重量物の持ち上げと移動

救助

はじめに

災害の倒壊現場で救助隊が行う作業の中でも、重い物体を持ち上げたり動かしたりすることは、被災者を救出する上で非常に重要です。このような状況では、重機を使用することができない場合が多くあります。インフラの崩壊、大量の瓦礫、またはアクセスの難しさが原因で、クレーンやフォークリフトなどの大型機材が現場に到達できないのです。

この制約を克服するために、救助隊は手工具を活用して重い物体を扱います。これには、レバー、滑車、ジャッキなど、原理的に単純だが非常に効果的な道具が含まれます。以下は、これらの道具を使用した場合の基本的な方法です:

  1. レバーを使用する: 長い棒や板を支点(ピボット)にかけてレバーとして使用し、少ない力で重い物体を持ち上げることができます。この原理は、アルキメデスによって「地球をも動かせる」と語られたほど古くから知られています。
  2. 滑車を使う: 滑車は、ロープやケーブルを使って重量物を持ち上げる際に力を分散させる道具です。滑車を使えば、重い物体をより少ない力で、またはより制御された方法で持ち上げることが可能になります。
  3. ジャッキを使う: 小さな力で大きな荷重を持ち上げることができるジャッキは、特に車両のタイヤ交換などでよく使用されますが、倒壊現場での重量物の持ち上げにも非常に有効です。油圧式やスクリュー式など、さまざまなタイプのジャッキがあります。

これらの手工具を使うことで、救助隊は重機が使用できない状況でも、重い物体を安全に、効率的に扱うことができます。これにより、救出作業を迅速に進めることが可能となり、被災者への支援をより早く行うことができます。

重量物のリフト

てこ(レバー)は、物体を持ち上げたり移動させたりする際に使用される単純な機械です。その原理は、ある点(支点)を中心に力を適用することで、別の点にある荷重を動かすことにあります。てこの効率性は、支点の位置と、力と荷重が適用される位置の関係によって分類される3つのクラスによって異なります。

クラス1レバー

クラス1レバーでは、支点がレバーの中央に位置し、一方の端に荷重、もう一方の端に力が適用されます。この配置は、最大の機械的利点を提供し、力の方向を変えることができます。例えば、クラウバーやプライバーがこれに該当します。レバーの長さや、支点から荷重までの距離と支点から力までの距離の比によって、機械的利点が決まります。例えば、支点から力までの距離が支点から荷重までの距離の3倍であれば、3:1の機械的利点が得られ、3キロの荷重を持ち上げるのに必要な力は1キロになります。

クラス2レバー

クラス2レバーは、レバーの一方の端に支点があり、もう一方の端に力が適用され、中央に荷重がかかる配置です。このタイプのレバーは、物体を水平に移動させるのに便利です。手押し車がこの例に該当します。クラス2レバーは、比較的少ない力で重い荷重を持ち上げることができます。

クラス3レバー

クラス3レバーは、一方の端に荷重があり、もう一方の端に支点があり、中央に力が適用される配置です。このタイプは、力を犠牲にして距離を稼ぐ場合に使用されます。シャベルやほうきが良い例で、軽い瓦礫を除去するのに適していますが、重い物を持ち上げるのには向いていません。

使用時の注意点

レバーを使用する際は、支点の安定性と強度、そしてその支点が置かれる面の安定性と強度を考慮する必要があります。支点とその土台は、持ち上げようとする荷重に耐えうるものでなければなりません。これにより、安全かつ効率的に作業を行うことが可能になります。

ジャッキの種類と作動原理

ジャッキは、重い物体を持ち上げたり移動させたりする際に使用される複合機械です。これは、二つ以上の単純機械を組み合わせることで、単一の機械だけでは得られない機械的利点を生み出します。ジャッキの種類と作動原理には以下のものがあります:

スクリュージャッキ

スクリュージャッキは、傾斜面とレバーの原理を組み合わせて作動します。回転するネジ(スクリュー)を使用して、小さな回転運動を大きな直線運動に変換し、これにより物体を持ち上げます。このタイプのジャッキは、手動で操作されることが多く、精密な位置調整が可能です。

油圧ジャッキ

油圧ジャッキは、レバーを使って油圧ポンプに力を加え、この圧力をラム(ピストン)に伝えることで作動します。油圧システムは非常に高い力を生成することができ、そのため少ない力で大きな重量を持ち上げることが可能になります。このタイプは、自動車の修理などに広く使用されています。

