技術を**都市型検索救助(USAR: Urban Search and Rescue)**といいます。
この技術はアメリカのFEMA(緊急事態管理庁)が確立したUS&Rチームの訓練プログラムを基にしており、日本では消防庁が中心となって普及が進められています。

主なUSAR技術の内容

  • ショアリング(Shoring):倒壊建物を補強し、二次崩落を防止
  • ブリーチング(Breaching):コンクリート壁や床を破壊し進入路を確保
  • クリビング(Cribbing):木材などを積み上げて安定化させる
  • リフティング(Lifting):重機やエアバッグを用いて瓦礫を持ち上げる
  • ムービング(Moving):障害物や瓦礫を安全に移動させる
  • CSR(Confined Space Rescue):狭隘空間からの救出技術

これらの技術は国際消防救助隊(IRT)で採用され、日本の消防隊にも必須のスキルとして位置づけられています。
特に南海トラフ地震や首都直下地震を想定した訓練では、全国の救助隊がUSAR技術を基礎から習得し、国際基準に準じた活動を行うことが求められています。


まとめ:72時間の壁を越えるために

地震は「いつ・どこで」発生するかを正確に予測することはできません。
だからこそ、地域住民の防災意識、そして消防・救助隊の技術力が命を左右します。

南海トラフ地震や首都直下地震の発生が近い将来に迫る中、私たちができる備えは「防災」と「救助技術」の両輪です。
都市型検索救助(USAR)は、まさにその中心にある命の技術。72時間の壁を乗り越えるため、日本中の消防士たちが日々鍛錬を続けています。

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