ショアリング

CSRM

救助活動では、建物倒壊危険や重量物の落下危険など、多くの危険が存在する。建物を安定化させ倒壊させるな!

ショアリングとは

ショアリング(Shoring 正確には Emergency Building Shoring)は、地震等の災害により倒壊または倒壊危険が発生した建物に接近し、進入して救助活動を実施する場合、当該倒壊建物が余震、または自重等で更なる倒壊を起こすような二次災害を防止するために、建物の外部、内部及び窓やドア等の開口部に支柱等を施して安定させる技術です。
この技術を日本の消防に導入する最大の目的は、救助隊員等及び要救助者の安全確保のためです。


ショアリングは、その建物のダメージの受け方や場所、目的等により、大きく次の4つのパターンに分類できる。

ショアリング種類

レイカー・ショア


建物の外壁が外方向へ倒れようとしていたり、建物全体が傾いて倒壊しようとしている場合には、外部側面からショアリングを施して建物の外壁部分を支える。

ASCII

スポット(ポスト)・ショア


建物の天井部分が上部階、屋根または隣接した建物の倒壊で荷重が掛かり、倒壊若しくは抜け落ちてしまいそうな場合には建物内部の天井に縦方向のショアリングを施して建物内部の天井部分を支える。

ウィンドウ・ショア、ドア・ショア


建物に設けてある窓またはドアなど、建物内部への接近口となり得る開口部が倒壊等による影響で負荷が掛かり、潰れたり閉ざされたりしないように、開口部位にショアリングを施して窓枠およびドアの枠を補強する。

スロープド・フロア・ショア


建物の倒壊などにより偶発的にできたボイド(空洞)で、そのボイドが通路になったり、その下に被災者がいる場合には、そのボイドの形に合わせてショアリングを施してボイドの倒壊を防止する

カッティング・テーブル

カッティング・テーブルは、大規模地震災害現場などでの救助活動において非常に重要な役割を果たします。特に、倒壊した建物の救助活動では、ショアリング(建物や構造物を支えるための仮設支柱などを設置する作業)が必要不可欠です。ショアリングを行うチームが、災害現場に到着した際に最初に行う作業が、このカッティング・テーブルの作成です。

カッティング・テーブルの作成が最初の作業となる理由は、災害現場での活動が長時間にわたり、かつ困難な「ヘビーレスキュー」の現場であることが前提されているからです。ヘビーレスキューとは、重機を用いたり特殊な技術が必要な救助活動を指します。このため、カッティング・テーブルを作成し、しっかりした準備を行うことで、その後の活動を効率的かつ安全に進めることができるのです。

カッティング・テーブルは、救助活動に必要な木材や金属などの材料をカットするための作業台です。状況に応じて、直射日光や雨から作業員を守るための屋根を取り付けるなど、徹底的な準備が行われます。これにより、作業員は悪天候でも作業を続けることが可能になり、救助活動の効率性と安全性を高めることができます。

東京消防庁ハイパーレスキューによって試作されたカッティング・テーブルは、災害現場でのショアリング作業の効率化を目的として設計されています。組み立て後のカッティング・テーブルは、必要な材料を迅速に、正確に加工することを可能にし、救助隊がより迅速に活動を開始できるよう支援します。

カッティング・テーブルの設置場所に関しては、倒壊した建物から適切な距離を保つことが重要です。これにより、作業場が追加の倒壊やその他の危険から安全に保たれるようにします。また、作業場をわかりやすく設定することで、救助活動に参加する全ての人員がスムーズに動けるようになります。

このように、カッティング・テーブルの作成は災害現場での救助活動において基本的でありながらも非常に重要なプロセスです。これにより、救助隊はより効率的かつ安全に活動を進めることができるようになります。

東京消防庁ハイパーレスキューが試作したカッティング・テーブル

組み立て後
組み立て後


※作業場は倒壊建物から離れた場所で行うこと

安全管理

安全管理は、災害現場や建設現場などでの作業時に非常に重要な要素です。作業員の安全を確保するためには、適切な個人保護具(PPE)の着用が必須です。また、特定の状況下での追加的な安全措置も必要になります。