メカニカルジャッキ

メカニカルジャッキは、クラス1のレバーの原理に基づいて作動します。このジャッキは、レバーを使って直接、またはギアを介して力を適用し、物体を持ち上げます。このタイプのジャッキは、その構造がシンプルで堅牢であるため、様々な状況で利用されます。

安全上の注意

  • ジャッキは、荷重とジャッキが置かれる面に対して垂直に保つ必要があります。
  • 荷重とジャッキの間には木製のヘッダーを置くことで、力を均等に分散させ、荷重がジャッキから滑り落ちるリスクを減らすことができます。
  • 複数のジャッキを使用する場合は、同じ速度で均等に持ち上げることが重要です。
  • 荷物の一方を持ち上げる場合は、反対側または端が安定していることを確認してください。

ジャッキを使用する際は、これらの原理と安全上の注意を理解し、適切な方法で操作することが非常に重要です。これにより、効率的かつ安全に作業を進めることができます。

安全管理

作業中に重い物を持ち上げる際、救助者の安全を確保するためにいくつかの基本的な安全管理措置と個人保護具(PPE)の使用が不可欠です。これらの措置は、作業者を切り傷、擦り傷、打撲、さらにはより深刻な怪我から保護するために設計されています。

個人保護具 (PPE)

重い物を持ち上げる際には、以下の基本的なPPEを着用することが推奨されます:

  • 長ズボンとシャツ:肌を切り傷や擦り傷から保護します。
  • 手袋:手を切り傷や摩擦による損傷から保護します。
  • 鉄製先芯入り安全靴:足を落下物や鋭利な物体から保護します。
  • 顎ストラップ付きヘルメット:頭部を打撲や落下物から保護します。
  • ANSI規格に準拠した眼の保護具:眼を飛散する破片や塵から保護します。

安全規則と考慮事項

  • 細心の注意を払う:荷物が予期せず動くことのないよう、常に注意深く作業を行います。
  • 構造物の安定性を考慮する:地震や爆発で損傷した建物内で作業を行う場合は、特に注意が必要です。数トンの重い資材が移動することは、不安定な構造物に更なる負担をかけます。
  • 動的な負荷に警戒する:資材が横滑りしたり、落下したりする動的な負荷は、構造物にとって追加のリスクとなり得ます。このような状況は、特に危険なため、可能な限り避けるべきです。

これらの基本的な個人保護具と安全規則の遵守は、救助活動を安全に行うための基礎となります。作業中の安全を確保するためには、これらの装備を適切に使用し、常に状況を正確に評価することが重要です。これにより、作業者自身だけでなく、周囲の人々の安全も守ることができます。

持ち上げる際のクリブと安定化

重い物を持ち上げる作業では、安全と効率のためにいくつかの重要な手順と技術が必要です。以下は、荷物を安全に持ち上げるためのガイドラインです:

クリブと安定化の使用

  • クリブベッドやくさび:これらのツールを使って、荷物が予期せず動くのを防ぎます。クリブベッドやくさびは、荷物を安定させ、突然の動きや偶発的なシフトを防止するために用います。
  • 安全な操作:荷物の下に手や足を決して入れないでください。未支持の荷物の下は、いつでも危険なエリアと考えてください。

リフトの増分

  • 制御された増分でのリフト:約2〜4インチ(約5〜10cm)の短い増分で、荷物を慎重に持ち上げます。この方法は、物体の不必要な水平移動を防ぐのに役立ちます。
  • 安定化とフルクラムポイント:2×4や4×4の木材を使用して、安定化として及びフルクラムポイントとして利用します。フルクラムの高さが2インチ(約5cm)を超える場合や、物体が取り付けポイントに近すぎる場合は、物体の動きが水平および垂直になる可能性があります。これは危険であり、クリブベッドの崩壊や重大な怪我の原因となり得ます。

持ち上げの技術

  • 適切な持ち上げ技術:膝を曲げ、背中をまっすぐに保ち、足を使って重い荷物を持ち上げます。この方法は、筋肉の痛みや捻挫、脊椎関連の怪我を避けるのに役立ちます。
  • 体のメカニズムの使用:顔をくるくるさせず、重い荷物を扱う際には、正しい体の動きを使用してください。これにより、怪我のリスクを最小限に抑えることができます。

崩壊のサイズアップ

崩壊事故のサイズアップは、迅速かつ効果的な対応に不可欠です。以下は、崩壊現場の評価と対応のための段階的なアプローチです:

1. 六面アプローチの使用

崩壊現場をサイズアップする際には、全方位からの評価を行います。これには、上部、下部、両側面、前面、後面のチェックが含まれます。このアプローチにより、現場の全体的な状況を正確に把握できます。

2. 建設タイプと崩壊の性質の特定

  • 建設タイプの識別:建物や構造物の建設方法(例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造など)を特定します。これにより、崩壊のパターンや潜在的なリスクを予測できます。
  • 崩壊の性質の理解:部分的崩壊か全体的崩壊か、そしてそれがどのように進行しているかを評価します。

3. 崩壊構成の識別

崩壊した構造物の特定の部分を識別し、どのエリアが最も危険であるか、どの部分が比較的安全かを判断します。

4. 空間と被災者の位置の特定

  • 潜在的な生存空間:崩壊によって生じた隙間や空間を特定し、被災者が存在する可能性がある場所を見つけます。
  • 被災者の位置の把握:声をかける、聴覚機器を使用するなどして、被災者の正確な位置を特定します。

5. インシデントアクションプランの作成

被災者の数と位置に基づいて、救助優先順位を設定し、具体的な行動計画を立てます。最初にアクセス可能な表面の被災者から救助を開始し、次に状況が軽度から重度の被災者に対応します。

6. 持ち上げ、移動、および構造の安定性の維持

  • 持ち上げと移動の計画:慎重に計画された持ち上げや移動作業を通じて、被災者を安全に救出します。
  • 構造の安定性の維持:救助作業中、構造物の追加的な崩壊を防ぐために、継続的に構造の安定性を評価し、必要に応じて支援や補強を行います。

これらのステップを踏むことで、崩壊事故における救助作業を効率的かつ安全に行うことができます。二次的な崩壊を防ぎ、被災者と救助隊の安全を確保することが最優先です。

リフト、ヒンジ、およびクリブポイント

重い物体の持ち上げや安定化における「リフトポイント」、「ヒンジポイント」、そして「クリブポイント」について簡単に説明します。これらの概念は、救助活動や建設作業において重要です。

リフトポイント

  • 定義:リフトポイントとは、リフトクルーが物体を安全に持ち上げるためにフルクラム(支点)を設定する場所です。このポイントは、持ち上げ作業の計画と実行において重要な役割を果たします。
  • 目的:物体を効果的かつ安全に持ち上げるための最適な位置を特定します。

ヒンジポイント

  • 定義:ヒンジポイントとは、物体がリフト力と反対方向に回転するポイントです。リフトポイントの反対側に位置し、リフト時に物体の動きをコントロールする役割を持ちます。
  • 目的:物体の持ち上げや移動時における回転や動きを管理し、安全な操作を支援します。初期のリフトでは、地面や他の安定した物体がヒンジポイントとして機能することがあります。

クリブポイント

  • 定義:クリブポイントとは、クリブベッド(物体を支えるために使用される木材やその他の材料の構造)を適切に配置する場所です。物体を安定させると同時に、救助者が被災者へアクセスするのを容易にします。
  • 目的:荷物の安定性を確保し、救助活動中に被災者へのアクセスや脱出路を確保するための適切な場所を提供します。

これらのポイントを適切に特定し、使用することで、リフトや移動の作業を効率的かつ安全に行うことができます。特に救助活動や建設作業において、これらの技術を理解し適用することは、二次災害の防止と安全性の向上に寄与します。

チームワークとリーダーシップ

チームワークとリーダーシップは、安全かつ効率的な作業遂行のために非常に重要です。特に、緊急時の救助活動や建設作業などでは、明確な役割分担と強力なリーダーシップが必須です。ここでは、レスキューチームや作業チームにおける主要なポジションとその役割を簡単に説明します。

分隊長

  • 役割:チーム全体の指揮を執り、行動計画の立案と実行を主導します。安全を常に最優先し、チームを率いて目標達成を目指します。

副分隊長

  • 役割:分隊長をサポートし、チームが分かれた場合(「A」と「B」の分隊)にもそれぞれの分隊でリーダーシップを発揮します。計画の立案と実行において分隊長を補助し、分隊の安全も担保します。