PPE(個人保護具)の着用

  • ヘルメット:頭部を衝撃や落下物から守ります。
  • ブーツ:足を鋭利な物体や衝撃から保護します。また、滑りにくい底面が安全な立ち位置を確保します。
  • 革手袋:手を切り傷や摩擦から守ります。
  • ゴーグル:目を飛散する破片やほこりから保護します。
  • 粉塵マスク:有害な粉塵や煙から呼吸器系を守ります。
  • 耳栓:騒音による聴覚へのダメージを防ぎます。
  • エルボーパッド:肘を衝撃や擦り傷から守ります。
  • ニーパッド:膝を保護し、長時間の作業でも快適に保ちます。

これらの個人保護具は、作業環境に応じて選択し、適切に着用することで、作業員の安全を確保することができます。

高所作業時の安全管理

日本国内における労働安全衛生法では、2メートル以上の高さでの作業を高所作業と定義しています。このような高所で作業する際には、落下のリスクを考慮し、自己確保の措置が必要になります。自己確保とは、安全帯やロープなどを使用して作業員が落下するリスクを最小限に抑えることを指します。

緊急時の脱出経路の確保

ショアリング作業やその他の建物内作業を行う際には、緊急時に迅速に避難できるよう、脱出経路を常に確保しておく必要があります。進入した経路を塞がないように注意し、緊急時の脱出経路が明確になるようにします。これは、万が一の事態が発生した際に、作業員が迅速に安全な場所へ避難できるようにするためです。

安全管理は、災害現場や建設現場での作業を安全に進めるための基本中の基本です。個人保護具の適切な着用、高所作業時の自己確保の徹底、緊急時の脱出経路の確保など、これらの措置を適切に行うことで、作業員の安全を確保し、事故や怪我のリスクを最小限に抑えることができます。

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震災や火災鎮火後に屋内に進入する必要がある場合、2階床面が落下すなどの危険性を回避するためポスト・ショア を作成します。

建物の倒壊は、梁部分の強度低下のために起こることが多いので、構造が確認できる状態であれば梁に作成します。

計測

メジャーを使用し床から天井(支える箇所)までの高さを計測する。
建物内は崩壊危険があるので計測は素早くする。

メジャー 天井高さ に対する画像結果

サイズアップ

ソース画像を表示

ショアリングのサイズアップのサイズアップを行うことで、救助者と被災者の安全、そして救助活動の効果を高めることができます。
サイズアップは構造物の危険性、損傷、潜在的な被害者の位置を特定し、ハザードの軽減方法とショアリング方法と必要性を決定する。サイズアップは、広範かつ正確でなければならない。そして、救助活動全体を通じて継続的でなければならない。

地震のような災害の場合、救助隊員が倒壊した構造物にどれだけの時間と労力をかけるかは、倒壊した構造物から救助できる被災者の数によって決まります。
被災者の数や、被災者が倒壊前の構造物のどこにいたかを示す情報は、救助活動の効率化にとって重要です。
信頼できる情報は、傍観者、現場管理者、警察関係者、医療関係者、そして最も重要な情報は、倒壊から救助した被災者から収集することができる。

6面アプローチ
倒壊した構造物を調査するには、6面アプローチをします。
倒壊物の周囲を歩くことで、4つの側面は最も簡単に評価できます。しかし、救助者が考慮すべき最も重要な側面は、倒壊物の上部と下部です。
この2つの「側面」は、アクセスするのも評価するのも最も難しい。
崩落の上部は、救助者によっては最も危険な「側面」であると考えられている。重力は常に働いており、倒壊は上方から発生するため、落下の危険の可能性を評価するために、頭上エリアを常に監視・調査することが不可欠です。

次に重要な「側面」は、崩壊の底部です。
荷重の移動と底部の支持構造物や表面の完全性を評価する必要がある。救助隊員は、建物の桟橋、躯体、床面の状態を確認することが重要である。
EBSシステムを設置する前に、床、建物の桟橋、地下室、基礎の状態を確認することが重要である。
ショアリングシステムが適切に機能するためには、ショアリングの荷重を安定した表面に移動させる必要があります。


建物構造の基本的要素をサイズアップする必要があります。壁面、柱、梁、床、天井などです。
この中でも壁面は最も重要な構造要素の一つである。損傷した壁は、他の構造体の安定性に影響を及ぼします。

瓦礫の山や被災者のいる場所の下にあるすべての梁、柱、アーチ、根太、その他の構造支持要素の評価は、ショアリングのサイズアップの最優先事項です。
救助活動に影響を及ぼす可能性のある、応力が強くかかったり、壊れたり、欠けたり、反ったり、ひびが入ったりしている支柱は、人員を投入する前に、すべて補強しなければなりません。
その区域での作業に従事する前に、必ずショアリングを設置してください。


構造物が物音を立て始めるようになったら、それは過大な応力がかかっているか、破損している可能性があります。
きしみ音は、釘が引っ張られたり、コンクリートが割れたり、スライドしたり、ガラスが割れたり、鋼材が曲がったりすることによって発生する場合があります。また風や救助活動とは無関係な空気中の粉塵の発生も、故障が迫っていることを示すことがあります。
救助隊員は、さらに支柱を立てるか、直ちに避難する必要がある状況に対応しなければならない。

構造部材のごく小さな動きを検知する方法には、ひび割れにチョークで線を引き、その線を観察するといったローテクな方法もあります。
ひび割れの上にチョークで線を引き、その線がずれるのを観察する、あるいはオブザーバーを使って単純な動きを監視する。これは崩壊の可能性を監視するのに非常に役立ちます。

建設材料の特性

コンクリート
セメント、岩石、砂および/またはその他の不活性材料、水および少量の空気の混合物からなる建設材料。

特徴

  • 耐火性、耐圧縮性
  • 引張やせん断に弱い。
  • 時間とともに硬化し続ける
  • 非常に重い:1立方メートル(m3)の重さは約3,000kg

コンクリートは水和によって硬化する。いったん乾燥すると、コンクリートは必ずひび割れを生じるが、これは必ずしも破壊を意味しない。コンクリートは圧縮には強いが引張には弱い。
だからコンクリートの梁、柱、床には鉄筋が必要です。
コンクリートの重さ:約2,400~3,000kg/m3 小さいものでは、15cm×30cm×30cmのコンクリート片の重さは約34kgである。

スチール
スチールは通常の鉄から炭素を減らしたもので、鉄よりも数段強度が高いのが特徴です。

特徴

  • 折れずに曲げることができる(可鍛性)
  • 火や圧縮に強い
  • 熱、音、電気を伝えやすい

木材
木材とは、様々な材料・原料として用いるために伐採された樹木の幹の部分を指す。

特徴

  • 切りやすい
  • 軽い
  • 燃える
  • 絶縁性が高い(電気を通さない)
  • 割れる前にきしむ

構造タイプ

地震と倒壊のデータに基づいて、建物のタイプも4つのグループに分けることができます。
それぞれが特徴的な崩壊パターンがあります。


軽骨組
2階建てまでの住宅やアパート。
主に木造である。主な弱点は壁と接合部の横方向の強度である。
軽量鉄骨造の建物で活動する救助隊員は倒壊した建物の安定性に問題がないかどうか壁のひび割れや傾きを確認する。
・構造体が基礎から外れている。
・2階建て住宅では1階部分が傾いている。

重壁(URM)非強化石造
1階から6階建ての建物、住宅、商業施設、工業施設、施設などがある。
重い石積みの壁と木造の床を持つ。
鉄筋の入っていない石造りの建物で作業する場合は、壁と床の接合部の破損、壁のコーナーのひび割れ、支持されていない部分的な床は崩壊していないかを確認する。

重量床
この構造物には住宅、商業用、工業用(コンクリート製の高速道路橋脚)建物がある。
コンクリートのフレームを持ち、高さは12階建てまである。
レスキュー隊員は、構造物の安定性を評価する必要がある。