安全担当者

  • 役割:チームの安全性を確保するために、作業中の全体的な安全を監視します。不安定な物体や危険な状況を特定し、必要に応じて作業の中止を決定する権限があります。

バー

  • 役割:重い物体を持ち上げたり、移動させたりする際に、ブレーカーバー(てこの原理を利用した道具)を操作します。

クリバー

  • 役割:クリブベッド(物体を支持・安定させるために組み立てられた構造)を構築し、重い物体を安全に支持します。

ロジスティクス(フィーダー)

  • 役割:クリバーやバーに必要な材料(クリブベッドやフルクラムの構築材料など)を供給します。作業の進行に必要なリソースを管理し、スムーズに作業が進むように支援します。

これらの役割は、効果的なチームワークとリーダーシップの下で協力し合いながら、安全かつ迅速に目標を達成するために設計されています。それぞれのメンバーが自分の役割を理解し、責任を果たすことが重要です。


標準コマンド

重い物体を持ち上げる作業において、チームのコミュニケーションは成功のために不可欠です。作業の安全性と効率を確保するためには、簡潔で明瞭な口頭のコマンドが極めて重要になります。このプロセスは、分隊長とチームメンバー間の明確な指示と応答のやり取りから成り立っています。

分隊長は、作業を開始する前に「持ち上げの準備ができました」「下げの準備ができました」「物体を移動する準備ができました」といった準備コマンドを用いてチームに指示を出します。これらのコマンドに対して、チームメンバーは「準備ができました」と返答し、作業の準備が整ったことを確認します。準備が完了したら、分隊長は「持ち上げてください」「下げてください」「物体を移動してください」と具体的な実行コマンドを出し、チームはこれに従って指定されたアクションを実行します。

また、「保持してください」というコマンドはクリバーがクリブベッドを適切に設置するまで物体を安定して保持するよう指示するために用います。クリバーはクリブベッドが正しく設置されたことを「クリブが設置されました」と報告し、これによって作業が安全に進行することを確認します。

緊急状況に対処するための「スティック」というコマンドもあり、任意のメンバーが不安定さや問題を感じた時に使用します。このコマンドは、クリバーに対して物体を即座に安定させるための行動を促します。

これらのコマンドとプロトコルを通じて、チームは一致団結して協力し、作業現場の安全を保ちながら効率的に任務を遂行することができます。明確なコミュニケーションは、任務遂行の成功と作業現場の安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

安全担当者

安全担当者の役割は、作業現場の安全を確保することにあります。具体的な責任は以下の通りです。

  1. 物体の操作中の安全確保: 物体が持ち上げられている間、保持されている間、または下ろされている間に、作業員が物体から安全な距離を保つことを確認します。これには、物体が不意に動いたり、落下したりした場合に備えて、適切な安全距離を維持することが含まれます。
  2. 適切な安全装備の着用確認: 作業員がヘルメット、安全靴、手袋など、必要な安全装備を正しく着用していることを確認します。これにより、万が一の事故発生時の怪我のリスクを軽減します。
  3. 荷重の動きと安定性の監視: 荷物の望ましくない動きや不安定さを常に監視し、必要に応じて警告を発します。これは、荷物の安定性が失われた際に迅速に対応するために重要です。
  4. 安定構造物の構築時の注意: 荷物が地面にしっかりと接触し、安定するための構造物を構築する際には、特に注意が必要です。安定性を確保するための構造物の設計と実装には、専門的な知識と注意が求められます。

安全担当者は、これらの責任を遂行することで、作業場の安全性を高め、事故や怪我のリスクを最小限に抑える役割を果たします。

構造部品の重量の決定

救助活動や重い物体の安全な操作には、構造部品の重量を正確に理解し、適切な支援構造や持ち上げ機器を選定することが重要です。ここでは、一般的な建材と建築構造の重量をわかりやすく説明します。

一般的な建材の重量

建材の重量は、主に以下の2つの単位で表されます。

  • PCF(ポンド/立方フィート): 材料の体積1立方フィートあたりの重量。
  • PSF(ポンド/平方フィート): 材料の面積1平方フィートあたりの重量。

具体的な材料の重量は以下の通りです。

  • コンクリート: 150 PCF
  • 石積み: 125 PCF
  • 木材: 35 PCF
  • 鉄鋼: 490 PCF
  • コンクリート/石積みの瓦礫: 1インチ厚さあたり10 PSF