  • 各フロアラインでの柱のひび割れ
  • 支柱に隣接する主要な梁での斜めのせん断亀裂
  • 耐震壁の亀裂

プレキャストコンクリート
かなり重い床と重い壁を持つ建物プレキャスト構造には、商業用と住宅用がある。また、駐車場も含まれる。これらの構造物は一般に1階から12階建てである。
主な弱点はスラブと壁・梁、柱など
倒壊現場で活動する救助隊員は梁から柱まで、ひどくひび割れた壁がないか確認します。
柱の接合部の上下に亀裂が入る。
壁の接合部、床部分の接合部などのせん断を確認。

基本的な崩壊パターン

キャンタリバー
壁の崩壊によって生じる。
床または屋根が部分的に落下する。壁が崩壊した側の床または土台の上に吊り下げられたままとなる。
このタイプの倒壊は極めて不安定で危険である。

リーン・トゥ
壁の破損により、床や屋根の一部、片側は完全に倒れもう一方の端は支持されている。
この倒壊は通常三角形の空洞ができる。
倒れた部分の端は不安定に支持されている。

パンケーキ
複数の床スラブが完全に崩壊した多層階崩壊のこと。
その結果生じる空洞はスペースが限られ、特にコンクリート構造では、アクセスが困難である。

Vシャープ
この崩壊は、中央の支柱の破損や床の過負荷により床組が中央で崩壊する。
その結果V字の空間ができる。



スポット(ポスト)・ショアの作成要領

スポット(ポスト)・ショアの作成における要領を、より分かりやすく説明します。ここでは、ショアリングの種類ごとの特徴と、倒壊建物内でのショアリング手順を概説します。

スポット(ポスト)・ショアの種類と特徴

1. Tスポット(ポスト)・ショア

  • 特徴: 単一の支柱があり、その形状がT字型をしています。
  • 一時的なショアリングとして利用し、完全なショアリング・システムを作成するまでの間に用いられます。
  • 高さの制限: 支柱の長さは最大307.5cm(10フィート3インチ)で、全体の高さは330cm(11フィート)を超えません。
  • 設計荷重: 454kg~1,814kg(1,000ポンド~4,000ポンド)。

2. ダブルTポスト・ショア

  • 特徴: 2本の支柱があり、荷重を2本の支柱で支えます。
  • Tスポット・ショアよりも安定しています。
  • 高さの制限: 支柱の長さは最大337.5cm(11フィート3インチ)で、全体の高さは360cm(12フィート)を超えません。
  • 設計荷重: 高さに応じて、最大7,258kg(16,000ポンド)まで。

3. 2ポスト・ショア

  • 特徴: 2本の支柱を使用し、高さが330cm(11フィート)を超える場合はブレーシングを追加します。
  • レースド・ポスト・ショアにもなりうる。
  • 高さの制限: 支柱の長さは最大337.5cm(11フィート3インチ)で、レースド・ポストの一部でない限り、全体の高さは360cm(12フィート)まで。
  • 設計荷重: 高さに応じて、最大7,258kg(16,000ポンド)まで。

4. レースド・ポスト・ショア

  • 特徴: 4本の支柱を使用し、非常に重い荷重に耐えることができます。
  • 2つの2ポスト・ショアを繋ぎ合わせた形をしています。
  • 高さの制限: 支柱の長さは最大487.5cm(16フィート3インチ)で、全体の高さは510cm(17フィート)を超えません。
  • 設計荷重: 最大14,515kg(32,000ポンド)。

倒壊建物内でのショアリング手順

  1. 第一段階: Tポスト・ショアを使用して部分的な補強を行い、「クラスⅠ崩壊補強」として素早くリスクを軽減します。
  2. 第二段階: 時間と手間がかかる救助活動の場合、ダブルTポスト・ショアを作成し、「クラスⅡ崩壊補強」としてリスクをさらに軽減します。
  3. 第三段階: 活動が長期間にわたる場合は、ボックス型(バーティカル)の「クラスⅢ崩壊補強」を行い、隊員のセーフティーエリア確保や支柱の

強度を強化します。

各ショアリングの設計に際しては、ヘッダー、ソールプレート、ウエッジの幅の合計を全高から差し引いた長さでポストを作成することが重要です。これにより、適切な強度と安定性を持ったショアリングを実現できます。

Tポストショア

Tスポット(ポスト)・ショア

床から天井(支持したい部分)までの高さを測る。(高さは330cmまで)
どの部分にショアを設定するか短時間で決める。

ヘッダーとソール・プレートの幅と、ウエッジの幅の4cmを測定した高さから引いた長さでポストを切断する。
ヘッダーとソール・プレートを90cmの長さで切断する。この時、中心を表示しておく。ヘッダーとポストを90°になるように、ヘッダーの中心に合わせる。

木材の接続

ヘッダーとポストをガセット2枚で前後釘止めする

ショアリングの設定

荷重がポストの中心にくるように、組み立てた木材を配置
ポストの下にソールプレートを差し込みウエッジをハンマーで打ち込む
水平器で、水平と垂直を確認

ソールプレートとポストをガセット2枚で前後釘止めする

ダブルTポスト・ショア

  1. 床から天井(支持したい部分)までの高さを測る。(高さは360cmまで)
    どの部分にショアを設定するか短時間で決める。
    ※ ショアを設定する前の危険度が高い建物内に進入しての活動時間を可能な限り短くする。
  2. ヘッダーとソール・プレートの幅と、ウエッジの幅の4cmを測定した高さから引いた長さで2本ポストを切断する。
  3. ヘッダーとソール・プレートを90cmの長さで切断する。
  4. ヘッダーとポストが90°になるように取り付ける。この時2つのポストの間隔ポストの外側から外側までが、最大60cm、最小45cmになるように取り付ける。
  1. ダブル・ガセット・プレートをヘッダー側に65mm釘24本で両側に打ち付ける。
    ヘッダーには釘14本、それぞれのポストには釘5本ずつ。
  1. ショアの高さが180cm以上の場合は、ダブル・ガセット・プレートをポストの片側の真ん中に取り付ける。各ポスト65mm釘8本
  1. 荷重がダブルTの中心にくるように設定する。
  2. ダブルTの下にソール・プレートを挿し込み、ウエッジを打ち込む。
  1. 垂直に起立して、安定していることを確認しながらウエッジをしっかりと打ち込む。
    水準器を使用して垂直かどうかを確認する。
  2. ハーフ・ガセットを両側に65mm釘8本でソール・プレート側に打ち付ける。
    ソール・プレートに釘4本、ポストに釘4本、ウエッジは釘止めする。
  1. 出来ればショアを天井と床面に固定する。

2ポスト・ショア

  1. 床から天井(支持したい部分)までの高さを測る。(レースド・ポスト・ショアの一部でない限り高さは360cmまで)どの部分にショアを設定するか短時間で決める。
  2. ヘッダーとソール・プレートの幅と、ウエッジの幅の4cmを測定した高さから引いた長さで2本ポストを切断する。
  3. ポストを取り付けたときに、30cm張り出すようにヘッダーとソール・プレートを切断する。ポストの間隔は最長120cm、最低90cm
  4. ヘッダーとポストが90°になるように取り付ける。
  1. フル・ガセット・プレート又はハーフ・ガセット・プレートを両方のポストに取り付ける。この時、1本のポストの両側に取り付けたら、もう一方のポストは片側のみに取り付ける。
    フル・ガセット・プレートを使用する場合=65mm釘13本で、ポスト5本、ヘッダー8本
    ハーフ・ガセット・プレートを使用する場合=65mm釘8本で、ポスト4本、ヘッダー4本
  1. ショアの高さが180cm以上の場合は、ポストの真ん中に2×4材のホリゾンタル・ブレース(水平筋かい)を取り付ける。各接地面に90mm釘3本ずつ。
  1. 2×4材のダイアゴナル・ブレース(斜め筋かい)を取り付ける。
    各接地面に90mm釘3本ずつ。
  1. 荷重が2ポストの中心にくるように設定する。
  2. 2ポストの下にソール・プレートを挿し込み、ウエッジを打ち込む。
  1. 垂直に起立して、安定していることを確認しながらウエッジをしっかりと打ち込む。
    水準器を使用して垂直かどうかを確認する。
  2. ソール・プレート側の片方のポスト両側にフルまたはハーフ・ガセット・プレートを釘止めする。もう一方のポストは片側のみに釘止めする。
    フル・ガセット・プレートは65mm釘13本で、ポスト5本、ソール・プレート8本
    ハーフ・ガセット・プレートは65mm釘8本で、ポスト4本、ソール・プレート4本
  1. 出来ればショアを天井と床面に固定する。