一般的な建築構造の重量

建築構造の部分ごとに、以下のような一般的な重量があります。

コンクリート床: 90-150 PSF

  • コンクリートの厚さや補強の有無により、この範囲内で変動します。

金属デッキで充填された鋼ビームの床: 50-70 PSF

  • 鋼材の種類や金属デッキの充填材によって重量が変わります。

木製の床: 10-25 PSF

  • 材料の種類や構造によって異なります。

薄いコンクリート充填の床: 25 PSF以上

  • コンクリートの厚みにより、基本の25 PSFから増加します。

木製または鋼製の内壁: 各階層ごとに10-15 PSFを追加

  • 壁材料の種類によって重量が異なります。

家具や内容物: 各階層ごとに10 PSF以上を追加

  • 保管されている物の量や種類に応じて、重量は大きく変動します。

救助者は、これらの情報を基に、オブジェクトの重量を見積もり、必要なクリブベッドの数や持ち上げ機器を決定する際に参考にします。正確な重量の把握と適切な支援構造の選定は、救助作業の安全性と効率性を大きく向上させます。

荷物の安定化とクリブベッドの能力

クリブベッドは、荷物の支持と安定化を目的として構築される仮設構造です。この仕組みは、特に救助活動や重い物体の持ち上げ・移動作業において重要な役割を果たします。クリブベッドを構築する際の基本原則とその計算方法を簡単に説明します。

クリブベッドの構築と素材

クリブベッドの構築には、特に2×4や4×4の建築グレードの木材が推奨されます。ダグラスファーとサザンパインが一般的で、これらの木材は圧縮強度として平方インチあたり500ポンド(psi)で評価されます。

荷重容量の計算

  • 基本的な計算方法: 木材の表面積(例:3.5インチ×3.5インチ=12.25平方インチ)に木材の評価された圧縮強度(例:500 psi)を乗じて、そのクリブベッドの荷重容量を計算します。
  • 計算例: 12.25平方インチ × 500 psi = 6,125ポンドの荷重容量。

クリブベッドの種類とその容量

  • ボックスクリブ: 4つの接点を持つ構造で、約24,000ポンド(4×6,000ポンド)の荷重容量があります。
  • クロスタイクリブ: 各層に追加のクリブを組み入れることで、9つの接触点ができ、荷重容量が54,000ポンドまで増加します。
  • 6×6の木材ボックスクリブ: 約60,000ポンドの荷重容量があります。

安全上の考慮事項

  • 素材の選択: 木材以外の素材も使用可能ですが、突然の破壊や不確実な強度のリスクがあります。木材は徐々に破壊される傾向があり、その過程で騒音が発生するため、救助者は事前に警告を受けることができます。
  • 圧縮破壊の最大化: クリブベッドを安定させるためには、各層の端部を下の層よりも延長させることが推奨されます。これにより、荷重が均等に分散され、部品が飛び出すのを防ぎます。

重要ポイント

クリブベッドの構築は、安全かつ効率的な持ち上げと移動作業に不可欠です。適切な素材の選択と正確な荷重容量の計算により、作業現場の安全性を確保しつつ、目的の物体を効果的に支持することができます。

クリブベッドを構築する際の主な目的は、重さを支え、安定させることです。傾斜した表面上でのクリブベッドの構築は特に注意が必要です。ここで述べられている技術は、効率的な荷重支持と安定性を確保するためのものです。以下に、要点をわかりやすく説明します。

  1. クリブベッドの構造: 傾斜した表面にクリブベッドを構築する際、各層の端を下の層に対してフラッシュに配置することで安定性を高めます。必要に応じて追加のクリブを各層に挿入し、内部部品を側面から側面に調整することで、容量を増やし、荷重経路を改善します。
  2. 最初の層の重要性: クリブベッドを土地やアスファルトなどの疑わしい表面に構築する場合、最初の層は特に堅固でなければなりません。これは荷重を適切に分散させ、全体の構造の安定性を確保するためです。
  3. 許容高さと基本ルール:
  • クリブベッドの高さは使用中のクリブの長さの3倍を超えてはなりません。クリブの長さは、最短側の外部接点間で測定します。
  • 高さは接点の数に応じて調整されます:4つの接点では3倍、2つの接点では1.5倍、1つの接点では1倍です。
  • この比率は傾斜や地震の余波などの条件により調整されるべきです。
  1. クリブ材の準備: 18インチから24インチの長さに事前カットされたクリブ材を用意し、必要に応じて地元の木材店との協力でカスタムサイズを準備することが推奨されます。
  2. 大規模災害時の対応: 救助隊は、建設現場や崩壊した構造物から材料を調達することが求められる場合があります。
  3. ウェッジの使用: ウェッジは、荷重のサポートと安定化に不可欠です。荷物を持ち上げる際に同時に挿入され、スペースが許す限りすぐにフルサイズのクリブ材を挿入します。ウェッジは、荷物とクリブベッド間の空隙を埋めるためや、不均一または傾斜した表面で最適な接触を得るために使用されます。