レースド・ポスト・ショア

  1. 予め設定してある2組の2ポスト・ショアを繋ぎ合わせる。
    各ショアの間隔は最大120cm、最低90cm
  1. 2×4材ホリゾンタル・ブレース(水平筋かい)をヘッダー側とソール・プレート側に90mm釘で打ち付ける。各接地面は釘3本使用。また、ショアの高さが330cm以上の場合は、ポストの真ん中にホリゾンタル・ブレース(水平筋かい)を付ける。
  1. 2×4材ダイアゴナル・ブレース(斜め筋かい)を90mm釘で打ち付ける。各接地面に90mm釘3本ずつ。

釘止めパターン

フル・ガセット・プレート

30cm×30cm
ガセット
65mm釘13本

ハーフ・ガセット・プレート

30cm×15cm
ガセット
65mm釘13本

フル・ガセット・プレート

30cm×60cm
ガセット
65mm釘24本
30cm×60cm
ガセット
65mm釘16本

ウエッジの打ち込み

※ウエッジ=楔(くさび)
ウエッジの斜めの切断面が確実に接触していなければならない。

※ウエッジにはそれぞれ対で同じ番号を付けて、必ず同じ番号のものを使用する。

レイカー・ショアの作成要領


レイカー・ショアは、倒壊した建物や損傷した構造物を支えるために使用される支柱システムです。このシステムは、特に建物の外壁を支えるのに有効であり、災害救助活動において重要な役割を果たします。ここでは、レイカー・ショアの種類とその作成要領、特に角度と長さの計算方法についてわかりやすく説明します。

レイカー・ショアの種類と特徴

  1. ソリッド・ソール・レイカー・ショア
    • 特徴: 支持する壁の周囲の地面が平らで瓦礫がない場合に使用します。
  2. スプリット・ソール・レイカー・ショア
    • 特徴: 支持する壁の周囲に瓦礫等がある場合に使用します。ソリッド・ソール・レイカー・ショアが適用不可能な場合の代替として機能します。
  3. フライング・レイカー・ショア
    • 特徴: 仮設の支持や、支持する壁の周囲に大量の瓦礫がある場合に使用します。他の種類のショアが適用できない状況向けです。

レイカー・ショアの作成上の注意事項

  • 角度: 地盤がアスファルトの場合は45°、土の場合は60°を選択します。角度が低いほどレイカーの強度は高まります。
  • 2対1ルール: 屋根の重量の2倍を支えるように設計します。
  • 複数設置の必要性: 1つでは横の力に弱いため、お互いに結合して補強する必要があります。

レイカー・ショアの角度と長さの計算

インチ法
  • 45°レイカー・ショア: 支持点の高さ(フィート)× 17 = レイカーの長さ(インチ)
  • 60°レイカー・ショア: 支持点の高さ(フィート)× 14 = レイカーの長さ(インチ)
メートル法
  • 45°レイカー・ショア: 壁のインサーション・ポイントまでの高さ(m)× 1.4 = レイカーの長さ(m)
  • 60°レイカー・ショア: 壁のインサーション・ポイントまでの高さ(m)× 1.15 = レイカーの長さ(m)
  1. インサーション・ポイントが3mの高さにある場合、45°レイカー・ショアの長さは、3m × 1.4 = 4.2mとなります。
  2. 同じく、60°レイカー・ショアの場合は、3m × 1.15 = 3.45mの長さになります。

このように計算することで、必要なレイカー・ショアの正確な長さを求めることができ、効率的かつ安全に支持構造を設置することが可能になります。

ソリッド・ソール・レイカー・ショア

  1. インサーション・ポイントまでの高さを測り、ウォール・プレートとソール・プ
    レート(4×4材)を切って、直角に合わせて仮止めする。
  2. ガセット板を65mm釘13本で取り付ける。(裏表両側)
    ※この時ガセット板は木材の端から1~1.5cmの隙間を取っておく。
  1. 45°または60°でレイカーを作成する。
  2. 45°は60cm(釘13本)、60°は75cm(釘20本)のクリートをウォール・プレートに取り付けてレイカーの上部をウォール・プレートに付け、裏表両側をガセット板で釘止めする。65mm釘13本。
  3. レイカーの下部裏表両側に、ガセット板を65mm釘5本で取り付ける。この時、ソール・プレートに釘止めしない。
  1. 建物に立てかけ、レイカーが3m30cmを超える場合は、ミッド・ポイント・ブレース(2×6材)を裏表両側に90mm釘5本で取り付ける。この時まだレイカーには釘止めしない。
  2. レイカーの下部との間を3cm位開けて、60cmのクリートを90mm釘14本で釘止めし、ウエッジをいれる。
  1. 4×4材のソール・プレート・アンカーを設置し、ピケットを打ち込む。舗装面2本、土4本。
  2. ソール・プレートとソール・プレート・アンカーの間にウエッジを打ち込み、しっかりと締める。この時、レイカーの下部のウエッジもしっかりと締める。
  1. もう一方も同じようにして設定する。このときのショアの間隔は最大2m40cm
  1. インサーション・ポイントが2m40cmを超える場合は、上・中・下部の3箇所に水平ブレーシングを入れる。
  1. X ブレーシングを入れる。
  1. レイカーの下部の部分のウエッジを再度しっかり締める。
  1. レイカーの下部のガセット板を釘止めする。
  2. ミッド・ポイント・ブレースをレイカーに釘止めする。

※ ソリッド・ソール・レイカー・ショアの耐荷重性能
(ミッド・ポイント・ブレースのあるレイカー)

スプリット・ソール・レイカー・ショア

  1. インサーション・ポイントまでの高さを測り、インサーション・ポイントを決定し、4×4材のウォール・プレートを切断する。
  2. レイカーを45°または60°で作成するか決定し、4×4材を適切な長さで切断する。
  3. 45°を選択した場合は60cmの上部クリートを釘13本、60°を選択した場合は75cmの上部クリートを釘20本で打ち付ける。
  1. 上部クリートのところの両側にフル・ガセット・プレートを使用し、レイカーを釘13本(片側)
    で釘止めする。
  1. U 字溝ベース、またはトラフベースの作成(ソール・プレート)
    U 字溝ベースはレイカーが45°で地盤が土壌のときに使用する。
    トラフベースはレイカーが60°、または45°のときで地盤がアスファルトのような舗装面のときに使用する。
1. 4×4材を45cmに切断し、フル・ガセットを65mm釘 8 本で両側に釘止めする。
2. ショアを壁に立てかけた際に、①のところにレイカーの下部を挿入し、②のところからウエッジを打ち込む。ウエッジを締めた後に、ガセットのレイカーが当たっている部分の両側に65mm釘5本ずつで釘止めする。
3. 2組作成する。
1. 2×4材を90cmに切断する。
2. 2×6材を2本90cmに切断し、1の2×4材を下部に置き、これの両側に2×6材を90mm釘7本ずつで釘止めする。
3. 2で作成したものに45cmに切断した2×4材を挿入し、上部から90mm釘5本、側部両側から90mm釘2本ずつで釘止めする。
4. ショアを壁に立てかけた際に、①のところにレイカーの下部を挿入し、②のところに4×4材、又は6×6材のソール・プレート・アンカーを設置し、ウエッジを打ち込む。
5. 2組作成する。
  1. ウォール・プレートからレイカーまでを実測し、2×6材でボトム・ブレース2本とミッド・ポイ
    ント・ブレース2本を切断し、ウォール・プレートの両側から挟むように90mm釘5本ずつで釘止めする。この時、レイカーの部分には釘止めしない。
    ボトムブレースはウォール・プレートの下部から30cmのところに取り付ける。
  1. U字溝ベース、又はトラフベースを取り付ける。
  1. もう 1 組、同じレイカー・ショアを作成して壁に立てかけて、ウエッジを打ち込む。
    ウエッジを締めた後、 〇で囲んだ部分を90mm釘5本ずつで釘止めする。
  1. 水平ブレーシングを入れる。
    インサーション・ポイントが2m40cm以上の場合は上・中・下の3箇所に入れ、2m40cm以下の場合は上・下の2箇所に入れる。
  1. Xブレーシングを入れる。