これらの指針は、安全かつ効果的なクリブベッドの構築を支援するために重要です。現場での実践においては、これらの原則を適応し、状況に応じて適切な調整を行うことが求められます。

クリブとクリブベッド

この情報は、木材を使用したクリブ(支持構造)の容量計算に関連しています。ここでの「psi」は、1平方インチあたりのポンド(pounds per square inch)という圧力の単位を指し、木材の耐圧力を表しています。緊急支持用には500 psiの耐圧力が基準とされています。

計算例として、500 psiの木材を用いた場合の式が示されており、その計算は次のように行います:500(psi)× 2.5(幅)× 3.5(長さ)× 4(高さ)= 24,000ポンド。これは、特定の寸法を持つクリブが支持できる最大重量です。

さらに、2人用と3人用のクリブのタイプがあり、それぞれボックスクリブとクロスタイクリブの2種類が示されています。それぞれの容量は以下の通りです:

  • 4 x 4ボックスクリブ:24,000ポンド(約12トン)
  • 4 x 4クロスタイクリブ:54,000ポンド(約27トン)
  • 6 x 6ボックスクリブ:60,000ポンド(約30トン)
  • 6 x 6クロスタイクリブ:135,000ポンド(約67.5トン)

これらの数字は、クリブのサイズと構造によって大きく異なる支持力を示しています。ボックスクリブはシンプルな構造で、クロスタイクリブはそれに比べてより高い支持力を持ちます。例えば、同じサイズ(4 x 4または6 x 6)のクリブであっても、クロスタイクリブの方がボックスクリブよりもはるかに大きな重量を支えることができます。

簡単に言うと、木材の耐圧力(psi)とクリブの構造によって、その支持できる重量が決まります。クリブのサイズが大きく、クロスタイ構造を採用している場合、より大きな重量を支持することが可能です。

移動法

重い物体を垂直に持ち上げるだけでなく、水平に移動させる必要がある場面では、その作業を容易にするためにローラーを使用することが一般的です。ローラー上に物体を置くことで、摩擦が減少し、必要な労力と時間が節約されます。がれきの中から杭、鋼管、丸太などを見つけて即席のローラーとして利用することができます。さらに、ローラーとパイプネジジャックを使用することで、移動の効率を高めることが可能です。

しかし、荷物を移動させる際には、荷重の下の地面が柔らかかったり不均一だったりすると、ローラーが適切に機能しないことがあります。このような場合、ローラーをサポートするためのトラックを構築する必要があります。良いトラックシステムとしては、4×4の木材や広軸に配置された2×4や2×6の材料が適しています。

重い荷物の移動を制御することは非常に重要です。一度ローラーに乗せられた荷物は、急速にかつ容易に移動する可能性があり、その結果、怪我や物の破損の原因となる可能性があります。したがって、荷物は非常に慎重に、かつゆっくりと動かす必要があります。動きを停止させるためのブレーキ方法を予め準備しておくことが重要です。

小さな荷物を平坦な面でブレーキまたは制御するためには、以下のような方法が考えられます:

  1. ウェッジの使用: ローラーが荷物を超える場所に、ウェッジをローラーの両端に配置します。ローラーがウェッジを上り越えようとするときに荷物を停止させることができます。また、ウェッジは荷物の前や側面に配置することもでき、荷物を停止させるために摩擦を利用します。
  2. ウェッジの配置に関する注意点: ウェッジをトラック上に置く際には、摩擦が不十分でウェッジが移動中の荷物に押し込まれるリスクがあります。また、ウェッジが移動中の荷物の上に設置される場合は、救助者にとってのリスクが増加します。

これらの方法を使用する際には、すべてのブレーキシステムのコンポーネントが、動いている物体の力を支えるのに十分な強度を持っていることを確認してください。安全な操作を心がけることが重要です。

トレーニングドリル一覧

以下に一般に使用する重量物の持ち上げと移動のトレーニング方法を記載します。

ドリル1

ドリル2

ドリル3

ドリル4

ドリル5

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