フライング・レイカー・ショア

  1. インサーション・ポイントまでの高さを測ってウォール・プレートを適切な長さに切る。この時、45°または60°のどちらの角度で設定するか決める。
  2. 45°=60cmクリート、60°75cmクリートのいずれかをインサーション・ポイントの上に取り付ける。
  1. 計算で求めた数値の長さにレイカーを切り、ウォールプレートに付け、レイカーの上部とウォール・プレート接点の両側に65mm釘13本で釘止めする。
  2. ウォール・プレートとレイカーに2×6材のブレースを付ける。(両側)
  1. 傾斜をつけた穴を適当な深さ掘り、そこに2×4材、4×4材、ガセット板2枚で作ったU字ソール・プレートを設定する。
  2. ショアを設置したい壁面に当て、ソール・プレートにレイカーの下部を差し込む。
  1. ソール・プレートとレイカーの間にウエッジを打ち込み、しっかり締め込む。
  2. 最後にレイカーとソール・プレートのガセット板を65mm釘で釘止めする。
※ フライング・レイカー・ショアの耐荷重性能

釘止めパターン

レイカー・ガセット板の上部
65mm釘13本


レイカー・ガセット板の下部
65mm釘13本


レイカー・ガセット板の後部
65mm釘13本

2×6材のブレース 90mm釘5本

45°レイカー
60cmクリート
90mm釘14本


60°レイカー
75cmクリート
90mm釘20本

レイカーの切断

ウィンドウ・ショア、ドア・ショアの作成要領

種類
(1) ウィンドウ・ショア
(2) ドア・ショア

特徴
窓またはドア等の四角形の形状の開口部は、荷重が掛かると変形し、そこからの倒壊の
原因となり得る。そういった状況を未然に防ぐために開口部をショアリングで補強する。
また、開口部に施すことで、進入・退避経路の確保ともなる。進入・退避経路に使用しな
いところは、斜めに筋交いを付け、進入できないようにしておく。

ウィンドウ・ショア、ドア・ショア

  1. 窓の横幅を測り、ウエッジを打ち込む所の幅を3~4cm引いて、ソール・プレートのヘッダーを切断する。
  2. ソール・プレートとヘッダーを窓枠に取り付け、ウエッジを打ち込んでしっかり締める。
  1. ポストの長さを測り、ウエッジを打ち込む部分の幅を引いて切断する。
  2. 両方のポストを取り付け、ウエッジを打ち込んでしっかり締める。(ポストを取り付ける時は、最初にヘッダーのウエッジ側に取り付ける)
  1. 両ポスト内側にウエッジを留めるための2×4材のクリートを90mm釘3本でポストに、90mm釘2本を斜めにソール・プレートおよびヘッダーに打ち込む。
  1. ウエッジのクリートを付けてあるところに、ヘッダーまたはソール・プレートとポストを繋ぐ2×4材のクリートを90mm釘3本×2箇所ずつ釘止めする。
  2. 残りの角2箇所にトライアングル・ガセット板を65mm釘13本で釘止めする。
  1. 建物内に救助用支柱器具等を設定して進入口付近の安全を確保した後、建物内側のトライアングルガセット、クリートを取り付ける。
  1. 通路として使用しない場合は2×4材で筋交いを×印に入れる。

釘止めパターン

上部と下部のトライアングル・ガセット版
65mm釘13本

2×4材クリート
90mm釘6本

参考動画

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